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SCUM〜敗者たちの讃美歌〜  作者: 灰谷 An
第1章・兵庫県統一 編
4/17

004:乗り込み

 敬次は高校に通っていない。

 だから毎日のようにブラブラと暮らしているので、いつかはちゃんとしなければいけないと思っていた。

 そんなタイミングで天馬組長代理から舎弟への誘いを受けた。

 これはチャンスかもしれないと考えている。

 しかしヤクザになるのも抵抗がある。

 この2点で敬次は、毎日のように「うー、うー」と唸りながら迷っているのである。



「敬次っ! 友達が来てるわよ!」


「んー? 分かったぁ!」



 敬次が部屋で漫画を読んでいると、1階から祖母の声が聞こえてくるのである。

 どうやら敬次の友達が訪ねて来たらしい。

 起き上がった敬次は、友達を部屋に来るように言った。

 その指示通りに友達は、敬次の部屋にやって来るのだが慌てている様子だ。

 かなり慌てていたので敬次は「どうしたんだ?」と横になりながら聞いた。



「円が……円が攫われたんだよ!」


「へぇ、そうなんだ……はぁ!? 円が攫われた!?」


「そうだよ、返して欲しかったら敬次を連れて来いって……敬次、林一家と揉めたのか?」


「いや、そんな記憶は……あっ、林一家と繋がってるっていう藤田をボコボコにしちまった」



 敬次の親友である円が、林一家の連中に拉致られた。

 さすがはヤクザのネットワークといった感じで、数日間で敬次まで辿り着いたのだ。

 これにはさすがの敬次も冷や汗が全身から噴き出る。

 自分がやられる分には、どうにだってなると解決できると思っている。

 しかし友達を盾にされた事が無いので動揺を隠せない。

 それを知らせに来てくれた友達は、地面にドサッと座ると頭を抱えるのである。



「お前な、別に暴れるのは良いよ。俺だって敬次に着いてって、どんだけでも暴れてやるよ……だけどよ? 円みたいな普通の人間を巻き込むような事しちゃダメだろ?」


「あぁお前のいう通りだ、全くもって返す言葉がねぇ……それで円は、どこにいるんだよ?」


「円は林一家の事務所に連れてかれたよ。その林一家の人間たちから敬次に伝言を聞いてる」


「俺への伝言だって?」


「あぁ友達を返して欲しかったら、1人で林一家の事務所まで来いってよ」



 友達は敬次に暴れるなら自分も手伝うし、自分たちのような不良が痛い目を見るなら良いと言った。

 しかし円のような普通の人間が苦しむのは違うと、敬次に暴れる事への配慮について話す。

 全くもって友達の言う通りで返す言葉が無い。

 とりあえず円はどこにいるのかと聞いた。

 友達は林一家から伝言のようなものを聞いており、助けたかったら事務所まで1人で来るようにと言われた。

 それを聞いた敬次は立ち上がって部屋を飛び出す。

 いきなり飛び出して行ったので友達は「お おい!」と背中に声をかける形となった。


 敬次は一心不乱に走っている。

 早く円を林一家の手から助け出したいという一心でだ。

 場所については何かがあるかもしれないからと、少し前にスマホで調べていた。

 そこに一直線で向かうのである。

 そしてもう少しで到着するというところに来て、事務所の前にスーツを着たゴツい男を発見した。

 敬次はスーッと息を吸う。

 全身に力を込めて全速力を出し、そのゴツい男に向かってドロップキックをかました。



「円を返せや! ブチ殺されてぇのか!」



 ドロップキックをモロに喰らって倒れている男に、敬次は円を返すように叫ぶ。

 しかし良いのを喰らったのでピクリとも動かない。

 敬次はチッと舌打ちをしてから入り口を見る。

 そのまま扉を開けると、そこには林一家の組員が8人くらい居たのである。

 手にはチャカが握られていた。

