双子姫と昼食タイム
「あれ? 佐奈ちゃん、お弁当三つあるね。 一つは奈々ちゃんのだろうけど、もう一つは?」
「ああ、これはボクと奈々の分と……まーくんの分だよ」
「ええっ!? 兄さんの!?」
「そうだよ。 まーくんの為にボクが一生懸命作ったんだよ。 早起きしてね」
屋上に着いて、食べ始めようとした所で、真由が佐奈が用意した弁当の数が三つあることに気付いた。
そこに佐奈自身が、自分と奈々と俺の分を作ったと認め、真由を驚かせる。
早起きしてまで、俺の分も作りたかったんだろう。
俺としては嬉しいけどな。
「というか、佐奈さんって料理作れたのか」
「そうよ。 逆に私は料理が苦手なの……」
一方で、啓介は奈々に佐奈の女子力について話を振っていた。
奈々自身もメシマズレベルなのは理解してるのか、かなり落ち込んでいるなぁ。
「じゃあ、時間があればうちの母さんからも指導を受けたらどうだ?」
「いいね。 お母さん、当時メシマズレベルの腕前だった私を矯正してくれてたし」
「いいの?」
「ああ、母さんに話を付けておくからさ」
「じゃあ、その時はお願いするね」
落ち込む奈々を見かね、俺は母さんからも指導を受けたらどうかと提案する。
中学二年生の時の真由もメシマズレベルの腕前だったが、啓介という恋人が出来たのをきっかけに母さんの指導を受けて料理が上手になったのだ。
母さんの指導は、優しくしっかり指導するので、覚えやすいからな。
奈々もそれを聞いて、機会があれば頼むと応じた。
「奈々の事も決まったし、早く食べてしまおうよ」
「そうだな。 時間が惜しい」
「じゃあ、いただきます」
「「「いただきまーす!」」」
奈々の件も落ち着いたので、佐奈の一声で早く昼食を摂ることにした。
昼休みは有限なので、時間も惜しいのだ。
この後のトイレに行く時間も確保してやりたいしな。
みんなでいただきますと言ってから、俺は佐奈が作ったお弁当を広げる。
「おおっ、美味しそうだ……!」
「まーくん、涎拭いて」
佐奈から渡された弁当の中身を見て、俺は思わず涎を垂らす。
それを佐奈に突っ込まれたので、さっさと拭いて弁当を食べる。
ちなみに俺の分の弁当は、ご飯の他にも唐揚げや玉子焼き、そしてポテトサラダやウィンナーが入っていた。
「どうかな?」
「うん、すごく美味しい!」
「良かった。 まーくんのお口に合ったようで」
美味しそうに食べる俺の様子を見て、佐奈が嬉しそうな笑顔を見せる。
それだけ、俺の為に一生懸命に作ってくれたんだなぁ。
「はい、まーくん。 あーん♪」
「おおっ!?」
そこに佐奈が自分の玉子焼きを箸で摘まんで、俺の口に差し出してきた。
まさかの『あーん』攻撃に一瞬躊躇ったが、すぐに素直に口を開けた。
「じゃあ、佐奈にも食べさせてやるぞ」
「いいよー。 あーんっと♪」
佐奈によって玉子焼きを食べさせてもらったので、こっちも佐奈に同じことをする。
こちらも返さねば、無作法というもの……。
「二人とも熱いわねぇ……」
「私達もやるわよー、啓介♪」
「いや、だから争うなって……むぐっ!?」
俺と佐奈のやり取りを見た奈々が、苦笑しながらつぶやき、真由と啓介に至っては俺と佐奈の熱々と争うように啓介に無理やり口にパンを入れていた。
いや、真由さん、流石に無理やりは不味いでしょう。
「ふぅ、食った食った。 佐奈の弁当、美味しかったよ」
「そう言って貰えるとボクも作った甲斐があったよ♪ ごちそうさまー」
「じゃあ、みんな食べ終えた事だし、トイレを済ませて教室に戻りましょうか」
「そうだね。 ボク達のクラスは5限目は歴史だしね」
「私のクラスは、数学だよ。 お互い頑張ろうね」
弁当を全部食べ終えて、教室に戻る前にトイレを済ませる事にする。
俺達は5限目は歴史だが、真由と啓介のクラスは数学のようだ。
ちなみに、トイレへ向かう時も佐奈達を呼び止めるようなしつこい奴が隠れてないか、俺達は目を光らせていた。
こうして、昼食は殆ど佐奈に食べさせてもらった余韻を残しながら、俺は5限目に臨むことにしたのだった。
あ、情報を交換するの忘れてた。
まぁ、それは放課後にすればいいか……。
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