授業前の遭遇
「まーくん、屋上に行くよー」
「ああ、今日も弁当か?」
「うん。 まーくんの分も作ってきたよー」
朝に新しい校長の就任のリモート集会も終わり、2限目以降の授業も無事に乗り切った。
そして、昼休みに佐奈が弁当三つ分を持って屋上へ行こうと誘ってきた。
もちろん、応じなければ無作法というもの。
今日も佐奈が、俺の分の弁当を作ってくれたしな。
「じゃあ、一緒に屋上へ行きましょうか」
「啓介くんと真由ちゃんも誘う?」
「ああ。 人数は多い方がいいからな。 特に学校では」
「確かに、下酢とかまだいるからね」
佐奈から、真由と啓介も誘うかと聞いて来たが、当然誘う予定だ。
まだ、下酢とか百合原とかの要注意人物がこの学校にいるので、奈々と佐奈を守る人数は多い方がいいだろう。
「私達もいいかな?」
「あ、田井中さん、それに……」
「服部くん、だったかな?」
そこに他の二人も一緒に屋上へ行きたいと申請してきた。
その相手は、ファンクラブ会長でもある委員長の田井中さんと、服部くんだ。
「私達はいいけど」
「まーくんは大丈夫?」
「ああ、この二人なら大丈夫だ。 とにかく、真由と啓介を誘って屋上へ行こう」
「うん」
佐奈と奈々がトラウマを考慮してか、心配そうに聞いてくるが、ファンクラブの人間としての交流もあり、田井中さんと服部くんに関しては大丈夫となった。
後で聞いた話だが、この服部くんはお父さんの友人の息子さんらしい。
道理で服部という名字に聞き覚えがあるわけだ。
それはともかくとして、俺達は真由と啓介を誘って、7人で屋上に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「兄さん、お待たせ」
「真由が先か。 佐奈と奈々と田井中さんはもうすぐか?」
「うん。 個室一つが故障してたからね。 余裕がある奈々ちゃんが後になったしね」
「一つでも故障するとなぁ」
昼食を食べ終え、次の授業に備えてトイレに行った俺達。
俺達男子は、すぐに済ませたので女子が終わるのを待機していたが、先に真由が出て来た。
女子トイレで個室の一つが故障しており、順番待ちが発生したみたいだ。
今は、奈々が終えるのを待っているらしい。
「そういやリモート集会で新しい校長が放置されてる故障中のトイレの修理を依頼したとも言ってたな」
「じゃあ、明後日には直るのだろうな」
「お局教師がいた時は、修理もさせてもらえなかったっぽいね。 生徒会も怒り心頭だったとか」
新しい校長先生が、就任してすぐにトイレの修理を依頼していたらしい。
お局教師がのさばっていた時期は、生徒会が校長などに頼んでもお局教師の圧力が働きトイレの修理を承認されなかった事で、生徒会も怒り心頭だったようだ。
それも、新しい校長先生のおかげでそれもなくなるだろう。
「みんな、おまたせ」
「大丈夫だ、佐奈」
「後は田井中さんと奈々ちゃんだね」
次は佐奈が女子トイレから出てきた。
後は田井中さんと奈々のみとなり、次の授業が安心して臨める。
そう思っていた時だった。
「男がこんな所で群れないでくれない? 目障りなんだけど」
「はぁ……?」
不快感を煽る女の声が聞こえ、佐奈と真由が表情を歪める。
「ここは女の聖域なの! 男は消えて!」
「それを決めるのはあんたじゃないんだよ。 前々からあんたも目障りだったんだよ、百合原……」
あ、佐奈がドスの効いた声で食って掛かってる……。
真由も目のハイライトが消えているし……。
しかし、こいつが百合原か……。
茶髪ツインテの見た目はいいのだが、やはり性格は最悪で、佐奈も奴を嫌っているようだった。
まさか、ここで要注意人物の一人と出会うとはな……。
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