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佐奈ちゃんの【好きな人】

 かつての幼馴染で、今は【双子姫】と呼ばれている奈々ちゃんと佐奈ちゃんを俺の部屋に連れて行き、座椅子を用意する。

 四人分あってよかったな。


「おー、座椅子なんだ。 これ、高かったんじゃ?」


「いや、通販で安めの奴を買ったみたいだ。 今の父親が」


「真由ちゃんのお父さんだね? ホントすごいね、今のまーくんの家族。 真由ちゃんとは同い年の妹さんになったんでしょ?」


「まぁ、色々あってな」


「その下りも真由ちゃんから聞いてるし、深くは聞かないよ」


 奈々ちゃんと佐奈ちゃんは、用意された座椅子を見て感心していた。

 とはいえ、真由の実の父……、俺にとっての新しいお父さんが通販サイトで安めの奴を選んで買ったのだけどね。

 それを四つ購入できるほどに今の家族の財政は安定しているのだ。


 で、今の家族事情とそうなるきっかけの話も真由から聞いたようで、俺からは敢えて聞かないでおくと佐奈ちゃんが言った。

 何だろう、今の俺にはこういう気遣いが嬉しく思う。


「お待たせ。 緑茶とクッキーしかなかったけど、いいかな?」


「構わないが、もう少しマシな発言できないか?」


「えー!?」


「まぁ、さっきのはどこぞの真夏の夜を想像しちゃうしね。 仕方ないね」


「あはは……」


 そこで、真由がとんでもない台詞を言いながら緑茶とクッキーを持ってきた。

 その台詞にすかさずツッコミ、佐奈ちゃんも奈々ちゃんも苦笑いを浮かべていた。

 さて、真由が用意した緑茶とクッキーをテーブルに置いて、俺が要望により奈々ちゃんと佐奈ちゃんを挟むように座り、奈々ちゃんの隣に真由が座る。

 そして、四人で少し話を始める。


「真由から聞いたけど、二人はあいつらに襲われたんだって?」


「そうだよ! すっごく不快だったんだよ! 幸いトイレを済ませた後だったからいいんだけど」


 まず、真由から聞いた校外学習でのアクシデントについて触れてみた。

 佐奈ちゃんの反応からして、否定はしなかったか。

 とはいえ、二人は悪野と葛宮に襲われた事には、不快感を露にしていた。


「悪野が奈々を、葛宮がボクを押し倒して、さらにそこからスカートを捲ろうとしたんだよね。 ボクはその際に股間を蹴り上げて脱したけど、奈々は上手く抵抗できなかったんだよ」


「でも、その直後にクラスメイトの男子二人がタックルで二人を私達から引き離してくれたんだよ。 そこからは真由ちゃんから聞いた通りだね」


「最悪だな、そいつら」


「本当にね。 ボクのスカートは好きな人にしか捲らせないつもりだしね」


 奈々ちゃんも佐奈ちゃんもあの時の事を思い出してより不快感を露にする。

 二人にとっても悪野と葛宮は、危険人物扱いになってたんだな。

 しかし、クラスメイトの男子二人が奈々ちゃん達から悪野達を引きはがさなかったら、奈々ちゃん達はそのまま犯されてたって事だよな。

 そう思うと冷静でいられなくなる。

 あと、佐奈ちゃんはさらっととんでもない事を言ってませんかね?


「そうそう、二人の好きな人って誰なのかな?」


 そこで、真由が二人の好きな人って誰なのか聞いてみた。

 まぁ、告白を断るくらいだし、気にはなるだろうね。

 俺もだが。


「あー、奈々はまだいないんだよ。 候補はいるみたいだけど。 奈々の場合は、断りやすい理由として使ってるしね」


「奈々ちゃん……」


「告白してくる相手が、ほとんど自分中心の人達ばかりだしね。 ゲンナリしてるんだよ」


 佐奈ちゃん曰く、奈々ちゃんはまだ好きな人はいないみたいだ。

 候補はいるみたいだが、実際には断りやすい理由としてよく使うようだ。


「じゃあ、佐奈ちゃんは?」


「ボク? ボクはもちろん……」


 奈々ちゃんの事は理解した真由は、今度は佐奈ちゃん自身の好きな人について聞く。

 そこで佐奈ちゃんは……。


「え、佐奈ちゃん!?」


「もちろん、まーくんだよっ♪」


 俺に抱きつきながら平然とそう答えた。

 というか、佐奈ちゃんはあの時からずっと俺を想っていたのか?

 真由も何だかニヤニヤしてるし……。


 嬉しさと同時に恥ずかしさも込みあがってきて、どうしようもない。

 さらに俺の身体に、佐奈ちゃんの胸が当たってるし……。


 そんな中で俺が理解したのは、佐奈ちゃんが好きな人は俺だという事実だった。



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