ファンクラブ勧誘と今日の不安要素
「何か、お前にも双子姫のファンクラブに入ってくれと言ってたぞ」
「はい?」
次の日の登校にて、啓介を介して誰かから双子姫のファンクラブに入ってくれと頼まれた。
あまりの伝言内容に俺は、固まってしまう。
「何でだ? 俺は佐奈と付き合うようになったし、奈々とも仲がいいのだけど」
「だからさ。 ファンクラブ内ではお前と佐奈さんの仲を応援するという意思で統一されてるけど、お前はファンクラブ加入者とそうでない奴との見分けがつかないから不安だろ?」
「確かに、誰がファンクラブに入ってるのかとか見分けがつかないな。 クラスメイトは大丈夫だけど」
言われてみれば、俺にしてみてはファンクラブに入ってる者とそうでない者の見分けがつかない。
クラスメイトは悪野と葛宮を除けばいい奴ばかりなので、そこは安心だが。
「あの双子たちに空気を読まずに告白しようとしたり、最悪お前から佐奈さんを引きはがそうとしてくる輩も出てくるだろうから、情報収集のためにも入った方がいいと思うぜ」
「お前はどうなんだよ、啓介?」
「俺も情報を集めるために入ったぜ。 真由もそうだ。 女子メンバーからの情報を集めてるぜ」
啓介はそのファンクラブに既に加入しているみたいだった。
理由としては、これからも空気を読まずにしつこく告白する輩がいたり、最悪俺と佐奈の仲を引き裂こうと企む輩もいるだろうから、そいつらに関する情報が手に入るかもという。
真由も同様の理由で入っており、女子メンバーからの情報を集めているのだとか。
「お前らもか……。 しゃーないな。 入ると伝えといてくれるか?」
「ああ、分かった。 伝えとくぜ。 お、真由が来たな」
念のために俺もファンクラブに入る旨を啓介に伝える。
今の俺は啓介を介さないと、伝えるのが無理だからな。
こういうのは、奈々と佐奈には言えないが……。
それを伝え終えると、準備を終えた真由が玄関に来たのだ。
「お待たせー。 少し準備に手間取ったよ」
「大丈夫だ。 丁度、双子も来たみたいだし」
「やほー、まーくん、みんなー」
「おはよう、みんな」
真由が準備に手間取った事を詫びるが、丁度同時期に奈々と佐奈も来たのだ。
相変わらずの佐奈の笑顔は眩しいな。
「じゃあ、今日も学校頑張ろうね」
「ああ、しかし一つ不安があるなぁ」
「そっか、今日は体育があるからね」
「あ……」
「失念してたな。 去年は俺がいたから大丈夫だったが……」
佐奈が俺の腕を組んで、頑張ろうと言ったが、今日は体育があるからあまりテンションが上がらない。
去年は啓介がいたから何とかやれたが、今年は奈々と佐奈のみだ。
しかも体育は大半が男女別なので、切り抜けられるかは不透明だ。
それを思い出した真由と啓介も失念した様子だった。
「でも、今日の体育は男女合同で陸上だから、大丈夫だと思うよ」
「そうだといいが……」
そこに奈々が今日の体育は、男女合同で陸上だからと言っていたが、それでも不安は拭えない。
お局教師とは違ったおかしな教師も紛れてる可能性もあるからな。
「他の学校みたいに根性で切り抜けなんて言って、最後に病院に搬送させた教師はいないと思うが……」
「お局教師がまだいる以上、心配ね。 今は停職処分だけど」
他の学校でたまに見かける昔気質の根性論を振りかざす教師がここにはいないとは思いたいが、只今謹慎中とはいえ、お局教師の影響はあるから、真由も心配する。
体育の不安が拭えないまま、学校に着いてしまった。
佐奈の胸の感触すら堪能する気力が湧かない位に……。
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