第19話 決闘騒ぎ(後編):魔剣粉砕。物理最強の鈍器フルスイングで、特大のホームランを打ちました。
「はぁ、はぁ……っ! なぜだ、なぜ斬れない!」
息を切らすアラン。彼の魔力は尽きかけているが、その瞳の炎は消えていない。
(……いいわね。その根性は認めてあげる)
わたしはニヤリと笑った。
相手の技を正面から受けきり、その強さを証明させた上で、それを上回る力でねじ伏せる。
これぞプロレスの美学。
「さあ、そろそろフィナーレといきましょうか。……あなたの全力を出しなさい」
「くっ……! 後悔するなよ、悪役令嬢ッ! 我が命具の真髄、見せてやる!」
アランの全身鎧が輝き、剣の炎が巨大な獅子の形を成した。
「喰らえッ! 炎獅子・十文字斬りッ!!」
彼が放った最大の必殺技。紅蓮の十字が、全てを焼き尽くす勢いで迫る。
わたしはそれを避けない。一歩踏み込み、正面から迎え撃つ。
次の瞬間、わたしの姿はアランの目の前にあった。
「――フンッ!!」
わたしは担ぎ上げた物理最強の鈍器を、彼の炎の剣ごと、横薙ぎにフルスイングした。
ガゴォォォォォォンッ!!!
人体を殴打した音ではない。巨大な鐘を至近距離で打ち鳴らしたような、重金属の衝突音が闘技場を揺るがした。
アランの炎の剣は飴細工のように砕け散り、フルプレートの鎧は粉微塵に炸裂した。
吹っ飛ばされたアランを受け止める結界が悲鳴のような激しい火花を散らす。
だが彼の体は結界を突き抜けそのまま砲弾のように吹き飛び、闘技場の壁に激突して、そのままずり落ちた。
一撃。完全な沈黙が闘技場を支配する。
わたしは砂埃の中で、「玉座」を肩に担ぎ直し、観客席を見渡してニヤリと笑った。
(さあ、帝都の皆さん。よーく目に焼き付けなさい。これが――「北の撲殺令嬢」のデビュー戦よ!)
物理最強の証明完了です。ここから「北の撲殺令嬢」の名が轟きます。
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