1話 天使との出会い
初投稿で初めて小説を書きます!まったりと続きを書いていくので良ければご覧ください!
それはなんてことの無い1日だった。
朝、窓から差し込む太陽の光で目が覚めた。
ふあぁ...と欠伸をしながらベッドから起き上がる。
一人暮らしなので口うるさく朝の用意の催促をしてくる親はいなくそのまま顔を洗い朝食を食べる、そこから学校に行く準備をするのだが
「......今日も、行きたくないな休もう...」
そこからは早かった。
学校に休む旨の連絡をした後、少しの優越感と甘い罪悪感を噛み締めながら惰眠を貪った。
スマホをいじり見たくもないショート動画を横目に流しながらだらだらする。
何かをしようと思っても何もする気が起きない。
ゲームをしてもすぐに飽きてしまうし映画を見ようとしても長くてとても見てなんていられない。
そんな風に過ごしていてると、ふと時間の表示が視界を横切った。
18時37分
その時間を見て、気づいたら僕は泣いていた。
「あぁ、また今日も...」
ぽろぽろと涙が零れる
「なんで」
気づくな。
「なんで」
考えるな。
「なんで...何も出来ないんだよぉぉぉぉぉぉ」
気付かないことなど、考えないことなど、到底無理だった。
「みんなが頑張ってる、学校、会社それ以外でも、なんでも」
「それ、なのに僕は一日中自分に甘えて、学校のお金だって......出してもらってるのに」
吐露する言葉に比例して目から溢れる涙も止まらない。吐いても吐いても自分の不甲斐なさと情けなさに涙が出てくるだけだった。
「こんな」
「こんな、無価値で、む、いみ、な、ぼぐに生きてる意味なんて......ッ」
その言葉を吐いてまた自分の情けなさに、自分で自分を傷つける言葉に悔しくて嗚咽が漏れる。
「....ぅ.....ぐ......ぅ」
泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、体の水分全て涙になって出尽くしたのではという頃。
「...........」
頬を伝っていた涙も乾き、呆然としている時、ふと窓に目を向けるとそこから黒に塗りつぶしたかのような空が見えた。
「......行かなきゃ」
ベッドに手を付き、ぎこちない様子で立ち上がる。
「.........」
ふらふら、ふらふら、
「.........」
おぼつかない足取りで玄関に向かう。
「........」
玄関のドアノブに手をかけそのノブを回し、扉を開けた。
「........っ」
扉を開け、流れ込んでくる風に顔をしかめる。
「少しだけ、生温いな...」
それもそのはず。今の季節は6月。世間では真夏日だの猛暑日だの言っているのだ。
「........」
生温い風を受けながらマンションの廊下を歩いていき、階段を上に上に登っていく。
「.....っ....はぁ」
階段を上る事に動悸がする。それは運動不足がたたって階段を上るだけで息が切れているのか、それともこれからする行動が近づいていることで恐怖しているのか。
「...はぁ....はぁ!」
そして、もうマンションの屋上まで、着いてしまっていた。
「......はぁ!....はっ...はぁ...はぁ!」
ここまできて足がすくんでしまっている。恐怖してしまっている。さっきまで散々泣いたのにまた涙がこぼれそうになってしまっている。
だが、止まらない。柵を乗り越え、震える足を何とか動かしながら、屋上の端まで移動する。
「あぁぁぁぁぁ...怖い怖い怖い怖い...ッ」
今から自分は、死ぬのだ。今から飛び降りるのだ。
何度も死のうと思った。何度も飛び降りてやろうとここまで来た。でもその度に死ねなかった。何度も何度も死んでしまえば楽だと、何もかも考えなくていいとそう思っても足がすくんで動悸が止まらない泣きたい、死にたくない、死にたい、楽になりたい解放されたい、苦しみたくない、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ、嫌だ
(でも)
ーーやり直したい、生きたい、、学校に行って友達を作りたい、その友達と笑い合いたい、その友達と語り合いたい、その友達と青春ぽいことをしてみたい、親を安心させたい、感謝を伝えたい、そして、そして、そして、出来ることなら誰かを愛して、愛されたいーー
「やっぱり...やめ.....っ!?」
柵に手をかけようとした時、生温い風が強く吹いた
「......ぇ」
気付いた時にはもう体は足場も何も無い空中へと投げ出されていた。
「ーーーーあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
(お、おち、落ちてる!?)
空中をまるでコメディアニメのワンシーンのように手足をもがく。
だが、当然のように何も無く重力に従って落ちていく。
(し、しぬ!いやだいやだいやだいやだしにたくない!)
体は加速していく。
「ーーッッッッッッ!」
もう止まらない、止められない、胃の中の物が逆流してくるような感覚がある。体を纏う浮遊感が気持ち悪くて仕方が無い。
「しにたくない!!!しにたくない!!!!」
ーー地面との距離はゼロ距離、否、もう距離などなかった。
「ーーーぁ」
彼の意識はそこで途絶えた。
そしてそれが皮肉にも今まで様々な願いを叶えることができなかった彼が唯一叶えた願いであった。
「ーーし」
「ーーーもし」
「......ぅ」
(なんだ...?声.....?)
「もしもーーーーし!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
耳のすぐそばで声が響き、慌てて体が飛び上がった
すると
「!?」
目の前に広がっていたのは無だった。
「これは、なにが.....?」
正確には人工物、自然、日常にあるもの、無くてはならないもの、全てが存在しない真っ白な世界が広がっているだけだった。
「な...んだこれ...」
思考が追いつかない、そもそもなんでこうなっている?なんでこんな所にいる?何が起こっている?
思い出すために精神を集中させる。
(確か僕はさっき...)
その時
ズキッ!!!!
「あ」
さっきまでのあの気持ち悪さ、恐怖、浮遊感そして地面に衝突するあの瞬間感触が。
ズキッ!!!!!!
「ーーう」
段々と頭、そして体の感覚に
ズキッ!!!!!!!!!!!
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
蘇ってしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぅぅぅうううううう!?!?」
(し、しんだ!?しんだ、しんだ!あの気持ち悪さあの恐怖そしてあの...)
地面と激突する瞬間がフラッシュバックする。
(あの......痛み!!)
一瞬とはいえ確かに感じた痛み。それをかき消すかのように今はただ叫ぶしか無かった。
「あぁぁぁぁぁ!!!うぅうぅううぅう!」「ひっ!」「いいいぃぃぃぃぃぃぃ!」
転げ回り、頭を打ち、頭を掻きむしり、地面に拳を叩きつけ、泣き喚き
どれくらいの時間が経っただろうか。
「...はっ...ぁ...ぅ.........はぁ....はぁ」
暴れ、転げ回るのをやめて正常な呼吸を取り戻す。
「あのっ!」
「!?」
肩が跳ね上がった。そしてその声がした方向へと振り向く。
「ーーーーぇ」
そこには
「大丈夫ですか...?」
天使がいた。