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《7》強面皇帝とグリフォン



 『『『バリバリ、ドスン!』』』




 大地が激しく揺れ雲の中は轟音と稲妻が多数走っていた。地上に無数の(いかずち)が落ちるのが見えた。その後リリアーナは意識を手放してしまった。


 ポポの足を掴んでいた手からは力が抜け、そのまま地上に落下を始めた。

 ポポが助けようと追いかけるが、意識のない体は無情にもスピードが増して追い付くことができない。



 《リリリー!?リリリー!まって、まってよー!!!》

 

 (ぼくのだいすきなリリリーがしんじゃうよー)


 《だれかーリリリーをたすけてぇぇぇぇぇぇ………》


 

 ◇◇◆◆◇◇



 (怪我人はいないようだな。まったくリオジェラテリアの奴らは何を考えているのやら……)



 マクシミリアンの攻撃により勝負はついた。

 リオジェラテリア王国の部隊は王子四名を含み全滅。



 (誰一人として怪我はないが落雷により気絶。まず、三日は目を覚ますことはないだろう。その後はまぁ……)


 

 『……ねぇ、ご主人さま?』


 「どうしたメリー?」


 『女の子が、、、女の子が落ちてくるよ。』


 「……??ん?」


 『だ・か・ら!空から女の子が落ちてきたってば!!!』



 愛馬のメリルリン(メリー)は、焦った口調で上を向く。

 確かにキラキラと光る金色の物体が空から降ってきている。それに続くように巨大な鳥も一緒に。

 


 「は?………なんなんだ、あれは?」

 

 『女の子とグリフォンだね。きっとご主人さまのせい。』


 「………。」


 『グリフォンが女の子を助けてって言ってるじゃない。このままじゃ死んじゃうよ。あの子たち……』


 「……俺の攻撃に巻き込まれたのか、、、」



 それはまずい。

 敵味方の無血、無死を信念に戦ってきた武士道に反する行いだと脳がいち早く反応していた。


 風魔法を繰り出し集中する。

 マクシミリアンのいる場所にゆっくりと誘導して両手で優しく受け止めた。

 それに続くポポもゆっくり地上に降りたって泣きながらお礼をいった。



 『……どこのだれだかわからないけど、たすけてくれてあーりーがーとーう!!((嬉泣))いのちのおんじーん!』



 『いいのよ。悪いのはこっちだから。それよりも大丈夫?』

 


 呆然とするマクシミリアンを余所に、メリーはポポに体の状態の確認と簡単な挨拶を交わしていた。



 マクシミリアンは両手に抱く白く美しいものをみて思った。


 (……天使はいたんだな。)っと……。



 『はい?ご主人さま?……天使じゃなくて人だよ。お・ん・な・の・こ!!リリリーっていう子よ。ポポが教えてくれたわよ。だから早く現実に戻ってきてちょうだーーい!』


 

 心の中で言ったつもりがボソッと口に出していたらしい……

 恥ずかしい……



 「あぁ……すまない。しかし、ポポと言ったか?なぜ上空にいたんだ?この子は誰だ?」



 意識を取り戻してポポに体を向けて尋ねる。



 『リリリーがくものなかにはいりたいっていったんだよー。リリリーはすこしかわってるし、、おかしなことをするおんなのこだけどーやさしくてとってもいいこだよー。たぶんねーぼくとあそんでくれようとしたんだとおもうんだー。でもくものおわりにきたら、きゅうにゴロゴロ、ゴロゴロって……。きづいたらリリリーがおちちゃったんだよーほんとうにしぬかとおもったよーー。』



 やはり自分のせいだった……

 敵の数が多いときはこの術が効果覿面である。一瞬で片がつくから。

 しかし、手っ取り早さを優先し、無関係のか弱い一般人の少女を巻き込んでしまったことに深く反省した。思慮が足りなかった。



 「ポポすまなかった。私の力のせいだ。君の主人を死なせるところだった。許してくれ……」


 『ううん。たすけてくれてかんしゃしてるよー。』


 

 ポポは気にしていないと首をふる。



 「私はマクシミリアン、マリーの主人だ。マークと呼んでくれ。一先ずここから離れようか。君の大切な人を休ませなくてわな。」



 (リリリー?リリィー??と呼ばれるこの子に医者を手配し目覚めるまで責任を持って面倒みなければならないな。私のせいなんだから……。。)



 マクシミリアンは王宮にいる宰相に伝達魔法で医者の準備、そしてまもなく帰城すると伝えた。



 『うん……でも……』



 (レレレーがあっちまってるし……ぼく、レレレーにおこられるのやだなー。。ぜんぜんリリリーおきないし……リリリー……?)



『ねーマククー、リリリーはなんでめをさまさないの?いきてるよね!しなないよねーー!ダイジョウブだよねー!!?』



 ポポが目を覚まさない主人を心配しておろおろしながら訊ねた。



 「心音、呼吸音、脈拍に異常はない。ただ3日は眠ったままだろう。念のため、医者に診察してもらおう。ポポもついておいで。私の所でリリィーが目を覚ますのを待つといい。」



 『みっか……』



 (レレレーにれんらくしないと、はやくおしえないとあとからこわいからねー。)



 『(えーーこちらポポポ。レレレーきこえますかー?うんとねーリリリーがピンチになってー??リリリーねていまーす。ねむりからまださめませーーん。とうりすがりのマククーにたすけてもらってまーす。いまからマククーのおうちでてあてだよーーあとからきてねーポポポはわるくないからぜーっったいにおこっちゃやだよ~!)』



 待機していたレイに伝えると、頭のなかで『(は!?リリ様に何があったの!こら、ポポ、きちんと説明しなさい。あなたの言っていることわからない。さっぱりよ!またあなたのせいでリリ様が被害をうけたんじゃないの?もう!!焼き鳥の刑に処するからねー!覚悟しなさ)』



 (おーこわい。レレレーやっぱりおこったー!こわいしー、ものすごくこわいしー。ブチっとつうしんきっちゃったよ……ま、いっか。リリリーはぶじなんだから。ぼくのせいでもないしー。あとでマククーかメリリーにせつめいたのも。)


 

 レイとの伝達を強制的に切った。リリアーナが無事だとわかれば大丈夫だと現実逃避に走った。

 マクシミリアンに向き直ると『うん!よろしくー』と頷いた。



 それと時を同じくして、辺境伯と騎士団がズラリと列をなしマクシミリアンに声をかけた。

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