第五話 崩落
休校期間が終わり、ついに久しぶりの学校。なんだか家族以外の人と喋るのも久しぶりで楽しみだな。
そうしてその日もカバンを背負って登校した。
けれど、あまり良くない状況ではあった。みんなマスクをしていた。なんだか不思議な気持ちだった。
俺は今マスクをしていない。休校が空けて、もうウイルスなんてないと思っていた。
みんなの視線は冷たくなっていた。
僕へ向ける視線は全て刺さるような目つきで冷気を帯びている。その時クラスの中で僕はとても小さく、小さく見えた。いつもなら対等に見えていた自分が、他のみんなとは土俵が違う。そんな気がしてままならない。不安な気持ちがいっぱいだった。
こんな目を当てられたのは初めてだったもので僕はハブられるかもしれない。その事しかその日は頭になかった。いつもの僕ならそんなことは考えなかった。ぼくが悪いことをしたのかもしれない。
そんな簡単なことしか考えなかったはず。
今日。この日は違った。なぜなんだろう。
そういえばこの休暇中誰とも遊ぼなかったし、誰とも喋らなかった。僕の中では変わっていないつもりだっけれど、恐らく変わってしまったのだ。
今まで生きてきた地盤が崩れてしまったのだ。
いつも、毎日毎日楽しく過ごしていただけだ。
けれど、僕は今それを全て壊したのだ。たった一度の間違い。僕ならば笑って許していたのだと思う。
けれどみんなは僕とは違う人間なのだ。
そんな簡単なことをなぜ忘れてしまっていたのだろう…
、そ、うか。パンデミックの、せいなのか。
思えば、僕は誰とも遊ぼうとはしなかった。
誘われなかったからっていうのもあるかもしれない。けれどみんなは、外で遊んでいたのだ。
僕はその休暇中ずっと怠けていた。ただ、ご飯を食べて、寝て、ゲームをする。
それだけを繰り返していた。体はだらしなくなった。
きっと、僕は僕ではなく、俺になってしまったのかもしれない。
その日は、とりあえず3時間で帰れる様だったのでそのまま帰った。その日は枕に顔をうずくめながら、泣いた。喉がやぶれるくらいに。枕は俺の涙で、しわくちゃになっていた。俺は風呂に入りながらどうすれば良かったとか、これからどうすれば嫌われずに生きていけるとか考えてた。わかってる今考えたって意味がないって。とりあえずその日疲れてもいたし忘れたかったから寝た。
翌朝。俺はやはり学校には行きたくなくなっていた。
行けば対してみんなは気にしていないって知っている。けれど体が怖かった。マスクを今日して行っても、もう遅いんじゃないんだろうか。そんなことを考えていたけど、親に心配かけたくないし学校にはいく。
いつも通り重たいカバンはいつもより少し重たく感じた。
暗い朝日を浴びて登校をした。
みんなは振り向いてはくれなかったけれど、やっぱりみんなあまり気にしてはいなかった。
俺の自意識過剰だったってことだそれで済んで良かった。
その日はまだ始まったばかりで授業はなかった。
なんか総合的な感じのやつだ。
1ヶ月が経った頃だろうか…
俺は話の合う友達と休み時間は集まっていた。
9人ぐらいだろうか
原田 幸樹
優しい奴だけど、なんか不思議なやつだ。
でも俺はその不思議な感じが好きだ。
前田 龍也
とにかく背が高い。
稲田 秋
頭がいい。しかも地頭がいいタイプ。
釜谷 雄也
イケメンだけどあんまり騒がしいタイプでは無い。
そんな雄也が好きではある。
赤坂 勇利
なんとも言えないけど、面白いやつではある。
桜井 誠
某大手ゲームの作者と一緒の名前だ。
それだけで十分友達としての価値が高い。
前谷 尚人
小さい頃から一緒の友達。なんと言ってないけれど
昔からの付き合いで仲がいい。
中上 太郎
坊主の昭和の子供みたいなやつだ。
なんとも親の意思らしいから可哀想ではある。
上代 彩人
唯一俺と同じで本が読むのが好きなやつだ。
いつもこのうちの誰かと休み時間は過ごしている。
みんないわば陰キャだ。俺は陰キャ。
辛い現実が目の前にあるけれど不幸ばかりでは無いということにここ1ヶ月で気づいた。