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ファンクラフの会長は、まさかのあの人

「二宮君」


 最初の授業が終わり、トイレを済ませた際に誰かに呼び止められた。


「え、確か委員長の田井中……さん?」


「うん。 覚えてくれてたんだね」


 眼鏡を掛けた奈々よりは短いがそれでもロングヘアーの女子の田井中さんが女子トイレから出てきて、俺に声を掛けて来た。

 彼女も俺の事情を知ってるのか、距離を取ってだが。


「三条君と真由ちゃんから聞いたよ。 ファンクラブに入ってくれるんだって」


「そのつもりだけど……」


 この委員長、啓介から聞いているのだろうか。

 俺が双子姫のファンクラブに加入するという事を。


「ありがとうね。 ここ最近は静かだけど、奈々ちゃんと佐奈ちゃんを狙って来る酷い男子がまだいるからね。 去年もそうだったし」


「田井中さんも双子姫のファンクラブに入ってるのか?」


 教室に戻る間、俺は田井中さんと話をした。

 あまり近すぎるとトラウマが発生するから、ある程度離れているが。

 やはりというか、奈々と佐奈は、去年も色々と告白されてたりしたようだ。

 そこで、田井中さんもファンクラブに入ってるのかと聞いてみたのだ。


「ああ、少し違うかな?」


「どういう事?」


 それに対し、田井中さんの反応は微妙に違うと言うようは感じだった。

 そこが気になり、さらに聞いてみる。


「あの双子姫のファンクラブを立ち上げたのは私なんだよ」


「え……!?」


 まさかの答えが返って来た。

 あの双子姫のファンクラブを立ち上げたのは、何と委員長の田井中さんだった。

 つまり、彼女がファンクラブの会長だという事だ。


「でも、何で田井中さんが双子姫のファンクラブに?」


「理由は長くなるからね。 後でメールで送るから見ておいてね。 もうすぐ教室だし、授業も始まるからね」


「ああ、分かった」


 どうやらもうすぐ教室に着く事と、間もなく次の授業が始まるので、理由はメールで教えるとの事。

 長めの話になるらしいが、どういう事だろうか?


 それが気になるが、俺はその双子姫に囲まれた窓際の席に座り、次の授業に臨むのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 さて、2限目の中休みは奈々と佐奈を一緒にトイレへと連れて行ったりなどして、メールを見る機会が無かったが、三限目の化学は自習になった。

 そこで、机を合わせながらこの間の復習をしつつ、奈々と佐奈に色々小声で話をしてみた。


「そういえば、奈々と佐奈は二人のファンクラブが作られてたのは知ってたのか?」


「うん。 実は知ってた」


「委員長の田井中さんが作り上げたって事もね」


 二人は知っていたのか。

 田井中さんが立ち上げていたという話も。


「田井中さん、実は去年も私達と同じクラスだったの。 その際に私達がしつこく自分中心の男子に言い寄られているのを見かねて作ってくれたんだよ」


「それが理由か」


 奈々からは一応、理由として田井中さんは、奈々たちがしつこく男子に言い寄られている様子を見かねて二人を守るために立ち上げたようだ。

 詳しい話は、田井中さんからのメールで分かるが、去年の奈々たちと田井中さんも同じクラスだったとはな。


「立ち上げた事に謝りながらも、やはりボク達が好きでもない男子たちに言い寄られている様子を何とかしたかったみたいだしね」


「私達はありがたいけどね。 悪野達の所業からも助けてくれたし」


 田井中さん自身は、勝手にファンクラブを立ち上げた事を謝罪していたそうだ。

 それでも奈々と佐奈は、美少女で人気者だから、そういった告白や呼び止めは後を絶たなかった。

 それを何とかしてあげたかったのが実情だそうだ。


 それでも、俺が不参加だった校外学習では、ファンクラブの加入者であろう男子生徒が悪野と葛宮の魔の手から奈々と佐奈を助けてもらってるため、ありがたいのだそうだ。


「さて、次の問題だね。 ここ、まーくんは分からなかったよね」


「ああ、佐奈と奈々は分かるのか?」


「うん。 ボクが手取り足取り教えてあげるよ」


「普通に教えなさいよ」


 そんな中で俺の苦手な問題に差し掛かり、奈々と佐奈に教えてもらう事になった。

 双子のやり取りに苦笑しながらも、この自習時間は充実したものとなった。


 さて、問題は次の体育だが……?



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