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このヒロイン実はタイムトラベラー!?

作者: 神崎秋

なぎは平成生まれのごく普通の真面目な女子高校生。

そしてなぎの友達は昭和生まれのつるつるお肌の男気のある女子高生。

見た目はシワひとのつない顔面偏差値高めのイケジョ!

しかし、そんな彼女にもなぎにしか知らない秘密があるだ!

今から役半年前・・・。

「ひえ〜!遅刻!遅刻!」ありきたりか。遅刻もたまにはいいか!

まー。一応お決まりだから、「遅刻する〜!お母さんお弁当もらうよ!」

今日は特に遅刻厳禁な日ー!なぜなら、週1の朝の購買名物ピーナッツバターパンの販売日なのだ!

この争奪戦には負けられない!まだこのピーナツバターパン、お目見えしてから1度も手にしていない。

幻のパンよ!今こそ我が手に誘う!

なぎは自転車のペダルを足が悲鳴を挙げる2歩手前辺りまで漕いだ。全力でもいい。しかし、購買まで足がもたん。我が足よ、どうか諦めるなよ!

「うおー!どけどけ!前しか見るなー!走れー!」

週1回の朝から争奪戦!今週こそは私がいただく!四方八方からの攻撃戦。

購買にはパン屋のオバちゃんがにこやかな表情で待ち構えている。

右左確認!よっし!どん抜きだ!このまま直進!もうすぐだ!

私はいつもの3倍の力を朝からピーナツバターパンに注いだ。

「うおー!」

(ガサガサ)自分の手にビニール袋の手応えを感じた。

(よし!今日はいけた!・・・)

その感触は勝利の手応えを明らかにするはずだった。

しかし、幸福度100%の週1回の争奪戦もある女子により終了してしまった。とわいえ、パンはとりあえず

ゲットできた~。このパンにめぐり逢うために朝から髪をふりみだし、

とにかくこのうえない優越感にひったっていた私。

そこへ、一人の女子がおもむろになぎに近づくと、こう言放った。

「ねえ!あんたパン争奪戦満足かい?近頃の若いもんは譲り合いちゅうもん知らんのか?」

・・・?

突如現れたキラキラしたイケジョ!しかも何?

