1.惑星管理官ヤレル
入りたまえ。
私が惑星管理官 第一支部部長のボヤクだ。
よろしく。
君には、この惑星アサーテを管理してもらう。
前任者のことは聞いたかね?
くれぐれも彼女のような不祥事は起こさないでくれたまえ。
そもそも惑星管理官の管理の基本は、『見守る』ということだ。
出来るだけその惑星の住民の自主性を尊重して、手を出さない。
大規模な自然災害の前に、神託として神殿に注意するぐらいは良い。
疫病が流行ったときには、聖女を誕生させたり、奇跡の回復薬の作り方を教えるのもよい。
戦争の際に侵略国の君主を、不慮の事故や、暗殺、内乱などで交代させるのは、本部の承認がいる。
惑星の住民からは、神として崇められるだろうが、あんまり神頼みになってもらっちゃ困る。
住民の発展度は我々のボーナスにも影響するが、自分たちの惑星は、自分たちで発展させるのが、ルールだ。
我々はこの惑星が、滅亡したり、住民が極端に減少しないよう見守るだけだ。
詳しい顛末は、その報告書を読んでおいてくれ。
しっかり頼むよ。
俺は、新任惑星管理官のヤレル。
前任者が更迭され、代わりにここの管理官になった。
この仕事は、給料はまずまずだが、拘束時間が長いうえに退屈だ。
きっと前任者も退屈まぎれに、ちょっと惑星住民にちょっかいを出しすぎたのだろう。
報告書を見てみよう。どれどれ……。
うーん、やっぱり彼女が更迭されるのは、仕方ないかもしれない。
乙女ゲームをこの惑星で実際にやってみようとしたんだね。
聖女を誕生させて。
管理局の調整室に連れてきて、フェロモンを強化。
少し体を調整して、惑星住民が『魔法』と呼んでいる超能力を与えたり。
おかげで、惑星住民の王子とか、貴族令息とか、軒並み聖女に侍るようになってしまった。
こういうの逆ハーレムって言うんだっけ。
それだけならまだしも、悪役が必要だからって、公爵令嬢にも手を加えて
対抗能力を与えたんだよね。
結果、悪役令嬢の『魔力』が暴走して、王都は壊滅的打撃を受けた。
何とか上司が暴走を収めたけど、住民の数が激減し、発展度が下がってしまった。
きっと減俸されたんだろうな。
ま、俺は前任者の失敗に鑑み、おとなしく見守ることにするか。
……でも勇者育成ぐらいなら、バレないかも。
俺なら、きっと前任者よりうまくやれる。俺は、やればできる人間さ。




