表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/56

佐奈と奈々の住むマンションへ①

「ごめんね、まーくん。 父さんと母さんがどうしてもって」


「仕方がないよ、佐奈。 いつかは会わないといけないとは思ってたし」


「一応、引っ越してからのトラウマとその理由を伝えたけどね」


 もうすぐゴールデンウィークに差し掛かる週末。

 佐奈と奈々に確認を取り、週末に奈々と佐奈が住むマンションに訪れる事になった。

 彼女達の両親にも7年ぶりに会うのだが、奈々と佐奈は事前に俺のトラウマとそうなった理由も話したようだ。

 両親相手にトラウマが発動してしまった場合に備えての事だろう。


 午前9時に、奈々と佐奈が二宮宅にやって来た。

 待ち合わせはここにしようと佐奈が昨日の夕方に通話で提案したのを受け入れたからだ。


「じゃあ、真由。 行ってくるよ」


「うん。 向こうで色々話をしてきてね」


「何かあったらボクの方から連絡するよ」


「佐奈ちゃんもお願いね」


「うん。 じゃあ、行こっか、まーくん」


 佐奈に腕を組まれたまま、俺は佐奈と奈々の住むマンションへと向かう。




「緊張してるね。 7年ぶりに会うのと、トラウマによる恐怖症のせいかな?」


「一応、徐々に話せる人が増えてはいるが……」


 マンションに向かいながらだが、奈々が俺の様子を見て、心配そうにしている。

 佐奈もやはり心配そうに俺を見ているな。

 7年ぶりに彼女達の両親の顔を見るのだから、緊張するに決まっている。

 さらに、7年前のいじめによるトラウマから来た人と接する事に恐怖を抱えている状態なのも拍車を掛けている。


 ここまで何とかある程度の人達との交流は出来ているんだけどな。

 だが、それ以上に不安を抱えているのもまた事実。

 

 向こうでトラウマの発症がないように祈るしかない。


「このマンションだよ」


「ここなのか……。 外観からして家賃とか高そうなマンションだな」


「まーくんの言うように実際に高めなんだけどね。 5人家族用のタイプだし」


「でも、父さんと母さんの収入がいいから、問題はないみたいだよ」


 少し歩いてたどり着いた佐奈と奈々が住むマンション。

 外から見ただけでも家賃などが高そうな大きなマンションに済んでいるみたいだな。

 佐奈曰く、5人家族向けの物件に入居しているので、やはり割高らしい。

 それでも、彼女達の両親の収入がいいので、問題はなさそうだと奈々が言う。


「さ、入るよ。 ボク達の部屋は3階だからね」


「ちなみに角部屋になってるよ」


 佐奈達の住む部屋は3階になるようで、エレベーターを使って3階に上がる。

 奈々曰く、角部屋なので他のマンションの部屋よりは広めらしい。


「ここだよ。310号室」


「ここに住んでいるのか……」


「うん。 じゃあ、先に入って父さん達に確認を取るね。 佐奈、まーくんは任せるよ」


「もちろん」


 二人が住んでいる部屋である角部屋の310号室。

 そこに着いたと同時に、奈々が先にドアを開けて中に入る。

 佐奈は俺と一緒に外で待機している。


「何かあったらすぐに真由ちゃんに連絡するから、緊張はしないで大丈夫だからね」


「あ、ああ……」


 佐奈はああ言ってくれている。

 彼女の温もりと優しい言葉に安心感を与える。

 なるべくトラウマを発生させないようにと必死だ。


「入ってオッケーだよ。 佐奈、まーくんを部屋に入れさせて」


「分かった。 いよいよ父さん達との再会だよ、まーくん」


 少しして、奈々がドアから顔を出す。

 入っていいという事だろう。

 それを聞いた佐奈が、俺を連れて部屋の中に入る。


 いよいよ、彼女達の両親とも『再会』する事になりそうだ。


次回は明日の昼に更新します。


よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。


作者のモチベーションの維持に繋がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