幕間~これから堕ちゆく者達~
今回は幕間の話です。
主人公や双子に迷惑を掛けた二人とお局教師の話です。
一方、停学処分を受けている葛宮は、同じく停学処分になっている悪野と通話をしていた。
そして、とある話を聞いて戦慄している状態となっていた。
「それ、本当なのか!?」
『ああ。 信じたくなかったが、事実らしい。 粕原先生の兄が落選したらしい』
「そ、そんな……」
悪野から聞かされた内容に、葛宮は唖然としている。
その内容は、彼らの両親を秘書的なポジションに配置させて貰っていた粕原文部科学大臣が今回の衆議院選挙で落選したという内容だった。
粕原大臣は、周囲からお局教師と言われて嫌われてる粕原 里美の兄で、大臣の親族が教育委員会を支配していた。
それによるコネで、里美は教員免許を貰っていたのだ。
本来なら文部科学省が認定する短期大学や大学・大学院の指定学部・学科で所定の単位を取得しなければならず、さらに教育実習をこなす必要があるのにも関わらずだ。
粕原一族の甘い汁を啜って、課程をすっ飛ばして教師になったという事だ。
『それによって、粕原先生の一族に関わりを持っていた首相が辞任し、別の真面目な議員が暫定的に首相に就くみたいだ。 総裁選が平行して行われているが、ほぼその真面目な議員が総裁になる事が確定するだろうな』
「うそだ……、うそだ……」
それによって、粕原と関わりを持っていた首相が辞任に追い込まれ、与党内の真面目な議員が暫定的に首相に就くようだ。
平行して総裁選も行っており、真面目な性格の議員が総裁になる事はほぼ確定だろうという。
未だに信じられない様子で嘆く葛宮。
おそらく、粕原大臣の下で働いていた二人の両親もクビになるだろう。
(くそ……、あんなゴシップごときの記事のせいで……)
粕原一族と悪野、葛宮一家はいじめられる奴が悪い、弱者や貧乏はいじめられて当然という歪んだ思想を持っており、7年前から支配していたが、あるきっかけから綻びが生じて、ゴシップ誌のネタにされた事が止めとなって、粕原大臣の支持が急落したようだ。
悪い意味での【自業自得】なのだろう。
(許せねぇ……、許せねぇよ……)
自業自得を認めない葛宮は、怒りの炎を抱え始めた。
その怒りが押さえつけられるとも知らずに。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
もう一方で、停職処分にされている粕原 里美もまた、目の前にいる男の発言に呆然としていた。
「すまん。 私は落選してしまった。 与党内のルールで大臣を辞めないといけない」
「う、うそでしょ……!?」
「事実だ。 私はあるゴシップ誌を甘く見ていた。 隠蔽しようにも、あそこの影響力が大きすぎた」
「そ、そんな……」
里美の兄から、今回の衆議院選挙で落選した事を受け、与党内のルールで落選した場合は、大臣を辞めないといけないらしい。
やはり、今までの所業をとあるゴシップ誌が記事にしたことが原因らしい。
一族の力や首相の力を借りて揉み消しをしようにも、あのゴシップ誌は世界的にパイプを持っている財閥も支援している為に、揉み消しすればする程に色んな埃が出てきたのだ。
いわば、粕原一族はそのゴシップ誌……、【週刊文冬】による【文冬バズーカ】を甘く見ていたのだ。
「私とパイプを持っていた今の首相も責任論として追及され、辞職に追い込まれた。 厄介な奴が次の首相になる事がほぼ決まっている。 総裁選でも奴が大差でリードしているからな」
「あ、あ……」
「一族のコネで、お前が教員免許を得たことも、記事にされて拡散されている。 あの学校にいるどころか、教員免許自体が剥奪されるだろうな」
里美が一族のコネで、本来の課程をすっ飛ばして教師になった事も、その週刊文冬に報じられ、炎上と拡散が止まらない。
例の真面目な議員が総裁選に勝ち、真の意味で首相になれば内閣はごっそり入れ替わり、さらに教育委員会の人員も変えるように圧を掛けていくだろう。
それによって、里美の教員免許自体が剥奪されるだろう。
「我々の思想がネットやあのゴシップ誌によって否定された結果だ。 我々は長く生きられないだろうな」
「いやあぁぁぁぁ!!」
現実を受け入れられず、いい年して子供のように叫びながら泣く里美。
だが、粕原一族や悪野、葛宮一家の地獄はここから始まる事を彼らは知らない。
いや、里美は知ろうしなかった。
自分達の考えが、弱い奴はいじめられて当然という歪んだ思想が、世間に否定された事すらも……。
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