「たかがパン1つのために朝からバタバタうるさいわ!いい加減にせい!」

パンを手にした喜びに各々が朝の神々しい光を窓越しの中騒がしくしていたが、イケジョの登場で雰囲気がガラリと変わった。

パンの神々しさよりイケジョの神々しさに皆見とれていた。

そんなこんなで半年たって現在・・・あのパン事件から運命のように引き付けられ、いつの間にか友達になっていた。

「おい!凪!よく飽きずにパンのために毎週、毎週・・・」

「うるさいなー!私がいいんだから良いじゃん!しんは小言多いよねー。」

半年間こんなやりとりをしながらなんだかんだ過ごすうちに、しん

のイケジョぶりに虜になっていた。

しんは見た目とのギャップがある。

やたらと小言が多くて口グセは「最近の若いもん」。

多分周りからみたら関わりたくないタイプかもしれない。

でも、なぎしんと友達になりたいと半年前のパン争奪戦の時おもった。

そう、昭和レトロな女子高生のしん。なぜ昭和レトロなのか?その秘密を知ったのはパン争奪戦から1ヶ月が過ぎた頃、あるきっかけだった。

なぎ、移動教室一緒に行こうよ!」

同じクラスの友達とまではいかないが、まあまあ仲の良いクラスメイト

波瑠はる

波瑠は、おっとりしていて体も弱い子でいつも私についてくる妹のような存在。

そんな波瑠はいつも笑顔を絶やさなくて優しくて私もついつい波瑠におせっかいをやいてしまっている。

なぎ波瑠はる性格は違えども、古き良きをいつも大事にするのは一緒なのだ。

見ていて不思議になる。

波瑠はるはいつも教室の校庭をみてる。その横顔は何か波瑠にしかわからない世界観んだと思う。

「これ!凪!」

「ちょっと!しんその言い方なんとかならないの?」

「女子高生の言葉遣いじゃないんだよんね。。。」

「そうかい?まあなぎさんや気にしなさんな。そろそろ慣れたころだと思ってだんだがなー。」

「いやーなれないわ・・・。しかし、半年前あの購買で・・・」

「しっ!」

「何?」

そこから話は進まなくなってしまった。

1ヶ月心しんと話をしているうちに少しずつ慣れてはいるが、おばあちゃんと話をしているようでたまにどっ!と疲れる事もある。

まあ、友達でいられるのもしんの秘密を共有しているからなのかもしれない。

その秘密はしんこころの潜在意識に存在するもう一人のしん

あのパン争奪戦の時、しんの手に触れた時、なぎの意識の中にいっしゅん見えた。

しんの本当の姿。

それまでしんの存在さえ気にもとめていなかった。

なぎ、私を助けて・・・。)

(え?何?この空間は何なに?)

なぎ、ごめんなさい。私はしん。あなと同じ学年なの。1週間毎週あなたの姿を見ていた。

その姿を見てこの子は私の存在を受け入れてくれるとちょっ感的に思った。

そんな出来事も不思議だとも感じないまま、自然と気づいたらしんは私の隣にいた。今思えば、

週1回のパン争奪戦もしんに取られたパンも、しんが私に自分の中にいるもう一人の自分を助けてほしくてあの時心しんはあの場所にいたのかもしれない。

そう考えると感慨深いももがある・・・。

「凪・・・。」

「何?しん

「凪のことは大体理解してるつもりなんだが、なぎが思うほど深刻じゃないんだがな・・・。こっちが逆に心配になるんだが・・・。」

「・・・。」

まあいいだろう。しんはこう言ってもなぎの助けてが必要なのは分かっている。

あー頼られる自分に惚れ惚れするよ。

波瑠はるしんなぎの親友、なぎの大事な理解者。ありがたい存在。

そんなこんなで高校生活は相変わらず淡々と過ぎていき、毎週恒例のパン争奪戦も慣れたもんで、かなり高い確率でゲットしていた。我ながら伝説的な快挙を成し遂げピーナツバターパン争奪戦。未だライバルあらわれず。自分の身体能力に惚れぼれする・・。

朝起きるのが苦手な己にピーナツバターパンという幻のパンが私の週1の早起きの楽しみを作ってくれている。口に入れた瞬間ふわ~とした食感が広がり、甘い香りとともにピーナッツクリームのなめらかな食感に、至福の時間を与えてくれるのだ。

「おい!なぎ。」

「・・・。」

「おい!凪(なぎ!)」

「・・・。」

しんどうしたの?」

「おー!波瑠はる!こいつを見てくれ。」

「・・また凪は。笑える本当に。」

「毎週1とはいえ、なんとかならんのか?」

「まーいいじゃない。このパン争奪戦もなぎのためにスタートした企画なんだし見守ろうよ。」

「それもそうだが・・・。はまりすぎじゃないか?」

「・・・企画?」

「いや・・・。」

「企画ってなに?」

二人は何か知っているような素振りでいたが、特に気にもとめなかった。気にすることでもなかったから。

「まーなんでもいいや!二人とも、ピーナツバターパン食べない?」

「・・・なぎの性格うらやましいのう。」

「そう?」

しんは見た目はイケ女子校生なのに中身は昔人。

持ち物もそうだ。手縫いのカバンに、中身のおやつはいつも決まって麦チョコ。カバンのアップリケのチューリップがなんともカワイイ。缶ペンケースのなかみは丁寧に削られた鉛筆、木製の10センチ定規。小さくなった白い消しゴム。見ているだけで癒やされる。

