その少年、訳アリにつき
新作を投稿しました。
宜しくお願いいたします。
「はぁ……」
俺、二宮 正樹は今、盛大にため息をついている。
今日から俺は、高校二年生になるのだが、去年一緒のクラスになった二人が今回は別のクラスになってしまったからだ。
「兄さん、何かあったら昼休みにでも聞いてあげるから」
「それか、メールで連絡してくれよ、正樹」
「悪いな、真由。 そして、啓介」
その二人とは、二宮 真由とその恋人の三条 啓介だ。
真由は、ある最中に俺の母さんが再婚した相手の連れ子で、同い年の義妹でもあり、啓介は彼女の恋人で小学生からの幼馴染のようだ。
「二人が再婚したタイミングが、兄さんがいじめられていた時期だったのがね」
「俺の両親も、当時の学校や教育委員会、その地区の警察の対応に怒りを覚えていたな。 いじめられてるってのに、『ポピュラーな遊び』とぬかしやがったからな」
「とはいえ、再婚したおかげで別の小学校に転校できたしな。 代償として真由と啓介以外とは話すのが怖くなったんだけど」
そう。
家庭の都合で、俺の前の家族は地方に転校したのだが、そこで前の父がひき逃げ事故にやられて死亡してしまい、母子家庭になった。
その時の小学校では、母子家庭となったタイミングで転入してしまったがために、クラスメイトからいじめを受けたのだ。
親族や母さんが警察やら学校やら教育委員会に俺がいじめられていると言ったのだが、警察は対応してくれず、教育委員会や学校ではメディアに向かってそれらは『ポピュラーな遊びだから問題はない。 いじめはない』と言ったのだ。
当然ながらネットでは炎上していたのだが、そんな事は無関係とばかりの態度を取ったばかりか、批判した者すべてに情報開示請求をするなど、かなりの暴挙を起こしたのだ。
そんなタイミングで俺の母さんと真由のお父さんが再婚し、お父さんの力を借りて別の学校に転校したのだ。
新しい学校ではいじめはなかったのだが、真由と当時は真由の幼馴染であった啓介以外のクラスメイトと関わるのが怖くなったのだ。
そのトラウマは、中学校でも高校でも続いている。
特に中学では、常に真由と啓介が一緒だったので、何とかなった。
しかし、高校二年になって初めて、二人と別のクラスになることで、かなり憂鬱になっていたのだ。
「最悪、不登校か通信制学校への転校も考えないといけませんね」
「ああ、まさかこんな事になるとはな。 校長には正樹君の心理状況を配慮してくれと言ったのだが……」
「まさか、それを壊す教師がいるとはね」
そこに母さんとお父さんが憂鬱になっている俺を見てそう言った。
入学時、お父さんはあるパイプを使って校長などに、俺の精神状況を考慮するように告げていたのだ。
だが、ここでそれを不快とする教師がいたようで、真由と啓介と俺を無理やりクラスを分けたようだ。
「私の友人の服部君にもあの教師を調べるように頼んでいる。 幸い担任ではなさそうだが、気を付けるのだよ」
「分かった」
お父さんの友人が、俺達を別のクラスにした教師の事について調べるとは言っているが、何が起こるかはわからないしな。
今日は用心して、学校へ向かうとするか。
「じゃあ、行ってきます」
今の両親に見送られて、俺と真由と啓介の三人は学校へ向かった。
「着いたな」
「うん。 あ、あそこにまだ貼られてるね」
「ああ、新しいクラスの……」
俺達が現在通っている【私立ゆらめき高校】の校門をくぐると、校舎前に昨日見た新たなクラスの人員が書かれた表が貼られていた。
改めて、俺達はそこへ向かい、確認する。
「私と啓介は2-Bで、兄さんは2-Cだね」
「ああ、そうだな……って、あれ?」
「どうした? 正樹?」
俺達はどこのクラスに入っているかを確認していると、ふと俺はあることに気付いた。
「いや、何でもない。 昔の知り合いと同じ名前があったからな」
「どれどれ……? あ、噂の双子姫と言われてる高岡さん姉妹だね」
俺が入るクラスの名簿の中に、かつての幼馴染と同じ名前があったのだ。
その姉妹は、真由曰く【双子姫】として人気があるのだとか……。
しかし、俺の小学生時代の幼馴染と同じ名前がクラスメイトになるとはなぁ。
ま、今の俺には関係ないかな?
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