真由との情報共有
「そっか、田井中さんがファンクラブの会長さんなんだね」
「ああ。 どうも去年も佐奈達とはクラスメイトだったらしい。 理由としては、好きでもない男子たちに言い寄られたり告白されたりでげんなりだった様子を見かねたらしい」
「そうなんだ……」
学校から帰宅し、おれの部屋で双子姫のファンクラブについて、真由と話をした。
真由も田井中さんがファンクラブの会長だと知って驚いていたが、理由を聞いて納得していた。
「奈々ちゃんと佐奈ちゃんは、知ってたの?」
「知ってたらしい。 田井中さん自身が勝手に立ち上げて申し訳ないと謝罪もしていたらしいし」
「なるほどね。 でも、そのおかげで校外学習で悪野達の魔の手からは逃れたんだしね」
「メールで見たんだが、思った以上に人数が多く入って来たらしい。 先輩達も双子姫と呼ばれた二人の様子を見かねていたみたいだ」
「ああ、そういや当時の先輩の男子からも告白の為に呼び出されてたんだったね」
そして、奈々と佐奈もファンクラブの存在を知ってはいた事も話した。
自習の時に二人に聞いたからだ。
田井中さんが謝罪したのも、思った以上にファンクラブ加入要望の人数が多かったからだとか。
多くの人が、告白の呼び出しにゲンナリしている双子の様子を見ていられなかったようだ。
「それにしても、トイレへ向かう時にも平気で告白に呼び出すって、どういう神経してるんだろうね」
「失禁させるつもりだったんだろうな。 上級生のファンクラブ加入者の女子生徒によって解放され、間に合ったからいいけどな」
「それで弱みを握ってとか? 最低じゃん……」
「だから、ファンクラブ内外で情報を集めてるんだろうな。 ブラックリストを作って」
「加入条件が双子姫の意思を尊重できる人だって概要欄に書かれてたからね。 そこからはみ出た人が条件を満たしていないって扱いかな?」
さらに、田井中さんから来たメールの内容の一部についても話をした。
酷い時は、トイレに行こうとしていた所を呼び止めて強引に告白するために連れ出したりもしていたようだ。
トイレに行きたい様子を見ていた上級生の女子生徒が咄嗟に動いてくれた事で、双子は事なきを得たらしいが、授業中の失禁などで弱みを握らせて自分の物にしようとしていたのだろうと予測している内容だった。
その内容を知った真由も不快感で顔を歪めた。
加入条件を厳しくして、条件に満たさない者は加入拒否をしているらしく、ブラックリストにも入れているそうだ。
「俺に加入要請したのも佐奈が俺の事を好きだから、身近に置く事で奈々と佐奈だけでなく俺をも守ろうとしているみたいだな」
「うん。 ファンクラブのみんなは、兄さんの事情も知ってる人たちばかりだし、応援してるみたいだよ」
啓介を介して田井中さんが俺にファンクラブの会員になってほしいと要請したのも、双子と一緒に俺を守るためだ。
佐奈の好きな人が俺なので、恋路を応援するのと、引き裂こうとしている輩から守り抜くと言う意思がはっきりとメールでも書かれていた。
「それで、兄さん。 その佐奈ちゃんと週末にデートの約束をしたんでしょ?」
「ああ、下校時には。 といっても、近くの公園で色々話をしてから、家でゲームをするんだけどな」
「最初はそれでいいんじゃないかな? 私もそうだったし」
「いきなりショッピングは色々キツイからな。 佐奈もそれを知って、公園とここでのデートを提案したらしい」
真由が話を変えて、週末の佐奈とのデート予定について話をした。
再会してから最初のデートなので、まずは公園で色んな話をしつつ、次はここでゲームなどをする予定だ。
真由も最初は公園デートだったし、大丈夫だろう。
いきなりショッピングは色々と厳しいしな。
「まぁ、佐奈ちゃんは兄さんと一緒に居れるならどこでもいいみたいだけどね」
「それでも、やはり失礼のないようにはしたいけどな」
「あはは、気にしちゃいけないよ。 じゃあ、そろそろお母さん達が帰って来るころだね」
「そうだな。 着替えて出迎えるか」
「うん」
そろそろ母さん達が帰って来るころなので、それぞれの部屋で着替えて母さん達が帰って来るのを待つのだった。
今日の母さんの料理、楽しみだしな。
あと、週末の佐奈とのデートも。
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