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第0花 - プロローグ




それは600年の歴史を持つエリシアーノ王国の建国記念の式典の最中のこと。


城内に聳える聖堂は建国以前の戦時から建てられたものらしく

外壁の白煉瓦にはその傷跡が所々残っているものの輝かんばかりの白さは酷く神々しいものだ。

その聖堂内では建国記念の式典・・・儀式のようなものが始まっていた。


エリシアーノの国王とその息子である王子カイス・エン・エクライヤが言葉を述べ

神官が神聖なミュールの泉の水を王の持つグラスに注ぎ

それを王が王家の紋が刻まれた大理石の床に散らすと神官と魔術師の祝詞によって

神々しいばかりの青い紋章の光が浮かび上がる。




・・・それが今回に限りグラスに水を注ぐはずの若い神官が緊張のあまりにその水を床に溢してしまった。







--そう、初めての儀式の失敗。











「あっ」










誰ともつかない声が聖堂に響いたその瞬間

紋章が金色の光に包まれ、まるで嵐のような勢いの風が吹き荒れた。

飾られた王家のタペストリーが激しく揺れ壁を叩き、燭台が一斉に倒れたがその火は絨毯に燃え移る前にその風によって一瞬で吹き消される。


周囲から驚くような呻きが聞こえ、扉近くの者は一斉に外へ飛び出した。

飛び出せた者は良いけれど、儀式の中心にいる国王や私達は動くことができない。

しかしひときわ大きな嵐が吹き荒れ、とうとう足が我慢できずに崩れてしまう。


-倒れる・・・?

思わず目を瞑る私の腕を誰かが掴み胸に抱きこんだ。


「フィオ!」


聞き覚えのある声と顔にかかる栗色の髪でそれがロイズだと気づく。

王子の側近である彼が何故、と思ったが微かに入る視界にアルリエットの姿が見えて安堵した。

アルが王子であるカイスを守ってくれるなら安心だ。


吹き荒れる風と唸る音が怖くてロイの服を掴みながら恐怖に目を瞑った。







どれくらい経ったかわからないけれど

轟々と唸り声のような嵐の音がぴたりと止み

次第にゆるくなるロイの腕の中から顔を上げた私の目に 






〝彼女〟 が映ったのだ。







まだ眩く淡い光を放つ大理石の床に

見慣れぬ衣服を身に着け、肩からは艶やかな黒い髪がさらりと零れ落ちた

だけどなによりもこの世界では見たこともない黒い瞳を持った少女が

足をぺたりと床に落とした状態で


「・・・ここ、どこ?」


そう小さく呟いたのだ。











それが異世界から来た タチバナ・ヒカル と私達の出会い。






初めてのお話。

短編で書けばよかったかといささか後悔しながらですが頑張ります!

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