「ねエしんしんは見た目によらず片付けはしっかりしてるし、持ち物も大事にしてるし偉いよね!物持ち良すぎて関心する。」

「なんじちゃい!今更。」

「最初はすごく大事にしていても、少しずつ飽きてきていつの間にか手放して忘れてしまってる事が多いから。」

しんは本当に物持ちいいよね!」

「物持ちが良いんじゃなくて、大事なだけだ。」

・・・。深い言葉だ。

なぎのカバンの中頭の中は整理しとらんのー。いつも忙しくて何でも中途半端で・・!」

「はいはい、そこまでねー!図星だから何も言い返せないわ・・。」

「せめて、あえて言うならば鞄の中にパンを貯めるのはやめんかい!なんぼ袋に入ってても衛生的に考えんかい。凪?凪!聞いとらんのかい!」

いつものしんの止まらない説教。いやではないんだけど、とにかく長い、長い。

たしかにパンも含めて私も色々問題あるなー。

パン争奪戦も最初は負けたくない!手に入れてやる!そのなんとも言えない勢いと言うかなんというかとにかくしんの言うことは間違いない。

しんは私だけに口うるさいのではない。

クラスの皆、ついには担任の先生にも気になることは何でも指摘する。

そのおかげで、自習時間が多くて助かっている。

まー何だかんだ似た者同士なのかも。

波瑠はるがいてくれて丁度いい。そんななぎ達は、何かと衝突しては中の良い3人だ。仲が良いと言えば響きは良いけど結局の所は気があったから。そのきっかけは単純だった。

パン争奪戦も少しずつ落ち着いた頃。きっかけはと言うと波瑠はるの一言、そう

「企画なんだから」のことばだった。その時は企画と言うワードに気にならなかった。大した事じゃないと思っていた。しかし、時は突然訪れた。

パン争奪戦もライバルが現れはじめた頃、しんの様子がまるで別人のように変わっていた。

なぎ!そのパンに没頭する行為には何も言わんが、毎週呆れるのう!」

「なんだ!?」

「ふん!なぎに期待したワシが甘かったのう!」

「だから、なんだ!?」

波瑠はるや。」

「はい!」

(はい?なんだ?この異様なりかいできんぞ?)

波瑠はるー?どうしたー!」

急な展開についていけないぞ!今までの私の妄想ストーリーは?

「こら!なぎ!今まで黙っていたが、パン争奪戦の仕掛け人はわしじゃ!」

「だから!なんなの?」

しんの見た目と中身のギャップを理解できん。

「ってか、仕掛け人?なんの話なんだか・・。しん・・。」

「おい!」

「大きい声出すな!あー耳痛っ!」

「おまえはパン争奪戦をバカにしとるな?」

「だから、急にどうしたのよ!」

「パン争奪戦はな、この高校の伝統でもあることはなぎも分かっているであろう。」

「・・・。まあ・・。入学したとき衝撃をうけたもの。あの朝の購買になだれ込む先輩達に衝撃をうけてから始まったパン争奪戦・・。それをなぎは制覇したのだ!ってかその仕掛け人がしん?おかしいよ。しんは同級生でしょ・・?なに言ってるのよー。」

「そんな説明どうでもいい!答えになっとらんぞ!パン争奪戦も我が校の伝統じゃ。その伝統を受け継ぐものっを探しておったときそなたを見かけたのじゃ。話せば長くなるが、昭和初期我が校は当時パンを食す文化は浸透してなかった。そんな時代に小麦の文化を広めようとワシたちは考えた。」

しんわかったからもういいよー。とにかくしんの生きた時代は何事も大変だった。はい!この話は終わり!」

「なんだと?!ばかにしてるな?おい!なぎ!」

「あーしつこい!」

しんの言いたいことは分かっていた。しんの生きた昭和。なぎが生きている令和。時の流れの違いにしんは大事な事を伝えようとしていた。分かっている、だけど、今の時代の生き方に自由があるのかと言われたら即答もできない。