 これに敬次は顔を上下に「うんうん」と揺らす。

 明らかなピンチに立っているのだと、このタイミングで理解せざるを得なかった。



「君が噂の花岡敬次くんかいや? 君の情報を集めよう思たら、ごっつい色んな事に首を突っ込んどーみたいやな」


「それがどうしたってんだ? テメェらはやって良い事と悪い事の区別がついてねぇみたいだな」


「いちびるなよ、ガキっ! こっちは十分過ぎるくらいのチャカを用意しとるんやど」



 秀利は敬次を煽るように、わざと丁寧な口調を使って子供扱いをするのである。

 扱いは無視して敬次は、善悪の区別がついていないみたいだと逆に言い放った。

 これに秀利はテーブルを蹴り上げて怒鳴る。

 ここに来て安い挑発で怒ってしまった。

 敬次の為にチャカを必要以上に用意してやったと、ニヤニヤしながら自慢して来る。

 さすがの敬次も少しドキドキしている。



「じゃあどうすんだよ? そのチャカで俺を蜂の巣にでもしてみるか? あぁん?」


「この状況で強う出れるとは肝の座ったガキやな。それじゃあおもろうあらへんやろ? こっちとしてはやられた分を楽しゅう回収したいだけなんやで」


「はぁ楽しく回収したいだと? なに考えてんだよ」


「この8人を素手で、一斉に戦うて勝てたらお友達の円くんを返しちゃるわい」



 敬次は近くにいるチャカを持った人間に近寄って、自分の額に銃口を突きつけさせる。

 こんなタイミングで強がれるのは凄いと秀利は誉めた。

 死ぬかもしれないというところで、逃げたくなるところを1歩前に出れるのは凄い奴だと言う。

 その上で秀利は円を解放する条件を提示した。

 条件とは8人いる組員たちを一斉に相手して勝てたら解放するというものだ。



「それは本当だろうな? 後になって反故にされちゃあたまったもんじゃねぇぞ」


「もちろんほんまやわ、こんなところで嘘ついたらおもろないやろ? 林一家ちゅう代紋に誓うちゃるで」


「それなら心配いらねぇか……相手してやるわ! さっさとかかって来いや!」



 ちゃんとこの戦いに関して約束するのかと、敬次は秀利に問うのである。

 秀利は代紋に誓って約束してやると言った。

 これで心配する事は無くなったと敬次は、上着を脱いでやる気になっている。

 そして組員たちは懐にチャカをしまって拳を構える。

 敬次もステップを踏みながら準備を整える。


 少しの間が相手から1人が殴りかかって来る。

 それに合わせ組員たちも動き出す。

 敬次は目を動かして配置などを確認してから、1人目の腹に蹴りを入れて動きを止める。

 動きが止まっている隙に、2人目の顔面を左フックをブチ込んで吹き飛んだ。

 そして動きを止めていた1人目を蹴り上げた。

 一瞬にして2人を叩きのめし、秀利はヒューッと口笛を吹いて面白がる。


 3人目の男が敬次の腰にタックルして来る。

 グッと腰に力を入れて敬次は倒されないようにする。

 しかし足を止められている事によって、4人目の男が敬次の顔面を殴った。

 敬次は顔が跳ね上がったが、直ぐに正面に戻して抱きついている3人目の男の腹に膝を入れる。

 怯んだ隙に3人目の男の腰に手を回して持ち上げた。

 そのまま「ふん!」と4人目の男に投げつけた。

 2人は地面に倒れ込んだ。



「ふぅ……これで半分か、さすがは本職ってか」


「おぉ素晴らしいな、腕っぷしはほんまもんらしい」


「あと4人だからな? 約束は守れよ!」


「当たり前やろ? さぁ後半戦を始めよか」



 敬次は汗を拭いて、これが本職の力かと言った。

 秀利も拍手をして実力は本物だと笑いながら言い放つ。

 キチンと残り4人を倒したら、円を解放しろと確認してから残り4人との戦闘を始める。

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