自称陽キャと双子姫の争い
【Side 双子の姉妹】
「悪いけど、あんた達のような性格の悪い男と班になる気はないよ」
「何言ってんの? この俺達が誘ってるんだから引き受けるのが筋だろう?」
見た目だけイケメンの性格最悪の悪野と葛宮が私達を班に入れようと誘ってきたが、佐奈がドスの効いた声で明確に否定する。
だが、二人は全く聞く耳持たず、拒否権はないと言わんばかりに捲くし立てる。
まるで自分がルールだと言わんばかりに。
「このクラスにあんた達がいる事が害悪なんだけど? 周りの反応、見てないの?」
「ははっ、みんな俺達にひれ伏してるのさ」
「そうそう。 俺達はイケメンだからな」
佐奈の怒りの言葉にすら臆するどころか、自分に酔っている感じが不快感を感じるが所以だ。
しかし、二人は自分達にはひれ伏してると思っているようだ。
というか、自分でイケメンと言うのか……、たまげたわねぇ。
だから、周囲から危険人物扱いにされてるんだけどね。
「本当にあいつら、うざったいよな。 平気でトラウマ持ちの二宮をいじめにかかってるし」
「本当にね。 何でこのクラスになったのかしら?」
「双子姫がいるから良かったと思ったら、地雷も一緒とかマジありえないんですけど」
「二宮君は真由ちゃんから事情を聞いてるけど、二人のせいで悪化してるんだよね。 昨日もクレームが入ったって」
「俺も啓介から事情を聞いてるから理解はしてるからいいけど、あいつらはそれを底辺陰キャ呼ばわりしてたしな。 殴りたい気分だよ」
「俺達が違法タックルしても懲りないからなぁ。 バカは死んでも治らないってか?」
周囲のクラスメイトの声を聴くと悪野と葛宮に対する不快感ばかり。
しかも、ギャルっぽい女子からも二人が地雷だとか言われてるし。
また、おそらく去年も正樹君と同じクラスだった子もいており、それを踏まえて二人を非難しているし。
あと、違法タックルって……、新手の必殺技か何か?
それを差し引いても、この二人の感覚はもしかしてずれてる?
それとも、都合の悪い発言は聞く耳持ってないとか?
あ、早紀先生が二人を睨んでる。
先生もこの二人を問題児だと認識してるのかしらね。
「周りからは、あんた達に対して悪い印象しかもってないんだけど?」
「そうね。 害悪という言葉すら聞こえたくらいだし」
「ははは、それは君達の幻聴だよ。 俺達は最高の評価を貰ってるからね」
「ささ、いつまでもあんな底辺陰キャのは放っておいて、俺達と……」
私にも聞こえた二人の悪評。
だが、件の二人は幻聴だと言い切っており、周りの声はシャットアウトしているみたいだ。
ここまで自己中心の性格は、お目に掛かったことはない。
そこで、再び正樹君を底辺陰キャ呼ばわりして、佐奈の腕を掴もうとした瞬間だった。
「「ぐぼぁぁっ!?」」
佐奈が先に二人に対して無言の腹パンを浴びせて来た。
思いっきりお腹を目掛けて拳を繰り出したのだ。
それをまともに受けた二人は、腹部を押さえて蹲る。
「今、何て言った?」
「「うっ!?」」
「ボクの正樹くんに対して、底辺陰キャだって言った?」
「「ひいっ!!」」
さっきの発言に切れた佐奈が、二人を見下ろす。
どさくさに紛れて『ボクの正樹君』って言っちゃってるし、これどうするの?
確かに佐奈は、引っ越しでいなくなってからもずっと正樹君の事を思い続けていたからだけど……。
「はいはい。 とにかく、そこの二人は罰として校外学習には教師と同行となります。 なので、班決めはこの二人も除外してくださいね」
「「ええっ!?」」
「一部の教師から聞いただけですが、去年からずっと問題行動起こしておいて、自分は悪くないは通じませんよ?」
あ、早紀先生もキレかけてる。
二人の問題行動は去年からで、しかもそれを一部の教師には伝わってたのか。
それを罰すら与えてないのは……、共有していた一部の教師以外が絡んでるのだろうか。
そうなると、この学校にも闇があるんだなぁ……。
「さて、佐奈ちゃんに奈々ちゃん。 私達でグループとして報告しようか」
「そうだね。 いつまでも馬鹿に構っててもしょうがないしね」
「そうね」
こうして、今回の校外学習は私と佐奈、そして田井中さんで一つの班として活動する事となった。
正樹君が来ないのは寂しいけど、あの二人がいる以上、仕方がないかな……。
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