なぎ、さっきからしんとやいのやいの楽しそうね。」

「やいのやいの?何?波瑠はる・・」

「ッてか2人で話していると頭がおかしくなりそうだ!」

「何でだ?まともなことをなぎにおしえているんだぞ!感謝せい!」しんの言葉に悪気がないの分かるんだけど口うるさいんだよなー。(我がっ心の声)。

悪気はなくて、本気でなぎの心配して言ってくれているって分かっているから受け入れられる。

「おい!なぎ私のこと本気で心配してくれてるからー。とか考えてるだろ。ちがうぞ!なぎをしつけとるんじゃ!」

・・・。

「しつけ?!」

「まだパン争奪戦の意味がわからんのか?なぜ、あの日凪なぎの前に波瑠はる現れたのか。」

「え?何言ってんのー?また意味わかんなくなってきた!」

なぎの手元にあるパンの日付みてみろ。」

「なんでよ!」

「いいから見ろ。」

「賞味期限きれてたらかなり問題じゃない?もう!うるさいんだからー!」

「ごちゃごちゃ言わんと早く見ろ。」

「分かったよ!見ますよ!見ますとも!見りゃいいんでしょ!っどうせ賞味期限が切れてるドッキリとかなんでしょ!わかるわ。二人のやりそうなことぐらい。」

「うるさい!早く見ろ!」

「・・・。なによ。」

しんの本気の顔に内申焦った。渋々パンの袋の日付を確認した。

1985・6と記載されている。

「???1985年?!何よこれ!ちょっと!しん!いたずらにもほどがあるわ!」

なぎ、おまえの生まれ育った平成と言う時代とワシの生まれ育った昭和時代。」

「何、さっきからおかしいって!」

(ちょっとまてよ・・この展開。いよいよしんの頭狂ったか・・。見た目はイケジョなのに可哀想に。)

「おい!なぎ。おまえ私に同情してないか?」

「・・・、なにいってんの!違うよ。まあおかしくなったのかなーくらいはその口ぶりから想像はできるけど。」

「まあいい。とにかく1985年には変わらんからな理解できんのもむりはない。とにかく、波瑠はると2人凪なぎおまえを探しに令和に2018年に行ったのだ!」

「・・・はいはい、もういい?その妄想癖なんとかしてよー。」

しんは何かと妄想ストーリーを作り、その作り上げた世界に周りを巻き込む癖・・とゆうか、なぎにも理解できない不思議な性格の持ち主だ。

妄想ストーリーに付き合ってやるか!

「1985年?なにいっちゃてんのさ。」

「おい、なぎそんな余裕な態度とってていいのか?なぎの生活している令和とは何もかもちがうぞ。携帯電話もつかえないぞ!スマホをみてみろ。」

(あーもう面倒くさいよー。妄想ストーリーもしん本人がはまると長いんだよんなー)

なぎ信じられんのもよく分かるが、真実だ。」

「分かったよー。スマホ見ればいいのね!」

制服のポケットからスマホを取り出した。

・・・。??普通に使えるんだが、ここはしんのために(本当だ!)と言おうかそれとも(普通につかえる)と素直に伝えようか、迷う。しんが何かしら私に仕掛けているのか・・・。ここは心理戦だ。

しん・・、何で1985年だと思うの?」

「なんだ、その質問は。」

「いや、いくらしんがレトロ好きとわいえよ?なんか不自然じゃない?ありえないもん1985年って。」

私は、少ししんをバカにしたような答え方をした。

なぎおまえはあたりまえを当たり前だと勘違いしていないか?おまえの性格をなおさない限り時は進まない。」

何いっちゃてんのさ。だよ。全くわからん。とにかくパン争奪戦の私の初勝利の時心しん波瑠はるは確かにそこにいた。そして私は導かれた。半年間何気なく過ごしてきた。それで良いから。だけど、しんは違うみたいだ。私に何を求めているんだろうか。しんの本心が分からない。

