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双子姫と【再会】

「ただいま、兄さん」


「ああ、お帰り。 啓介は先に帰ったんだっけか?」


「うん。 報告がてらにね」


 校外学習が終わって、無事に家に戻って来た同い年だが義妹(いもうと)の真由。

 啓介の方は、校外学習で起こった出来事を家族に報告するために先に帰ったと言う。

 まぁ、事情聴取とはいえあのお(つぼね)教師と悪野と葛宮は警察に連れて行かれたしな。


「それで、高岡姉妹は?」


「うん。 連れてきてる。 そろそろ入れさせるね」


「ああ」


 通話でも言ってた通りに真由は、あの高岡姉妹を連れてきていた。

 今は玄関の外で待たせていたが、いよいよ近くでお目に掛かる。


「お待たせ、兄さん。 ささ、二人とも」


「うん」


「お邪魔します」


「あ……」


 真由に促されて入って来た、【双子姫】と言われている高岡姉妹。

 そこで、間近で見た二人の雰囲気で、懐かしさがこみ上げて来た。

 真由は二人の中間に立って、トラウマが発動しないように見守っている。

 一人はなんとなく分かるが、もう一人はやはり見た目が変わっている。

 記憶上、昔の二人はロングヘアだったのだが、片方は、始業式の時に見たのと同じボブカット風味のセミロングだからだ。

 それでも、漂う雰囲気でもしかしてと思い、声を掛けようとしたところ、向こうから声を掛けて来た。


「7年ぶりだね。 『まーくん』」


「すごく久しぶりに顔を見れたよ」


「昔の俺の呼ばれ方……、あの『ななちゃん』と『さなちゃん』なのか? セミロングの方は、佐奈ちゃんか?」


「うん。 ボクの方は見た目も変わっちゃったけど、まーくんの知る佐奈だよ」


 ああ、間違っていなかった。

 7年前に引っ越しをするまで、よく遊んだ双子の女の子だった。

 そして、佐奈ちゃんが間髪入れずに、鞄から何かを取り出す。


「それは……、まさか……」


「そう。 6歳の夏祭りの時にまーくんがお小遣いをはたいて買ってくれたおもちゃのネックレスだよ。 ボクは今でもお守りとして持ってたんだ」


 佐奈ちゃんが見せたのは、6歳の時に小遣いをはたいて佐奈ちゃんに買ってあげたおもちゃのネックレスだ。

 まさか、それを大事に持っていたなんて……。


「まーくんが引っ越してからの辛さも真由ちゃんから聞いたの。 あのニュースでも騒がれたいじめ事件での被害に遭ったって」


「ボク達もそれでまーくんの抱えるトラウマを知ったよ。 それでもまーくんと話したかったんだよ。 ごめんね」


「いや、俺も信じられなかったから。 あの双子姫が奈々ちゃんと佐奈ちゃんだったって。 同姓同名だと思ってた」


 二人も真由から事情を聞いたようだ。

 それを踏まえても、俺と話をしたかったみたいだ。

 だけど、トラウマは発生していない。

 むしろ、懐かしさと会えた嬉しさで一杯だ。


「でも、今のでようやく確信した。 やっぱりあの時の奈々ちゃんと佐奈ちゃんだった」


「「まーくん!!」」


 俺がそう言い終えた所で、二人が俺に抱きついて来た。

 特に佐奈ちゃんの温もりがすぐに伝わる。

 懐かしい温もりはそのままに、胸とか成長しているなぁとは思ったが。


「会えないかと思ってたけど、二人とこうして会えてよかったよ」


「ボクもだよ。 まーくんに会えてよかったよ」


「私もだよ」


「よかったね、兄さん。 二人が兄さんの事を覚えててくれて」


 奈々ちゃんと佐奈ちゃんが涙を流しながら再会の喜びをかみしめていた。

 見守っていた真由も涙を流しながら、この再会を祝福していた。


「それじゃあ、上がっていこうか。 お茶とか用意するよ」


「そうだね。 ここ、玄関だしね」


「じゃあ、私もお邪魔するね」


 落ち着いた所で、真由が奈々ちゃんと佐奈ちゃんに家に上がるように告げる。

 そういえば、まだここは玄関だし、話の続きは部屋でゆっくりとしようか。

 


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