双子姫と母親の誕生日①
「やあ、正樹君いらっしゃい。 よく来たね」
「来てくれてありがとうね。 ささ、上がって」
「お邪魔します」
時間が流れて、今日は5月7日。
この日は、双子姫と呼ばれている奈々と佐奈、そして彼女達の母親である紗友里さんの誕生日だ。
佐奈が前もって、俺の事を伝えてくれたのでプレゼントに関してもあまり悩むことがなかった。
同い年の義妹の真由も連れてきているので、兄妹からという形でプレゼントを渡すことになったからだ。
プレゼントは、俺達の両親に頼んで買ってもらった。
お金がないからね、仕方ないね。
「この子がこの間話した再婚相手の子で、妹になった子かな?」
さて、玄関に上がる所で、京也さんが真由に気付いたので、俺は京也さんと紗友里さんに真由を紹介する。
「はい。 同い年の妹の真由です」
「二宮 真由です。 義兄共々よろしくお願いします」
「ああ。 君の事は佐奈と奈々から聞いてるよ。 こちらこそよろしくな、真由ちゃん」
「ささ、真由ちゃんも上がってね」
「はい。 お邪魔します」
京也さんも紗友里さんも真由を歓迎してくれている。
佐奈と奈々から話を聞いているようで、こっちも安心した。
「あ、まーくんに真由ちゃん」
「来てくれたんだね、二人とも」
「ああ。 プレゼントは俺達兄妹で纏めてだけど」
「まーくんには無理はさせたくないからね。 今年は日曜日になってるから、長い時間いっしょだね」
「確かにそうだな。 佐奈と長めに一緒に居られるな」
「やれやれ、お熱いねぇ」
「本当にね」
今年の5月7日は日曜日になっているので、実質のゴールデンウィークは今日までとなる。
平日だとなかなかゆっくり誕生日を祝えないので今年はある意味有り難いな。
佐奈も同じく、俺と長い時間一緒に居れるのが嬉しいようで、俺に抱きついてくる。
それを見た真由と奈々は、少し苦笑いしているな……。
「あ、にーちゃん!」
「和哉くんもこんにちは」
「佐奈姉と奈々姉とママの誕生日に来てくれたんだ!」
「ああ。 一緒に三人を祝ってやろうな」
「うん!」
さて、みんなでキッチンに入ると、和哉くんが出迎えてくれた。
あれから、和哉くんも俺に懐いている感じだ。
懐かしさで涙が出そうだ。
「あれ? にーちゃんの横にいるおねーちゃんは?」
「ああ、俺の妹だよ」
「和哉くんかな? お姉ちゃんは二宮 真由っていうんだよ。 よろしくねー」
「うん! 真由姉、よろしくー」
「元気いっぱいだね、和哉くんは」
「だから、可愛く思えるんだよね。 ボクも奈々も可愛がってたから」
そして、和哉くんに真由を紹介した。
元々、和哉くんは人懐っこいので、真由に対しても元気いっぱいに挨拶している。
奈々と佐奈もそんな可愛い弟を微笑ましく見ている。
「さて、そろそろ始めようか。 ケーキを用意しておいたぞ」
「「「はーい!」」」
京也さんが予め買っておいたと予想される大きめのイチゴが乗ったクリームケーキを二つ用意していた。
俺と真由以外にも来るだろうとは予想しているためだ。
まぁ、一気に三人を祝うんだから、それくらいは必要か。
「達也おじさんと朱里おばさんは来るかな?」
「あの二人は来ると思うぞ。 後は、春日井君の家族かな」
(春日井……? 確か早紀先生も同じ苗字だったけど)
奈々と京也さんの話によると、達也さんと朱里さんも来るみたいだな。
後は、春日井家の人達も来るらしいが……、ふと、早紀先生も同じ苗字を名乗っていた事に気付いた。
何かの関係があるのかは、ここで聞かないで置いた方がいいかな?
そんな事を思いながら、ケーキが配られるのを見ていた。
いよいよ、奈々と佐奈、そして紗友里さんの誕生日パーティーが始まる。
次回は明日の昼に更新します。
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