なぎ!おまえは何事も深くとらえすぎだ!うちらは普通の高校生にすぎんのだ。」

・・・。

しんは淡々とまた話だした。

「平成、令和と人々は文字での交流をすごしている。ここまではなぎも自分も生活の一部だからわかるな?」

「まあ・・。しん、長くなりそうだけど聞いたほうがいい?」

「聞きたくないようだな。ならそのままで生活していけ。」

「あー!もう、明日にしない?」

私はしんの話に少しうんざりしていた。今思えば話を聞いておけば良かったと後悔しかない。

結局、しんが言いたい事は楽ばかりしているといいことはない。と言うことだろう。

波瑠はるはただ笑顔で私に微笑んでいた。

波瑠はるしんと違って口うるさくないから安心するわ。」

しんだって言いたくないんだろうけど、なぎの事が心配なのよ。」

何が心配で何で心配するのか理解できない。たしかに、友達だから心配することもあると思うけど、しんは事あるごとに口うるさくて母以上だ。

でも、一緒にいて嫌じゃない。だからしんの気持ちも受け入れられる。

そうだ!1985年・・・。パンの賞味期限からだいぶ話がそれた。

しん!」

しん波瑠はるは教室を移動していた。

なぎ!早くしろ!授業に送れるぞ!」

あー。もう10分の貴重な休み時間もこの1985年の賞味期限のパンで終わってしまった。

結局何がどうなのか全く分からないまま1週間が過ぎ、またパン争奪戦の日がきた!

いつものように戦いにそなえ、怒涛の通学をし、購買に向かう。

まあどうせ私が勝者なのはもう分かっていることだった。今はライバルがいないから。

そんな時、後ろから殺気を感じた。地鳴りも感じ、振り向くと奥からすごい形相のしんが走ってきた!

「どけどけー!邪魔だー!」

このパン渡してなるものか!なぎは昇降口から一直線に上靴をほおり投げ、そして購買に最短距離のコースを通り走りぬけた。

「よし!今日もこの勝負もらった!」

購買のオバちゃんが見えた!「おはよう!今日のピーナツバターパンは特別クリーム倍増だよー!」

何だと!?これはめったにないオバちゃんのサービスだ!

なぎー!おまえには渡さんぞー!」

ものすごい殺気だ!このままじゃ負ける。しんは本気だ!

なぎは目の前の人混みをかき分け購買にたどり着いた。

しん!良い戦いだった。」

・・・。手にパンの感触がない。まさか・・・。

周りをみると、なぎではなく、しんに勝利の歓声が浴びせられていた。

「ちょっと!しん!」

「何だ?なぎ!凪じゃないか!おまえいつ帰って来たんだ?」

「・・・。帰ってきた?どこからよ。ってかパン争奪戦急に参加しちゃってビックリしたわ。」

「それはこっちのセリフだ。おまえは一体どこにいっていたんだ?親御さんに連絡せんかい!皆心配していたんだぞ!」

「さっきから何言ってんの?毎週パン買いに来てたの知ってるでしょ!もう、まだ文句あるの?」

なぎしんの言っている事が分らなかった。

2人の会話のなか周りがざわついていた。なぜならなぎがそこにいたからだ。

凪は謎の雰囲気に困惑していた。

なぎ。もう一度言う。パンの日付を見てみろ。」

「しつこい!ってー。」

「周りの生徒の中にお前の知り合いはいるか?」

なぎは周りを見回した。・・・。

しん、ここどこ?なーんて言わないよ。普通に奥にいるわ!本当にいい加減にしなさいよ!」

凪は段々といらついてきていた。しかし、しんはそのなぎの様子をじっと見つめてこう言い放った。

なぎよ、お前は自分を過信しすぎていないか?」

「過信?なによ。意味が分からないうえに、しんまでおかしな事ばかり言うし訳分からない!」

そこに波瑠はるが来た。いつも冷静な波瑠はる

波瑠はる!ちょっと聞いてよ!しんがおかしいんだけど!もう私ではてにおえないよー!」

波瑠はるはそこにただ黙ってこっちを見つめて微笑んでいた。

なぎ波瑠はるのその姿に疑問を感じたが、いつもの冷静な波瑠はるならスルーしてもおかしくはないとその時はか感じていた。

そんなやり取りを繰り返ししていると、なぎの半年前の記憶がうっすらともやがかかったようになぎ本人の脳裏に見えだした。

その記憶の中にあの日のパン争奪戦の朝の自分が蘇ってきた。

あの日も朝から忙しく準備をして自転車を爆こぎし、購買にもうダッシュして幻のピーナツバターパンを初めて手にした。その時心しん波瑠はるに出会ったんだ。でも、その後二人は企画だと言っていた。

