佐奈が二宮家に泊まるようです
俺は佐奈の泊まる発言に驚いていたが、佐奈の一泊を二宮家が既に認めていたようなので、俺も受け入れた。
一旦、佐奈が部屋用の私服に着替えるために、俺は部屋を出た。
その前に色々と佐奈に話を聞いた所、京也さんと紗友里さんも今回の件を話した結果、一泊してやったらどうだと言われたそうだ。
道理で佐奈の荷物が他より多いなとは思ったが……。
幸いにも明日も休学だからな。
それよりも年頃の娘を他人の家に一泊させる京也さん達……、警戒心なさすぎでしょう。
まぁ、俺も真由も京也さんを知ってるし、母さんと紗友里さんは7年前に知ってるからいいんだけどさ。
「着替え終わったよ、まーくん」
「ああ、入っていいか?」
「もちろん……っていうか、ここまーくんの部屋でしょ」
「確かにそうだけど」
そんな事を考えたら、着替え終わった佐奈がドアからひょこっと顔を出したので、部屋に入る。
そこで一泊するもう一つの理由を話し始めたのだ。
「今回の寝泊まりはね、あの下酢対策も兼ねてるんだよ」
「下酢の?」
佐奈は、下酢対策も兼ねていると言った。
確かに、奴の会社は業績が一気に悪くなってるために学校には来れてないが。
それ故に、何かしでかすかも知れないって事か?
「実はここ最近の夜にね。 マンションの周りを徘徊してるみたいなんだよ」
「え!?」
まさかの話に俺は驚く。
あの下酢が、夜に双子の住むマンションを徘徊しているらしいとか。
「警察には?」
「父さんが知り合いの刑事さんに伝えている。 見つけ次第捕まえるみたいだけど、悪野達と同じで尻尾が掴めない状態みたい」
「マジか……」
一応、京也さんの知り合いの刑事に報告して張り込んで貰ってるみたいだけど、如何せん尻尾が掴めないらしい。
どうも悪野達と同じように、警察がいると分かればすぐに姿を消すようにしているとか。
悪どい事を考える輩は、色んな逃げ道を考えてるんだよなぁ。
「田井中さんや真由ちゃんからも教えてもらってね。 狙いはボクみたいなんだよ」
(やっぱりか)
やはり、奴の狙いは【元気姫】である佐奈だ。
トイレに行く佐奈を呼び止め、無理やり連れだしては、失禁させるかOKを出すまで解放させないといった下種な行為をする程だ。
自分の思うようにいかないならと誘拐しようと考えてるのだろう。
「真由ちゃんのお父さんの親族の一人が警察勤めみたいだし、そっちにも報告してるみたい」
「ひとまず、マンションにいると思っている間に、佐奈はこっちで一泊と」
「うん。 どのみちまーくんを支えたいしね。 あんな事があったし」
「あれは俺自身も佐奈が刺されるんじゃないかと思ったら、意識が飛んだからな……」
下酢対策と悪野の件で一時悪化した俺の支えとなる事の両方の目的で彼女はここに泊まるのだ。
「奈々はどうなるんだ?」
「達也叔父さんが迎えに来て、送ってもらう予定だよ」
「ああ、なるほど」
一方の奈々は、達也さんが迎えにくるようなので、そこでマンションに送ってもらう予定らしい。
「そろそろ夕飯が出来るね。 ボク達もキッチンに行こうか」
「ああ。 奈々のカレーの出来具合が気になるしな」
「おばさんが教えてくれてるから大丈夫でしょ」
「そうあって欲しいよ。 カレーは好きだからな」
そろそろ夕飯の時間なので、俺達はキッチンへと向かう。
奈々が作ったカレーは、母さんが教えたとはいえ出来具合に不安があったが、美味しく食べられた。
ポテトサラダも何だかんだで美味しく食べられたので、やはり母さんの指導力に脱帽するな。
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