《1》聖花姫と強面皇帝
新連載の投稿です。
誤字、脱字はご了承ください。そもそもの文章力が稚拙すぎて恥ずかしいのですが、楽しんでもらえるように懸命に書いていきたいと思います。
ゆっくりペースの投稿になりますのでよろしくお願いいたします。
ではお楽しみ下さい☆
『……姫様ーどちらにいらっしゃるのですかっ……!お返事をしてくださいまし。……お早くおもどりくださいませっっっ!御父上様が……国王陛下がお呼びでございますよー!!!あぁぁぁー、、ひめさまーー……』
今日もまた、姫様付きの教育係の悲鳴が城内に響き渡る。
◇◇◆◆◇◇
とある王国に自由奔放に育った美しく優しい姫がいた。
その美しすぎる姫君は、絶世の美女と謳われた王妃に瓜二つの王女。現在17歳の花盛り。
名は、リリアーナ・ルーチェ・リオジェラテリア。
リオジェラテリア王国の末の王女である。
好きなことは刺激のある面白いことを探すこと。
趣味は変装。特技は逃走。
兄王子達と育ったせいなのか、見た目は可憐であるが、中身はやんちゃな男の子のような性格の持ち主……なのである。
毎日のように城を抜け出し、心の赴くまま、風の吹くまま気の向くままにどちらかへ……
ある時は、城の屋根の上でお昼寝中に……落下。(怪我なく完璧な着地をみせる)
ある時は、巨大神木の頂に登り神果を手にした瞬間に……大鷲により誘拐。(一悶着後、何故か仲良くなり従獣契約を結び庭園で飼育中)
ある時は、城下町で大食い大会を開催し……見事、優勝。(変装が完璧だった為に姫だとバレずに賞品ゲット。)
ある時は、湖の畔で魚釣りを楽しみ……湖の主を捕獲。(現在は王宮の庭園にある湖で悠々と過ごしている。)
またある時は、町外れの森の中で狩りを……いや、散策中に聖獣を手懐け帰城。(聖女、女神と称えられ現在に至る)
外の世界を好み、町歩きを楽しみ、野山を秘密の遊び場にして自由気ままな日々を送っている。それでも王族の務めはしっかりと果たしているのだ。本人が無自覚なだけで。
剣術や魔術を最上級まで極めたのも世の極悪人から民を守るため。
朝夕の鍛練を一度だってサボったことはない。
雨の日も風の日も、熱があっても、何があっても力を付けるためならば努力を惜しまない。
そして、各国の本という本を読破し、あらゆる知識の修得に努めたのも、民の生活をより良いものにするため。
暇を見つけては泥だらけになりながら、民と一緒に愉しそうに田畑を耕し作物を育てている姿は豊穣の女神そのもの。
この国、唯一無二の姫君であるこの王女は、父の国王と5人の兄王子たちに溺愛されている。蝶よ花よと育てられたおかげ(?)で明るく健やかに、のびのびと活発な姫が出来上がった。
今のところ、王族、一部の貴族、使用人にしかリリアーナの活発さは知られていないのでギリセーフである。
(城下町に住むほとんどの国民は姫様だと気付いているが、知らないフリを貫き通しているのだが……)
昼夜関係なく、王宮から隠密の如く姿を眩まし、いつも何処かへ遊びに……否、世の情勢を探るための勉強に走り回っている。
姫様曰く、日々国民の安心安全な暮らしを護るため国内警邏を挙行しているとのことらしい……のだ……
裏の姿は残念な……少しばかり変わり者の姫なのである。
母君様の存在があれば、女性らしく成長したのかもしれない……
王妃は待望の女の御子である姫君を出産したのち、そのまま帰らぬ人となってしまった。
絶大の人気のあった王妃は、その優しさや聡明さ、可憐さ、妖艶さは女神そのものであると自国だけでなく、他国にまで語り継がれている。そっくりそのまま受け継いだ姫もまた国民からの支持は厚い。
唯一髪色と瞳の色だけは似なかった。母君様は赤みの入ったピンクゴールド、姫様は輝くほどのイエローゴールドであった。
年々、美しい女性へと成長していく姫様を貴族も国民も暖かい眼差しで見守っている。
それは、姫様が健やかであればあるほど、国全ての民が豊かになり幸福が訪れるから。
存在がここにあるだけで空が晴れ渡り作物や植物に実りをもたらし、姫様が笑えば幸福が訪れるから。
鈴の音のような声で歌えば、国中の花々が咲き誇り体の不調も癒すという伝説の乙女の再来であると国中の人々から敬われ愛されている存在であるからだ。
気高さを持ち、どんな身分の者にも寄り添い、慈愛に満ちている。
天使のように柔らかに美しく微笑む姫はまるで向日葵の花のようである。
国を豊かにするための政策を率先して進めていったのも姫様である。
そんな聖女様のようなお人柄を持つ姫様は皆から聖花姫と呼ばれ幼い頃から変わらず愛され続けている。
今日もまた姫様の楽しさが現れているかのように、暖かな春の陽射しが王国中に降り注ぎ幸せを運んでいる。
実害があるのはただ一人……
嘆きの声をあげているのは教育係のモリスだけである。
本日も早朝の王女教育を終え、朝食後の一瞬……ほんの数秒、目を離した瞬間に逃げらて……姿が見えなくなってしまったのだ。
脱走計画を練るほど巧みな逃走劇にモリスは嘆声を発した。
『あぁ、姫様、、、どうか母上さまのようにおしとやかな淑女に……おなり下さいませーー……』
◇◇◆◆◇◇
その同時刻……
隣国の巨大な領土を治めるゴールデンロック大帝国の皇帝は、不穏な動きを感知し、自国の城から出陣する準備を始めていた。
二人が出会うまで、あと数日………。