なぎは疑問に思ったがその時はスルーしたのだった。

そんな記憶が、ボヤッっと見えこれまでのしん波瑠はるとの日々を改めて振り返ってそういえば・・・。と初めて疑問が出てきた。

1985年・・!なぎはパンの日付をもう一度見直した。

(1985・6・・だ。)

「うわー!なんだ?!このうるさい音は!」

キーンと耳を突くような音がなぎの耳の奥に響いてきた。

音が引いていくと共にいつもおとなしい波瑠はるが口を開いた。

なぎ、私達の側にいてくれてありがとう。なぎの存在は心(心)や私を含め周りの皆の希望なんだよ。なぎの性格だと何?!ってなっているよね。半年前私達はある女の子の存在を知ったの。週に1回購買に走っていく女の子。でも、いつも学校の門からオレンジの光と共に現れる不思議な女の子。」

「ちょっと待って!波瑠はる。大丈夫?ねえ!しん波瑠はるの話理解できないでしょ?」

「いや・・・。理解できる。」

なぎは開いた口が塞がらないとはこの事か・・・。と笑みが出てきた。

「ちょっと。2人して正気?いつも訳が分からないけど、更に訳がわからないんだが・・。」

しんなぎの様子をじっと見ていた。

しん何か言いなさいよ!いつも口うるさいのにどうしたのよ!」

しんは薄笑いを浮かべていたが、軽い口を開いた。

なぎ、おまえはいつも周りにどう見られているか気にしていたな。良く見られたいから目立つ事をしないと、と焦って失敗をする。そんな生活に正直疲れていたはず。なぎがこの昭和の時代にどんな理由で未来のなぎ、が行き来しているのか知りたかった。しかしなぎの無邪気な顔を見ているうちに凪の生きる世界に気持ち事返してやりたくなった。」

なぎは、しんの話してる内容がどう聞いてもふざけているようにしか見えなかった。

「ねえ、しん、もういい?つかれたわ。しかも何訳わからない事また話してるのよー。」

なぎはいい加減面倒くさくなっていた。

そもそもきっと最初出会った時から気が合わなかったのかもしれない、とまで思えてきていた。

そんななぎ、の表情を見て悟ったように波瑠はるがま間に入った。

「ねえ。なぎ、もうよしましょう。現実を受け入れなければなぎは未来に帰れないわ!」

「・・・、波瑠はるまでどうしたのよ。2人共もうハッキリいったら?もう何もおどろかないわ。」

しんはうなずくと笑みを浮かべてこう話した。

なぎの知りたい事を間接的に説明しようか?結論おまえは令和を行き来するタイムトラベラーなのだ。なぎの意識の中にいるもう一人のなぎが私と波瑠はるを引き寄せたのだ。それが分かったのは第1回目のパン争奪戦の時凪なぎがまだ新入生で同じクラスの中にとけこめずにいた4月のころだった。」

・・・。また妄想ストーリーはじまったよー!付き合うべきか、はたまた聞いてるふりをするのがいいのか。

なぎしん、がなぜ妄想してしまうのか分らなかった。

しん、あんまり言いたくないんだけどさ、いつも訳が分からない話するでしょ?どうして?」

「訳が分からない?まあ現実を受け入れられないのはわかる。こんな非現実的な話・・・。」

「悲観的?おい!お前、信じてないな?」

「普通の反応でしょ。まったく。」

しんなぎ、はお互いを探るように話をすすめた。

なぎ、どうしていつも否定的なんだ?物事を悲観的に見るんだ?」

「お!喧嘩ごしだねー。」

なぎはいつもしんの言う事に大抵聞いてるふりか、すかしていた。しかし、今回の話に我慢がならなかった。タイムトラベラーなんかありえないにも程があると思ってこの際だからしんの妄想癖を治してやろうと悲観的態度をとり続けた。

