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悪役令嬢の凶器はドス黒い鈍器です  作者: 月館望男
【第3部】帝都貴族院・学園無双編 ~学園の洗脳騒ぎは「パイプ椅子」で解決します~
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第18話 決闘騒ぎ(前編):その炎の魔剣、わたしの椅子で防げますか?

 ズヌゥッ……。


 影からせり上がってきたのは、煌びやかな命具の剣でも杖でもなかった。

 無骨で、歪で、ドワーフが匙を投げた失敗作のような、黒い金属の塊。


 ガチャリ、と重苦しい音を立てて、それが「椅子」の形になる。


「……は? い、椅子?」

「なんだあれ、ただの鉄屑か?」


 アランが、そして数百人の観客たちが、理解が追いつかずに呆気にとられた声を上げた。

 当然だろう。神聖な決闘の場で、令嬢が影から薄汚れたパイプ椅子を取り出すなど、前代未聞だ。


 だが、これこそがわたしのスタイル。


 わたしは、常人なら持ち上げることすら困難な重量級の「漆黒の玉座(オリジン)」を、片手で軽々と担ぎ上げた。


「さあ、課外授業の時間よ、熱血くん。――その熱い頭、物理で冷やしてあげる!」


「ふざけるな! そんなガラクタで、僕の魔剣が防げるものか!」


 アランが激昂し、渾身の力で炎の斬撃を放ってきた。

 岩をも溶かす高熱の刃が、わたしの「玉座」に直撃する。


 ガギィィンッ!!!


 甲高い金属音が響き渡り、火花が散った。

 しかし、「玉座」は赤熱するどころか、傷一つついていなかった。


「な、なんだと……!?」


 アランが目を見開く。

 無理もない。これはただの鉄ではない。失われた古代技術で精製された「黒鋼(クロムアダマン)」を、わたしの規格外の魔力とドワーフの秘技で鍛え直した、対物理・対魔法防御力SSS級のユニークウェポンなのだ。


「まだまだ! これならどうだ!」


 アランは諦めず、二撃、三撃と打ち込んでくる。

 わたしはそれを「玉座」の座面や背もたれで、的確に受け止めた。


 カンッ! キィン! ガンッ!


 重い衝撃が腕に伝わるが、身体強化したわたしの体幹は揺るがない。

 炎の獅子が牙を剥くたびに、黒い鉄塊がそれを無造作に弾き返す。その光景に、観客席の嘲笑は消え、どよめきと畏怖へと変わっていった。

衆人環視の中、ついに「相棒」を抜きました。その硬度は折り紙付きです。

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