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人のトラウマを飯の種としていじめる奴ら

 高校二年の学校生活が始まって1週間。

 昼休みに真由と啓介に愚痴を言いながら昼食を食べる以外は、基本的に人を避けている。

 そそくさとトイレへ逃げては、チャイムと同時に席へ戻る。


 小学校での酷いいじめがフラッシュバックするため、人が俺に近づくと吐き気を催すようになってしまったのだ。

 しかし、それをダシにある二人が俺をいじめてきたようだ。


「よぉ、陰キャ、まだいたのかぁ?」


「お前がいると教室が腐っちゃうんだよなぁ。 双子姫も迷惑してんだし」


 ここ三日間で悪野(わるの)という見た目アイドル風イケメンと、葛宮(くずみや)という見た目ヤンキー風イケメンがそんな俺を陰キャと罵り、俺の今の状態を嘲笑いながら近づいてくる。


「うぐっ!?」


「おおっ、吐きそうになりやがるぜ、汚ねぇなぁ」


「ははは、いっそ吐いちまったら楽なんじゃないかぁ?」


 トイレに向かおうとする俺を塞ぎながらそんな事を言ってくる二人。

 そこに……。


「「ぐげぇぇっ!?」」


 クラスメイトの男子二人が悪野達をタックルで吹き飛ばした。

 そこで、俺は自由になる。


「二宮! こいつらは俺達がぶちのめすから早く行ってこい!!」


「先生には事情を話すから、保健室で休んでて」


 お礼を言う事が出来ないままだが、事情を知るクラスメイトが悪野達を懲らしめてくれてる間に、トイレへ駆け込む。

 廊下に嘔吐物をまき散らさなくてよかったと思う。

 なお、例の双子姫は他の男子に呼び出されている状態だ。

 また、告白なのだろうな……。


 これまでに起こった内容を今日の昼休みに話すと、真由と啓介は困ったような表情をする。


「こりゃあ、最悪通信制学校への転校を考えた方がいいのかもな」


「うん。 兄さんのトラウマがここまで酷いとね。 来週は校外学習があるんだし」


「そうか……。 そんな時期か……」


 啓介は最悪でも通信制学校への転校を考えた方がいいかもと言い、真由もそれに同意する。

 何せ、来週には校外学習があるからだ。

 

(去年は真由と啓介が同じクラスだったから乗り切れたけどな)


 そうなのだ。

 去年は啓介と真由が同じクラスだったので、何とか校外学習は乗り切ることが出来た。

 しかし、今年は俺一人で、さらには俺をいじめる悪野と葛宮がいる。

 人と接する事自体がトラウマで出来なくなった事を考えたら、余りにもリスクが高すぎる。


「しかし、正樹のトラウマを飯の種にしていじめるとはなぁ。 悪野と葛宮だったか?」


「ああ。 あいつら、わざと俺のトラウマを刺激していじめてきやがった」


「最低だね。 去年も他のクラスの子や当時のクラスメイトの子をいじめていたんだよね。 クレームもあったんだけど」


 どうもあいつらは、去年もいじめなどの問題を起こしているようで、クレームが入ったようだ。

 それでもあの態度でいる限り、反省の色が見えないか、誰かにもみ消してもらっているか。

 多分、後者だろうな。


「一応、お父さんとお母さんが校長に念入りに校外学習に参加させないようにと頼んでるみたいだけど」


「例のお局教師がなぁ。 幸い、クラスの担任や教科担当すらなれなかったのが救いだが……。 あの悪野と葛宮との繋がりもあるらしく、去年のクレームのもみ消しなどは奴が関わってるとか」


「服部さんが言うには、コネで教員になったんだって。 しかも、いじめられる奴が悪いという考え持ち。 最低だよ」


「だから、俺をいじめやすいように真由と啓介を切り離したのか」


 真由曰く、今回の校外学習には俺を参加させないようにと両親が校長に念入りに伝えてくれてはいる。

 しかし、俺と真由達を分断させたというお局教師が厄介だ。

 トラウマを抱えている俺の状態を甘えだとして、根性で乗り越えろというあのお局の女教師の事だ。


 お父さんの友人の服部さんが言うには、あのお局教師は虐められる奴が悪いと言う考えを持っており、自分や悪野、葛宮で俺のような奴をいじめて苦しめばいいと考えている。

 教師として失格のはずだが、どうもあるコネを使って教員になったようだ。

 さらに後で分かった事だが、学校に渡した診断書も破って捨てたのも、あのお局教師だそうだ。

 唯一の救いは、学年の各クラスの担任はおろか、教科担当にもなれなかった事だろうな。

 だから、腹いせに悪野と葛宮を俺のいるクラスに配置されたんだが。


「今回は、影響力の強い人が教師に就任しているから、大丈夫だと思う。 でないと、兄さんが倒れてしまうよ」


「そうあってくれるといいが……」


 一応、途中にさらに影響力のある人が教師に赴任してきたらしいので、何とかなると真由は言った。

 そうあってくれるといいのだが、如何せん不安が拭えないのがな。


「そろそろ昼休みが終わるね。 教室に戻ろう、兄さん」


「ああ」


「幸い、今日の午後は次の五限目のみだからな。 乗り切ろうぜ」


「そうだな。 今日は何とか乗り切るよ」


 そろそろ昼休みが終わるので、三人で教室に戻る。

 今日は五限目までなので、何とか乗り切るしかないな。



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