しんはそんななぎの悲観的な態度に乗ってあげることにした。

そんな二人のやりとりを波瑠はるがは少しおかしくもあり、平和な日常の姿に癒やされていた。

しん自身もなぎ、と同じタイムトラベラーだと知っている波瑠はるしん本人も気づいていない真実。

心(心)となぎ、昭和と令和と言う時代を行き来していたのだ。波瑠はるは二人を引き合わせるために初めはしんとに、そしてしんと二人でなぎに近づき間を取り持つように波瑠はるはそこにいた。半年以上前、いやその前から波瑠はるがはそこにいた。

なぜか。それは当時波瑠はるは体が弱くいつも家の庭で登校する自分と同じ年頃の女の子達を見ていた。

そんな時、部屋の窓を開けようとした時、ふと波瑠はるがの目に写った女の子がいた。その子は毎週きまった曜日に朝1人奥の方からすごい勢いで走ってくる。波瑠(波瑠)はいつの間にかその女の子を見かけるのが楽しみになっていた。カレンダーに印を書いて朝決まった時間に波瑠はるが女の子を見逃さないように待っていた。

「今日もあの子は走ってくるのかしら、それとも意外と遅刻かしら。」

時間は週に1回だけは8時にその女の子は奥から走ってくる。

波瑠はるがは時計を見ながらその時を待っていた。

「もうすぐ8時だわ!あの子は今日も1番だわ!きっと!」

波瑠はるは逸る気持ちを抑えながら窓を見ていた。

「もうすぐ通るわ!」

そのワクワク観がたまらなくたのしかった。

いつしか時は流れ、窓越しに見ていた女の子は波瑠はるの窓越しの友達になっていた。

そして、時の扉が開いた。

波瑠はるは時を自由に操る能力者。

その力のせいで見たくない世界を見てきた。だが、波瑠はるがはしんに出会い考え方が変わっていった。時空を超えた世界でもその時代を必死に生き抜く人々が存在している事、そして自分を受け入れてくれる友達に出会えた今の現実、波瑠はるは広がっていく世界、変わりゆく時代をしんと見て考え方や生き方が変わった。きっかけとは不思議なものだ。

なぎは相変わらず目の前の状況にまったく理解できないでただこの場から早く逃げたいと思っていた。

タイムトラベラーだと突然SF映画のような話を淡々としてバカにされた気分でもあった。

「ねえ!しん波瑠はる仮によ。仮に、私がタイムトラベラーだとしてよ?何のために昭和と令和を行き来しているのかしら。」なぎはイヤミをいれた口調で二人に尋ねた。

すると珍しく波瑠はるが先に答えた。

なぎは今の状況が分からないのは当たり前よね。今までの出来事やなぎの生活、その中でいつの間にか凪の深層心理の目が開いたの。その力はなぎ、心当たりない?例えばこの景色前に見たことある、とか。」

