神と呼ばれる生物は存在するのか。
いつもの公園でベンチに座って昼食を食べているといつの間にやら隣に人が座っていた。その人物はいつぞやに答えのない疑問をつぶやいた男だった。あいも変わらず中世貴族のような服装に眼帯をしている。
「あぁ少年。いや、青年か?そんなことはいいか。またあったな。君は確か、僕の呟いた疑問に対し、熱心に考えてくれたろう?答えはでたかい?」
話したのは数日前だし忘れられてると思っていたけれど、そんなに俺のことが印象的だったのだろうか。
「えぇ。答えは出ましたよ。世界はただ同じことを繰り返すなんて無駄なことはしない。だから今日も明日も明後日も1度しかない。これが答えです。まぁ受け売りなんですけどね。」
男は満足げに微笑む。
「なるほどねぇ。面白い答えだよ。それが受け売りであろうとなんであろうと、君が納得したならそれでいいのさ。さて、それじゃあ次の疑問を君に投げかけていいかい?」
首をかしげる。なぜ数日前、それもたった数分話しただけの俺に疑問を投げかけるのだろうか。まぁ人の縁ってそんなもんかと、考えるのをやめ、頷く。
男は少し微笑んで口を開いた。
「神と呼ばれる生物は存在するのか。それが今回の疑問だよ。」
少し思考したあと、口を開く。
「いないと思います。もし神がいるなら死刑囚なんか死刑執行前に死んでるでしょうし。仮に神が人間の味方でなかったとして、地球の害となる人間を生かすメリットもない。だから神はいないと思います。」
男は俺の答えがわかっていたように頷く。
「筋の通った答えだな。では、過去に神はいたと思うかい?神の声を聞いた。なんて人間も過去には居たわけだし、君はどう考える?」
まただ。またこの男は答えのない。答えを知ることのできない疑問を投げかけてくる。まぁそれについて考えるのが楽しいわけだが…。そんなこんなで思考していると男は思い出したように口を開く。
「あぁ悪い。そろそろ行かなくてはいけない時間だ。また今度会ったときに答えを教えてくれたまえ。」
手をひらひらと振ってどこかへ立ち去る。
昼食を食べ終わりすることもないので帰路につく。それにしても、過去に神はいたのか。いた可能性もたしかにあるが、それならばなぜ今はいないのかという疑問が浮かぶ。なにより、生物の誕生した理由なんかも科学で説明できるようになってきたような時代だ。ビックバンというとてつもない規模の爆発で宇宙ができたという話も今の御時世中学生だって知っている。やはり神はいないのだろう。これまでも、これからも。そう結論付けたころ、見覚えのある白髪の男が目に入る。今日を過ごすのは本当に1度目なのかという疑問に対し、納得のいく答えをくれた人。思わず話しかけてしまった。
「あの、お兄さん。また疑問があるんですけど、どう思うか教えてくれませんか?」
その男は少し驚いた顔をしていたが、俺のことを思い出したようで微笑む。
「もちろんいいとも。あぁ、でも等価交換の法則。覚えてるよね?僕の質問にも答えてほしい。」
ジェスチャーでそちらからどうぞと示す。
「そうかい?ではこちらから。このあたりに駄菓子屋はあるかい?」
駄菓子屋?あぁ、都会とかにはないし興味があるのだろうか。
「駄菓子屋ならそこの角を右に曲がってまっすぐ行ったらありますよ。」
男は目を瞑ってこめかみをトントンと人差し指で叩く。3分ほどたって目を開ける。右にまがってまっすぐ行くだけなのにそれを覚えるのにここまで時間が必用なのだろうか。
「いやー助かったよ。さて、次は君の質問だね。どんなのだい?」
男は腕を組んでこちらに向き直る。
「神と呼ばれる生物は存在したのか。それが今回の疑問です。」
男は直ぐに口を開く。
「いないんじゃないかな。だって地球にとっては害でしかない人間が滅ぼされてないし。」
まぁ大方予想どうりだ。じゃあやっぱり過去にいたのかという疑問も俺と同じ答えなのだろう。まぁでも一応聞いておくか。
「じゃあ過去には?」
男はまたもすぐに口を開く。ものを覚えるのは遅いくせに疑問に答えるのはやけに早い。
「過去に神と呼ばれる存在がいたか?まぁいたとしてもおかしくないと思うよ。」
いたとしてもおかしくない?つまりいた可能性があるってことか?なぜそう思ったのだろう。キョトンとしていると、男は察したように口を開く。
「僕の考えではね。昔の人の言う神は人間なんじゃないかな。それも普通の人間じゃなくて、現代のマジシャンみたいな。」
………。意味不明だ。首をかしげると男は再び口を開く。
「マジックという概念が普及してない昔の人に、コインが左手から右手に瞬間移動するように見えるマジックを見せたらどう考えると思う?きっと超能力だって思うだろう?それからもいろいろなマジックを見せていって、人知を超えた力を持っているのだと認知されたあと、俺はどんなことでも知ってるし、どんなことでもできるんだとうそぶいたとする。それなら神が全知全能と言われているのにも説明がつくだろう?人は嘘と真実の織り交ぜられた話を信じやすいからね。つまり僕の結論は、過去、神はいたがそれは全知全能の存在でも何でもなく、ただの人間だった。って感じだね。」
神は昔のマジシャンだった?実に荒唐無稽な話だ。でも面白い視点だと思った。情報を消化していると男が口を開く。
「僕はそろそろ駄菓子屋に行くよ。それじゃあね。」
手をひらひらと振って去っていく。
俺も再び帰路をたどる。それにしても、神はマジシャンね。これまで聞いたことない視点だった。あまりに荒唐無稽で馬鹿馬鹿しい。でも、本当にそんなんだったら面白いなと。そう思いながら扉を開け、口を開く。
「ただいま。」
まぁ前回ので分かってた思いますけどただの自己満短編小説みたいな感じです。べつに宗教を否定する気はないです。怒らないでくださいね?ではでは、今回はこれで。




