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悪役令嬢の兇器はドス黒い鈍器《パイプ椅子》です ~前世は病弱、今世は物理最強。魔法もチートも私には勝てません~  作者: 月館望男
【第7部】黄金の都・カジノ&地下闘技場編 ~借金1億? ならば筋肉とプロレスで倍返しですわ~
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第064話 【カジノ編完結】瓦礫の上でちゃんこ鍋。賠償金代わりに豪華客船を頂いて、次は南国へ!

 騒動の後。

 わたしたちは壊滅した地下闘技場の瓦礫の上で、ささやかながら盛大な「打ち上げ」を行っていた。

 カジノから没収した高級酒と食材、そしてミリアが作り続けていた大量のちゃんこ鍋が振る舞われる。


「かんぱーい!!」


 わたし、アリス、ミリア。そして解放された奴隷剣士たちや、賭けに勝って(あるいはわたしが勝つことを見越して)生き残った観客たちが、ジョッキをぶつけ合う。


「いやー、レヴィちゃんの『くっ殺』演技、動画に撮りたかったなぁ~! あの時の会場の盛り上がり、ヤバかったよ!」

 アリスがゲラゲラ笑いながら、高級ワインをラッパ飲みする。


「ふふ、あの角度と声のトーン、完璧でした! さすがレヴィーネ様、被害者の演技も超一流です! あ、ついでにゴルドーの金庫から『権利書』関係も全部いただいておきましたので、後でお父様に送っておきますね」

 ミリアが肉を頬張りながら、恐ろしいことをサラッと言う。この子、本当に抜け目がない。


「……うるさいわね。あれも仕事のうちよ」


 わたしは赤面をごまかすように酒を煽った。

 周りでは、自由を得た元・奴隷剣士たちが「姐さん、一生ついていきます!」「筋肉万歳!」「V&C商会万歳!」と勝どきを上げている。


 なんでも、わたしのファンになったという富豪とミリアが、ミソ・ショーユの独占輸入契約を結んだらしい。解放奴隷達の雇用を条件にわたしも許可を出した。

 「ちゃんこ道場・ゴールドベガス支部」として彼らが独自に運営していくことになったらしいのだけど、どうにも飲食店のフランチャイズ契約に思えてならない。

 契約内容に毎日のスクワットの回数も加えておくべきだったかしら?


「……でも、楽しかったわ」


 わたしは天井の崩れた穴から見える、夜空を見上げた。

 ノアを喪った悲しみは、消えることはない。

 けれど、こうして騒いで、暴れて、汗を流して、理不尽をぶっ壊している間だけは、前に進んでいる実感が湧く。


 翌朝。

 わたしたちは、港に停泊していた最高級の豪華客船の前に立っていた。

 ゴルドーが自分用に隠し持っていた船だが、今は「賠償金の一部」としてわたしたちが接収した。


「……さて。随分と派手にやってしまったわね」


 振り返れば、カジノホテルの一部が半壊し、地下からはまだ黒煙が上がっている。

 だが、見送りに来た街の人々の顔は明るかった。

 恐怖政治が終わり、新たな時代の予感に満ちている。ミソと醤油の味を知った彼らは、きっと強く生きていくだろう。


「レヴィーネ様ー! 行っちゃうんですかー!?」

「いつでも帰ってきてくださいねー! ミソ鍋用意して待ってますからー!」


 港には、昨日の騒ぎで解放された闘士たちや、ミソ・ディップのファンになった富裕層たちが見送りに来ていた。

 相変わらず、わたしの去り際は賑やかだ。


 その中には、首に包帯を巻いたゲイルの姿もあった。

 彼は、自由の身となった仲間たちと共に、晴れやかな顔で立っていた。


「……行くのか、嬢ちゃん」


「ええ。ここはもう退屈だもの」


「次はどこへ行く? 東の島国か?」


 わたしは首を横に振った。


「いいえ。南へ行こうと思うわ。……おじさまの話を聞いて、どうにも気になってしまったから、ね」


 わたしの言葉に、ゲイルは一瞬目を見開き、そしてニヤリと笑った。


「南……そうか、『サン・ルーチャ王国』へ行くんだな」


「ええ。灼熱の太陽と、情熱の国。……そこには、麻薬シンジケートに支配された『マスクマン』たちのリングがある、そうでしょ?」


「まいったな、前途ある若者に余計なことを教えちまったか?」


 ゲイルは頭をかきながらも、真剣な目で忠告してくれた。


「あそこにゃあ、こんなおっさん以上の使い手がゴロゴロいるぞ。派手な空中技やマスクに惑わされがちだが、中身は本物の殺し屋だ」


「望むところよ」


 わたしは不敵に笑う。


「ただ、麻薬シンジケートが政府や警察の大半までを掌握している国でもある……おっさんが『遠征』したのはもう何年も前だが、治安が悪くなることはあっても良くなることはないだろうな」


「……ふふ。治安が悪い? 最高じゃない」


 わたしは鉄扇を開き、口元を隠した。


「悪徳組織に、汚職警官、そして堕ちたヒーローたち……。私が暴れるには、おあつらえ向きの舞台だわ」


「ハッ! 違いないな。……達者でな」


 ゲイルの言葉に、わたしはウインクで応え、タラップを登った。


 アリスとミリアも、ゴルドーのコレクションだった美術品や宝石を大量に抱えて続く。


「レヴィちゃん次はどこにいくのー?」


 アリスが期待に満ちた目で尋ねる。

 わたしは船首に立ち、南の水平線を指差した。


「南よ! 情熱と太陽の国へ!!」


「南大陸! スパイスにフルーツに美味しいお肉! 販路拡大のビッグチャンスです!」


 ミリアが歓声を上げる。


 船が汽笛を鳴らし、黄金の都を離れていく。

 海風が、新しい冒険の匂いを運んでくる。


 最強の悪役令嬢と愉快な仲間たちの旅は、まだまだ終わらない。

 次のリングでも、ド派手に暴れてやろうじゃないの。


(……見ていてね、ノア。お姉ちゃんは、今日も元気よ)


 わたしは空に向かって、小さくウインクをした。

賠償金代わりに豪華客船まで手に入れて、次なる目的地は「情熱の国」サン・ルーチャ! 第7部・カジノ編、これにて完結です!【第7部完結】


カジノ編にお付き合いいただきありがとうございました! 次章の「ルチャリブレ編」も楽しみにしてくださる方は、評価とブックマークを何卒よろしくお願いいたします!

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