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マクスウェルの悪魔  作者: ガバガバ
新たなる力編
8/9

初めてのチームアップ

またあの時と同じ席順で座って机に囲んでいる。今回は前ほどの沈黙は無くて、僕とお父さんとお母さんは慎二おじさんのはためく白衣を見つめている。


「ではまず現状と過去についてまとめてみた。ではまずあゆみさん、失踪した村上楊枝君について教えてくれ。」

「優しい子。喧嘩もした事がない優しくて繊細な男子高校生よ。1か月前からうちの書道教室を休んでる。」

「ありがとう。」


するといつの間にか現れたキャスター付きのホワイトボードが現れて、母の言葉を記していく。


「ちょっと!畳が!」

「あーすぐ済むから今は勘弁。素性は割れた、次は今日あったできごとだ。不良に絡まれた男子高校生を救ったが、その男の子が村上楊枝と呼ばれていたんだな。大河」

「うん。アイツらもそう言ったし、顔は窶れていたけどお兄ちゃんだと思う。」

「そうだ。それが今の現状。次は虫が殺せないほど優しい根暗な村上楊枝くんについてまとめみたので、見てほしい。」


おじさんはホワイトボードをくるりと回して裏面が現れた。白いボードの中心にはお兄ちゃんの写真が貼られ、赤黒青の文字と矢印がそれを軸に交差している。


「丁度1か月前。左隣の住人から異臭がすると言って通報があり、警察が家宅捜査が入った。」


するとおじさんは赤い文字で村上遥と書かれた部分を指さした。


「中では村上遥さんのご遺体があった。」

「嘘...」

「死因は体に10個も開けられた穴からの失血死性ショック死。あゆみさんの反応からみんなもわかる通り、これは警察が公表しない案件とされているからテレビにも出ていない。知らないの当然だが、大事なのはその理由だ。」


動揺を隠せず固まった母さんを置いてきぼりにして、白衣に縫い付けられた小さなポケットから、ジップロックに収まる白い欠片があった。

なんと言うか白いと言うには白濁して黄ばんでいて、生理的に嫌悪感を抱く。僕は率直な感想を言ってしまった。


「なんか。人の部品って感じ。」

「それはそうだだってこれは人の爪なんだからな。」

「おい慎二...」


今度は父さんが言葉を添えて眉間を指で抑えた。


「なんだよ兄貴。別にくすねた証拠品じゃない。これは大河が襲われた現場にあったものだ。」

「なら良かった...。」

「だが同じものだ。恐らく覚醒超人遺伝子による変異だろう。能力は爪を飛ばし、飛ばした爪は直ぐに再生するって所だろう。」

「威力はどうなんだ。」

「大河の吹き飛ばされ方と母親、部屋の状況からみて50AE弾並ってところだ」

「デザートイーグルのバレルカスタムし_____ダメだ。大河に任せられない。」


何故か真剣に、そして差し迫ったような顔で反応するお父さん。だんというからには銃弾なのだろうが、僕にはよくわからない。ここで僕は子供の特権を発揮する。


「それってどれくらいすごいの?」


僕があどけない子供的問いかけに、親父はそっぽ向いて慎二おじさんに説明を託した。なんで大人って責任のなすりつけあいをするんだろうか。


「マグナム弾より強力な銃弾。基本的には金属のターゲット、大型獣に対して使われる代物で、速度はマッハ1。戦闘機の2分の1の速さに匹敵する。」

「ねぇおじさん。僕子供だよ?」

「____当たれば粉々。即死は免れない。あー待て頭にある疑問は後回しだ。それよりここで重要な提案を俺はしたい。」


フリップボードを背に立ち上がった慎二は胸を張って、高らかに宣誓する。


「俺は村上楊枝くんを助けたい。引いては彼を助けたいんだ。所謂チームアップってやつだな。」


いきなり何を言い出すのかと思った。チームアップ?助けるまでは理解できるし僕の本意でもある。でもなぜチームアップ?

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