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悪役令嬢の兇器はドス黒い鈍器《パイプ椅子》です ~前世は病弱、今世は物理最強。魔法もチートも私には勝てません~  作者: 月館望男
【第7部】黄金の都・カジノ&地下闘技場編 ~借金1億? ならば筋肉とプロレスで倍返しですわ~
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第063話 制裁:絶対防御の金庫室? 「開けゴマ(物理)」でこじ開けて、年貢の納め時ですわ

「ひ、ひぃッ! や、やれ! 誰かこいつを殺せ! 私は逃げる!」


 ゴルドーは部下に抱えられ、足を引きずりながらVIP席の奥――金庫室の方へと逃げ出した。


「逃がさないわよ。……地獄の果てまで『請求』してあげる」


 わたしは、金網の外に鎮座している「相棒」を見つめた。

 ゴルドーの足を粉砕した、あの重厚な鉄塊。


 わたしは、両腕に巻いていた黒いバンテージの端を掴んだ。

 魔力を抑え込み、わたしを「なるべくただの人間」に近づけてくれていた枷。

 もう、必要ない。


 シュルリ、と音を立てて、バンテージが解け落ちる。


 ドクンッ!!


 瞬間、堰を切ったように魔力が全身を駆け巡った。

 圧縮されていた力が爆発し、大気がビリビリと震える。

 抑制から解放された筋肉が歓喜の声を上げ、視界がクリアになる。


「……ふぅ。やっぱり、全開は気持ちいいわね」


 わたしは右手を差し出し、優しく、しかし力強く呼びかけた。


「――来なさい。相棒」


 わたしの指先から魔力のパスが伸び、椅子へと繋がる。

 瞬間、黒鋼がわたしの呼びかけに呼応し、震えた。


 ズドォォォォンッ!!!


 地面を砕き、倒れた金網を突き破り、黒い鉄塊が弾丸のように飛来する。

 それは吸い込まれるようにわたしの手元に収まった。


 ガシィッ!!


 掌に伝わる、ずしりとした重み。冷たさ。そして、何よりも頼もしい「本物(オリジン)」の感触。

 贋作とは違う。これはわたしの魂の一部だ。


「……ああ。やはり貴方は、何よりも手に馴染むわ」


 全身の血が沸騰するような高揚感が、わたしを包み込む。

 解放された魔力による身体強化。

 原初の重みを持つ最強の鈍器。

 そして、悪役として暴れるべき最高の舞台。


 役者は揃った。

 今の「究極の悪役令嬢パーフェクト・レヴィーネ」は、何よりも強く、理不尽で、そして傍若無人だ。


「さあ、始めましょうか。――世界で一番派手な『解体ショー』を!」


 わたしは相棒を肩に担ぎ、ゴルドーが逃げ込んだVIP席を見上げた。


 ゴルドーは部下たちを盾にしながら、必死にVIP席へと続く階段を登っていく。

 部下たちが魔導銃を乱射してくるが、わたしは「玉座」を盾にして全て弾き返した。


「遅い!」


 わたしは階段を使わず、垂直に近い壁を身体強化した脚力で疾走する。


「う、嘘だろ!? 壁を登ってきやがった!」


 頂上に達したわたしは、そこからさらに跳躍した。

 狙うは、VIP席の防弾ガラス。


「お邪魔するわ、よッ!!」


 パリィィィィンッ!!!


 わたしはガラスを「玉座」で粉砕し、VIPルームへと飛び込んだ。

 破片がダイヤモンドダストのように舞い散る中、わたしは着地する。


「ひぃぃぃッ!! 来るな! 化け物ぉぉッ!」


 ゴルドーは部屋の奥にある、分厚い金属製の扉――「金庫室(パニックルーム)」へと逃げ込んだ。

 ドン! と重い音を立てて扉が閉まり、ロックがかかる。


「はぁ、はぁ……! こ、ここは絶対防御の金庫室だ! 核魔法でも壊せん! 貴様ごときに入ってこれるものか!」


 中からゴルドーの震える声が聞こえる。

 わたしは金庫の扉の前に立ち、コンコン、とノックした。


「……開けなさい。ミリアとアリスはどこ?」


「し、知らん! ここにはいない! 諦めて帰れ!」


「ふうん。……なら、無理やりこじ開けて聞き出すまでね」


 わたしは「玉座」を構え直した。

 絶対防御? 核魔法でも壊せない?

 ……ドワーフの魔導炉で古代龍の息吹に焼かれ、わたしの魔力を吸い続けたこの「相棒」より重く硬い物質なんて、この世にあると思って?


「――『開け、ゴマ(物理)(オープン・セサミ)』ッ!!!」


 わたしは全身全霊の力を込め、扉の中心に「玉座」を突き立てた。


 ズゴォォォォォォォォンッ!!!!!


 凄まじい衝撃音が響き渡り、カジノ全体が揺れた。

 分厚い金属の扉が、飴細工のようにひしゃげ、蝶番ごと吹き飛んだ。


「な、な、な……」


 扉の向こうで、ゴルドーが腰を抜かしていた。

 彼の周りには、山積みの金貨と宝石。

 そして――。


「あ、レヴィちゃん! お疲れー! うわぁ、派手にやったねぇ」

「レヴィーネ様! お待ちしておりました! ちょうどお鍋の〆の雑炊ができたところです!」


 金庫室から鉄格子を隔てた軟禁部屋(という名のコタツ付き堕落の園)から、アリスとミリアが手を振っていた。

 二人は無事だ。それどころか、ミソ鍋の残りを食べている。


「……たくましいことで」


 わたしは苦笑し、ゴルドーを見下ろした。


「さあ、年貢の納め時よ、ドン・ゴルドー。……このカジノの全財産、ファイトマネーとして没収させてもらうわ」


「あ、あぁ……私の金が……私の王国が……」


 ゴルドーは泡を吹いて気絶した。

 カジノの支配者は、物理の前に敗れ去ったのだ。

絶対防御の扉も、物理最強の鈍器の前では紙同然でした。「開けゴマ(物理)」、便利な魔法(?)ですね。これにてカジノの支配者は破滅。レヴィの完全勝利です!


物理ですべてを解決する悪役令嬢を「最高!」と思ってくださった方は、評価をいただけると嬉しいです!

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