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その双子は、噂の【双子姫】

 俺には幼馴染の双子の少女がいた。

 小学三年生までは、よくその子達と一緒に遊んでいた。

 しかし、小学四年生の春に、前の父の仕事の関係で引っ越しを余儀なくされ、その子達とは別れる事になる。


『行っちゃやだー! まーくん、行っちゃやだー!!』


『うわーん!!』


『まさきくん、元気でね』


『うん……。 ななちゃんとさなちゃんもバイバイ……』


『今までありがとうございました、高岡さん。 紗友里さんも奈々ちゃんも佐奈ちゃんもお元気で』


 母さんもななちゃんとさなちゃんの母親と別れの挨拶を交わし、当時の俺も二人に別れを告げてトラックに乗って別の地方へと引っ越していった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


(まさか、あの二人と同じ名前の双子がこの学校に通ってたとはなぁ)


 昔の事を思い出しながらも、自分のクラスの教室に入った俺は、窓際の席で窓の外を見ながらそう嘆いた。

 同じ苗字で同じ名前の同姓同名で、しかも同じ双子というミラクル。

 ただ、その双子の女子生徒は【双子姫】という名称で有名らしく、多数の男子が告白しているが、好きな人がいるからと玉砕しているという。

 人と絡むのが怖い俺には、全く関係がないな。


「はーい。 みなさん、席についてくださいね」


 そんな事を考えていたら、このクラスの担任の先生が入って来た。

 何人かで話していたグループもそそくさと席につく。


「今日からこのクラスの担任を務めます春日井(かすがい) 早紀(さき)です。 1年間、よろしくお願いしますね」


 早紀先生の自己紹介にクラスのみんなは拍手をしていた。

 俺はしなかったが……。


 その後のホームルームはつつがなく終わり、始業式も無事に終える事が出来た。

 幸い、今日は授業がないのでそそくさと教室を出て、真由と啓介と合流する。


「兄さん、お疲れさま」


「お疲れ。 何とか乗り越えたか?」


「何とかな。 やはり二人がいない教室は精神的にキツイな」


「今日は授業がないからこれで帰れるけど、問題は明日からだよね」


 やや疲れ気味の俺を二人は労ってくれる。

 それと同時に、真由が明日以降の心配をする。


「とにかく、先に何か買って帰ろうか。 飲み物くらいだが」


「そうだな。 喉がカラカラだ……」


「始業式も短かったとはいえ、神経使ってたみたいだね、兄さん」


 とりあえず、俺達は先に購買で飲み物を買ってから帰ろうとして、校門のある方向とは逆の方向に向かった。


「お、あれは……?」


「噂の双子姫だな」


「本当だ。 女子や一部の男子に囲まれながら帰ってるね」


「人気者はすごいな。 まぁ、陰キャの俺には関係ないが」


「兄さん……」


 校門とは逆方向に暫く進み、ふと振り返ると噂の双子姫である高岡姉妹がクラスメイトの女子と一部の男子に囲まれて校門の方に向かっていた。

 とはいえ、見た目的には片方はロングヘアだが、もう片方はボブカット風味のセミロングだ。

 クラスにあれだけすぐに溶け込める才能も羨ましいとは思う。

 しかも、美少女だし。


 とはいえ、酷いいじめにあったにもかかわらず、警察や学校やその地方の教育委員会がグルだった事で、人と関わるのが怖くなった俺には関係ないか。

 好きな人がいるって話だし、その人と幸せになってくれればそれでいいだろう。

 その双子の人生には、介入しない方が身のためだしな。


「おーい、真由に正樹。 早く購買に行くぞー」


「今行くよー」


「分かった」


 啓介に言われて、俺と真由はそそくさと購買へと向かう。

 だが、俺には気付いていなかった。

 その瞬間に、あの双子の視線が一瞬だけ俺に向けられていた事を……。



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