双子姫と母親の誕生日④
ここ最近の1話あたりが短くなってます。
リアルによるストレスの影響もあるので、ご容赦下さい。
「二宮君も誕生日パーティーに来てたでござるか」
「ああ、元々奈々と佐奈とは仲が良かったしな。 特に今は佐奈には支えて貰ってる」
「まだ、トラウマによって接触が出来ない人もいるからね」
佐奈と奈々が田井中さんと服部君を招いて俺の周囲を固めている。
話しやすいかつ信頼できる人であるなら、接してもトラウマが発症しないが、そうでない場合は近づいただけでもトラウマが発症しやすいのだ。
クラスメイトも初期はそうだったが、ここ最近は話しやすくいい奴らばかりだと知ったしな。
ある二人以外は……。
「はい、お二人にもケーキをおすそ分け」
「あ、ありがとうございます」
「いただくでござる」
「服部君って、ござる口調なんだね……」
「聞いた所、父親譲りらしい」
紗友里さんが田井中さんと服部君にケーキを差し出す。
そこで真由は、服部君の『ござる』口調に苦笑していた。
これは、俺が当人に聞いてみたところ、父親譲りらしいので、矯正は難しいだろうな。
「あ、このケーキはやはり【パンナコッタ】のかな?」
「やっぱり有名なんだね、そのケーキ屋さん」
「そりゃあね。 私立ゆらめき高校の生徒の大半が知ってるブランドだからね」
「セカンドマートに向けたスイーツも作ってるという話でござるからな。 あそこのシュークリームは美味でござったよ」
奈々と田井中さんと服部君で、やはりあの【パンナコッタ】の話で盛り上がっている。
九条財閥が運営している学校のゆらめき高校の生徒の大半が知っているって……。
すごすぎるよな、あのケーキ屋さん。
「そういえば、佐奈ちゃんは絵も描けるんだっけ?」
「そうだよ。 お母さん譲りでね」
「イラストレーターでしたっけ?」
「ええ、フリーのね。 メインはこういう絵柄のね」
「あ、それは……」
一方で俺と真由は、佐奈に絵が描けるのかで盛り上がる。
紗友里さん譲りなので、かなりの絵心があるのは知っている。
今でも紗友里さんは、フリーのイラストレーターをしており、かなりの依頼があるおかげでこれだけでも食べていけるほど稼いでいる。
そして、得意の絵柄を見せる際に、京也さんが目を見開く。
「あれ、ママのこの絵、初めてみるよ」
「そうだろうなぁ。 これはママと出会ってすぐにWEB小説を見られたのをきっかけで描いてくれた絵なんだよ」
「そうなんだー」
紗友里さんがみんなに見せてもらった絵は、どうやら兼業作家デビューする前の出会ったばかりの時に、京也さんのWEB小説を見て描いたものらしい。
いや京也さん、いくら何でも不用心すぎるでしょう。
いくら怪我に功名とはいってもさぁ。
和哉くんもこのイラストに興味をもったようで、イラストを描き始める未来しか見えなくなった。
「そういえば、プレゼントはいつ渡すので?」
「別の人が来たらかな。 多分、もうすぐ来るはずだし」
もうすぐか。
この流れだと、会った事のない春日井家だろうけど……。
「ボクが支えるから、大丈夫だよ」
そんな事を考える俺を佐奈が身体を密着させながら、そう言った。
彼女の支えがあれば、トラウマ発症の度合いは抑えられるはずだしな。
そして、インターホンが鳴った。
次回は明日の昼に更新します。
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