「そんな急に言われても意識してないし、そもそもありえないでしょ?」

「そうね。簡単に説明すると、なぎ未来のなぎが過去のなぎを動かしている。とでも言えば分かるかなー。」

「・・・。分かんないよ!波瑠はるがまでどうしたの?」

なぎはだんだん2人を信用できなくなってきていた。とわいえ、もしも自分が本当にタイムトラベラーなら過去の自分にどんなことを望むのかと考えた。

例えば将来のために貯金しなさい。とか、勉強して大学にいけるようサポートするとか?あれこれたくさんありすぎるくらい浮かんできた。

そのなぎの様子を見ていたしんが口を開いた。

なぎ、おまえの過信した性格が過去のなぎ、は心配している。」

「じゃあ聞くけど、未来のなぎさんは過去のなぎに何を心配する必要があるのよ。」

「それは未来のなぎが過去のなぎに期待している事よ。」

なぎは半分信じられなかったが、もし、2人の話が冗談だとしても、面白そうだと話に乗ってみることにした。

「分かったわ!波瑠はるがももちろん未来のなぎに会った事あるんでしょ?」

「そうね。未来のなぎ、が会いにきてくれたが正解かな。」

「へえー。なにしに来たの?いつの時代のなぎ?」

なぎは、波瑠はるを試すように聞きはじめた。

波瑠はるは思い出し笑いをしながらこう話した。

「私が初めて未来のなぎに出会ったのは病院だった。窓の奥から青白い光とともになぎ

いつものように話かけて来たわ。私も未来のなぎを心のどかかで待っていたのかもしれない。なぎはいつの時代でもなぎだもの。伝えたい事も表情で分かったわ。」

「それで?」なぎ波瑠はるがこの理解し難い話をまとめてくれると信じていた。

波瑠はるは話を続けた。ただただ今のなぎのためにできることを未来のなぎのために。

なぎ・・・。」

その時波瑠はるの後方からあのパン争奪戦の時のような神々しい光がさしこんできた。

「うわ!まぶしい!何!?」

なぎは驚くと言うよりはまたか。と少し受け入れるかのような態度をとった。

その光の奥から影が見えた。

「人?」なぎは眩しいながらも光に導かれるようにその光の方へ歩き出していた。

少しずつ、ゆっくりと。すると、光の中から現れたのは、おばさん・・?いや、未来のなぎだった。

しん波瑠はる、ありがとう。ここからは私の出番よ。」

・・・?なぎ、はますます頭が混乱し、冷や汗が出てきた。

「あのー。あなたは・・。」

そのおばさん、いや未来のなぎは笑みを浮かべてこう話した。

「こら!過去のなぎ、いつまでそんなだらしない生活をしているんだ!パン争奪戦心しん波瑠はるに頼んで良かったー。私は過去にしん波瑠はるにこの能力を使い会いに行ったのだ。過去のなぎと友達になってくれないか?と頼んだ。あまりに力が強すぎていた。だから色々な時代を事を楽しむかのように自分でも止められなくなっていた。そんな時たまたま昭和に偶然なのか無意識に望んで来たのか1985年の6月に来ていた。あれだけ時空を遊び回った私だが、しん波瑠はるが生きている世界がとても居心地が良かった。」

なぎはにわかには信じがたい話だったが、シワの増えた自分をみてガッカリの方が気持ちてきには勝っていた。

「ってかしん波瑠はるが生きている世界って!ずっと生きてるわよ!やっぱり私なのね。肌の手入れくらいしなきゃだめよ。」

・・・。

未来のなぎはやはりそこに目をつけたか。と自分の性格を知っているからこそ驚きもしなかった。

話をそのまま続けた。

なぎ、気持ちは分かるが人には寿命がある。当然私達にもある。その寿命がしん波瑠はるの方が先にきたのだ。なぎ、後悔をしてほしくないんだ。だからその能力に頼らず未来を変えてほしんだ。しん波瑠はるに頼ってばかりではだめだ!後悔してしまう前に切り開いてくれ!」

そう話すと未来のなぎは光の中に消えて行った。

しん、と波瑠はるもほっとしたようだった。

そしてなぎはその能力が本物だったんだと理解していた。時々不思議な事がおこっていたが果たして夢なのか何なのかわからない時があった。

1985年のなぎは半信半疑ながらも未来のなぎの話したとうりしん波瑠はるを頼らず時を3人一緒に助け合うように過ごし、結婚、子育てを助け合いながら時代をこえてきた。

そして令和を迎えなぎ達は50歳になっていた。

3人一緒に。

「はーい!今日もパン争奪戦始まるよー!ピーナツバターパンを手にした生徒には未来へのきっぷを上げるよー!」

「おい!なぎ!おまえは結局変わっとらんな!」

しんの相変わらずのつっこみ、波瑠はるがその隣で笑う。そんな月日をだいじな人と大事な時間を過ごす事のありがたみをなぎはこの先も感じて生きていく。

あなたの大事な人は今側にいますか?もしかしたら今出会っっているのかもしれません。後悔しないように見つめ直して見ませんか?




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