男女の友情は成立するのだろうか
「やぁやぁ。久しぶりだね。」
その声に俺は振り返った。そこには和服を着た白髪の女と腕を組んだいつぞやの男がいた。あいも変わらず中世貴族のような服装に眼帯をしている。和服を着た人間と中世の格好をした男が腕を組んでいる状況というのはかなり異質に感じる。
「えっと…。その女の人は?」
その女性は口に人さし指を当て、聞くなとでも言うようにそっぽを向いた。男がフォローするように口を開いた。
「ごめんごめん。この子無口でね。めったに喋らないんだ。あー。そうえば前回は神と呼ばれる生物は存在するのかって聞いたよね。確か君の意見ではいないってことでいんだよね?」
俺はその質問に対し、白髪の男の言葉を思い返しながら口を開いた。
「はい。神はやっぱりいないと思います。でも、遠い昔の世界には神と呼ばれる人間はいたのかもしれないって考えを改めました。まぁこれも、ほかの人の意見を聞いてから思ったことですけどね。」
男は微笑む。
「いいんだよ。誰の意見に流されようと、考えを改めようと、それが君の納得できる答えならなんでもね。さて、いつもどうり、今回も君に質問を投げかけようかな。」
なんかもう理由なんて気にならなくなってきた。なんやかんや考えるのは楽しいわけだし。そう考えて、ただ質問を待つ。男は俺の考えを察したのか微笑んだ。
そして、和服の女と組んだ腕を見せつけるように俺の横を通り過ぎながら言った。
「男女の友情は成立するのか。」
帰路をたどりながら先ほど投げかけられた疑問を思い返す。男女の友情は成立するのか。………。当てつけだろうか。なんか見せつけてきてた気がするし。まぁいいか。さて、今回の疑問も意外と難しい。普通に女友達とかあるんだから成立するでしょとか思うかもしれないが、そんな単純な話でもない。なんやかんや思春期の男子の大半はあの子と付き合えたらみたいなことを考えてるし、これは惚れているわけではなくても恋愛が絡んでいると言えるのではないだろうか。なんやかんや、仲が良くなればこいつ俺のこと好きなんじゃねとか妄想したり、自分のほうが相手のことを好きになったりする気がする。とはいえ流石に思春期の男子といえど、どうでもいい相手に対してはそんな考えを持つことはない。しかしどうでもいい相手とそこまで密接な関係を気づくことはない。この男女の友情は成立するのかというのは前提条件としてある程度仲がいい相手との友情は成立するのかということだ。こいつ俺に惚れてるんじゃねとか考えることなく、単純に仲良くしたいという気持ちだけでの男女間での関わりなどないに等しいのではないだろうか。そう考えていたところで後ろから声をかけられた。このタイミングで声をかけてくるということは白髪の男かと思いきや声は女性のものだった。
後ろを振り向いたときそこにいたのは、俺に疑問を投げかけてくる男と腕を組んでいた女がそこにいた。
「先に言っておくけれど、私はあの男と恋仲というわけではないし、恋愛感情を持っているわけでもない。あの男も私に恋愛感情を持っているわけではないと断言する。」
少し困惑した。
「断言って…。というか、それを否定するためだけに追いかけてきたんですか?」
女は首を横に振った。
「いや、あの男が君に疑問を投げかけているのを見てから既視感を感じた。それから少ししてから思い出したんだ。家の兄が君の話をしていた。」
俺の話をする兄?口ぶり的にあの中世貴族のような男ではないとすると、あの白髪の男だろうか。
「君の考えどうり、私の兄は等価交換の大好きな白髪の男だ。まぁそんなことはいい。先ほどあの男の投げかけた男女の友情は成立するのかという疑問に対する君の意見を聞かせてくれ。」
まだどちらと答えが出たわけでもないが、俺のなかで有力なのはどちらか…。
「俺の考えだと、男女の友情は成立しないのではないでしょうか。どのような男女であっても、関係が続けば、恋愛的な考えを持ってしまうような気がします。」
その女はニヤリと笑う。
「そうかそうか。君はそう思うか。では勝手ながら私の考えを聞いてくれたまえ。なぁに、君の考えを聞かせてもらったのだから等価交換の法則というやつだよ。」
等価交換の大好きな白髪の男とか皮肉っぽいこと言ってたから嫌いなのかと思ってたら普通に等価交換使うのかよ。まぁ、あの男の妹なら面白い意見を持っているのだろうか。女は口を開く。
「あー。悪いけど面白い意見は聞けないよ?多分、君的には面白くないと思う。ただ、この考えは私の中ではこの考えは成立している。だから文句はなしだぞ?では結論を言うが、男女の友情は成立する。そもそもとして、男女間の関係には色々ある。親子、兄妹、従兄弟やら再従兄弟やらね。そこには親子の絆やら兄弟の絆やら。まぁそんな感じの事が言われたりするが、私からすればその関係はときに、悪友のように見える。兄妹で仲のいい2人や、親子で仲のいい2人、関係が近ければお互いに遠慮するということも少なく、時に手を組み、誰かに悪戯をする。それはもう、友達と呼んでも差し支えないものだろう?あぁ、親子やら何やらの関係はは友情よりももっと上だって?では友情とは何だ?私は友情というものを、第三者の視点から見て友達みたいだと思われる者らの間に生じる絆だと思っている。家族内で恋愛に発展することなんてそうそうないだろうと思うし。だからこの考えは私のなかで成立している。血族を持ち出してどうこう言うのは屁理屈だとか言うんじゃないぞ?そもそも定義付けしてないやつが悪いんだからな。屁理屈というのは相手が定義付けを十分に行っていなかったときにしか生じないのだからね。」
何というか、この考えに対して間違っているとか何とか言うつもりはないが、なによりも思ったことがある。無口と言う割に結構饒舌だな。いやまぁいいんだけども。そんなことを考えながら呆けていると女は再び口を開いた。
「おっと、申し訳ないが私はそろそろいかないといけない。それじゃ、またどこかで会おう。」
女は手を振りながら去っていった。
それにしても、男女間での友情は成立する。そう迷いなく断言できる人は中々少ない気もする。親子や兄妹はときに悪友に見える。か…。まぁ否定はしない。それにしても、屁理屈は定義付けが十分にされてない時にしか生じないとは随分なことを言ったものだ。それも屁理屈に聞こえるが…。おっと、気づけばそこは自分の部屋で、目の前にベッドがあった。考えに集中していた、なにより女と腕を組んでいる女やら、無口と聞いた女がやたら饒舌に話し出したり、今日一日の情報量が多すぎて疲れた。いつもは家にはいるときにただいまと言うところだが、今日はもう家の中だし目の前にはふかふかのベッド………。
俺は鞄を投げ捨て、ベッドに飛び込み、言葉を発した。
「おやすみ」
なんか文章考えるの久々すぎて変な出来になりました。やけに長くなったし……。とりあえず最後まで読んでくれてありがとうございます。お疲れさまでした。しっかり目を休めてくださいね。




