第一話 生い立ちの生い立ち…
吾輩は魂である、名前はまだない。
というテンプレートを使って自己紹介だ。
俺は君達と違って、後輩の後輩の後輩の後輩の…
魂である。俺は今は死後の世界、千生世界にいる。
もうかれこれここで10億年は徳を積んでいる。さすがに飽きが突いてきている。
それでも現生世界に行くには徳があと8万徳いる。俺の手持ちは2万徳、せいぜい40億年はまだ働かなければいけない。
噂によれば神様が極のたま〜に徳を足りずと転生させてくれる…って話だが、俺は新しい魂だから多分無理だと思う。そうなれば…いやそんなことはないな。
―――――――――――――――――――――
今日も今日とて徳を積んでいる。そんな毎日がもう10億年と続いているのだ。君たちであったら気が狂っているだろう。徳の積み方は魂の話を聞いてその話を解決することだ。もちろん俺も話をして他の魂達に徳を積ませてる。俺の徳が減る訳では無い。そんな感じて徳のやり取りが俺が住んでいる苦善行世界では循環している。
魂によってはこの世界はかなり辛いらしい。
頼み事が辛く、地獄にも思える世界らしいが、
天涯地獄世界に比べれば何億倍もマシだとは思うのだが…と言いたい所だが、俺自身も天涯地獄世界には行ったことがないので真相は分からない、けれど魂たちの最悪の世界が天涯地獄世界であるならきっとそっちの方が辛いのだろう。ということはこの世界で愚痴を吐いている魂たちは贅沢なクソ野郎ってことだ。おっと、言いすぎたか…まぁそんなことはいい
俺は今回最高の頼み事を受け付けた。
なんと報酬は10万徳だ。
一体何をやればそんなに貰えるのか、と言うと…
苦善行世界にある3つの巨大な山。
クリネル山
ネルサンダー山
そして小さな山が連なっている、幽緑山脈
全て神山だ。神の住む山と書いて、神山
この3つの山の山頂にある、龍宝玉を集めてこいと言う話だ。こんなものを集めてどうなるというのか…気になり話は聞いたが、「教えてもいいが、君が敵になるというのなら容赦はしない。」とまで言われたのでさすがにやめた。俺は平和主義だから争いは好まない。そして俺はその3つの山のうち、ふたつをせいはした。幽緑山脈にあった、崩山龍 シンライニエルの山緑宝玉と、
ネルサンダー山にあった、鳴龍エネザリナの電荷玉を手に入れた。あとはクリネル山にある 千神龍 サウザンテットドラゴンの千勝玉だけになった。今は頂上に近い千の通り道という所を登っている所だ。あと二年もあれば着くだろう。もう少しだ…
―――――――――――――――――――――
旅の間話だが、もう山頂まで登ったふたつの神山だが、幽緑山脈の中の山、土坑山が結構キツかった。
なんせ土で出来た謎の釘が何個も刺さってた道だ。
怖いし、精神的に辛かった。
いちばん辛かったのはネルサンダー山の麓である。
上がりくねりが山頂までほぼずーっと続いていた。
何度も気分も悪くなった、頼み事以外で行こうとは思えない山だった。これなら10万徳でもいいよと言える気持ちがわかった気がした。捜し物ってのは、
基本高くても100徳が限界だった。けれど今回の頼み事は10万得だ…1回で現生世界に能力を持ったまま転生できる。何故誰もやらないのか分からないぐらいだ。
みんなネルサンダー山の辛さを知っているからだろうか。それなら辻褄が合わんこともない。
それにしてもやらないわけがない頼み事だがな。
まぁみんな大大大先輩の人が多いから徳に貯金があるんだろう。
―――――――――――――――――――――
そんなこんなで、すれ違う人と会話を交わして、また山頂目指して歩く。時には現生世界に転生した後何をしようかな〜なんて考えたりもしたが、記憶を無くすので意味が無いことを忘れていた。そんな毎日が続いてはや1年半。山頂が見えてきた。あと1ヶ月も登れば着くであろう所だ。「案外早く着いたな…」つい声が出てしまった。あと少しで現生世界に転生できることと、頼み事が終わってゆっくり出来るからだ。にしても龍宝玉を渡したあとなにをするかぐらいは見せて欲しいものだな。
あと少し、今日も今日とて頑張って山頂を目指すのであった…