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青春聖戦 24年の思い出  作者: くらまゆうき
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第92話 よお一年坊主

祐輝は駅を出ると見慣れぬ景色を見てため息をついた。



練馬商業。



そこは練馬区でも有名な不良高校だった。



東京中から入学してくる不良達はこの高校で青春を謳歌するが、退学する生徒も後を絶たなかった。



野球に集中しすぎていた祐輝の学力で行ける学校はこれぐらいしかなかった。



入学式だと言うのに気が乗らない祐輝はトボトボと歩いていた。



すると楽しげに話す男子3人組が祐輝を見つけると話しかけてきた。





「1年!?」

「そうだよ。」

「俺達もだよ!! 坊主頭だし野球部!?」

「まあね。 怪我してもう野球できないけどね。」





大きな体の祐輝を見て嬉しそうに話す3人組。



3人とも色黒で少し悪そうな表情をした小生意気な少年達だ。



「俺は大熊」と名乗る少年は細い顔に釣り上がった目つきをギラギラと輝かせていた。



「鉄平だよ」と透かした表情で粋がっている少年は祐輝を見ると「喧嘩強そうだね」とどこか偉そうだった。




「京介っす」とモゴモゴと話す少年は3人の中で一番真面目そうだったが太い腕が制服を着ていてもわかる。



3人組と挨拶を交わすと祐輝はスタスタと高校へ歩いていった。



そして4人で高校に入るろうとすると新1年生であろう少年少女が正門で立ち尽くしていた。



不思議そうに祐輝達は正門に近づいていくと入って直ぐに校舎がある独特な造りだった。



だが祐輝達が驚いたのは校舎の造りではない。



3階建ての校舎に無数にある窓から身を乗り出してこちらを睨みつける上級生が窓を埋め尽くすほどいた。



慌てて教師が正門に出てくると「やめなさい」と大声で叫んだ。



絶句する1年生の中から祐輝は平然と一歩前に出て歩き始めると直ぐ隣に同じ様に一歩前に出た1年生がいた。



2人は上級生に挨拶もせずに校舎の中に入っていくと他の生徒達も続いた。



校舎の中に入ると不良という事を隠すどころか自慢しているかの様な厳つい少年が立っていた。





「お前1年?」

「はい。」

「野球部?」

「はい。」





それだけ祐輝に尋ねると突然胸ぐらを掴んだ。



祐輝と共に最初に校舎内に入った1年生には目もくれずに何故か祐輝に敵意を向けている。



手を振りほどこうと抵抗したが驚くほど強い力で振りほどけずにいた。





「なんですか?」

「てめえ第1ボタンまで締めろよ。」

「はい?」





それだけ言うと180センチもある祐輝を簡単に投げ飛ばして掃除ロッカーにぶつけた。



倒れ込む祐輝の腹部を踏みつけると不良はしゃがみこんで睨んでいた。



「俺は野球部主将の千野ってんだ。 てめえら1年は奴隷だからな。」と言うだけ言うと仲間と共に去っていった。



慌てて祐輝に駆け寄った大熊達は少し青ざめていた。





「あれ千野せんのさんだ・・・俺達の地元で有名な不良チームのボスだよ。」

「いってえ。」

「大丈夫かよ?」





ムクッと立ち上がった祐輝は不満げだった。



千野が言った「第1ボタンを締めろ」という発言は真面目な生徒の様にも聞こえるがそうではなかった。



これは練馬商業に伝わる伝統的な習わしとも言えた。



服装の自由は3年に近づくに連れて許されていった。



本来なら第1ボタンまで締めて真面目に勉学に励むのが優等生というものだが、不良学校の練馬商業では偉くなるに連れて服装を悪く見せる許可が上級生から降りるのだった。



千野は学ランのボタンを3つも開けてインナーには黒いシャツを着て金色のネックレスまでしていた。



祐輝はとんでもない学校に入学してしまった。

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