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青春聖戦 24年の思い出  作者: くらまゆうき
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第73話 越田と祐輝

一塁ベース上で打席に入る越田をじっと見ている。



関東3位の4番打者である越田が打席に入る合計はこの選考会に集まった200人もの球児だけではなく審査員達からも注目の的だった。



対する桜木も東京選抜のメンバー入りがほぼ確定している様な選手だ。



誰もが注目する一打席に球場は熱気に包まれた。



そして桜木はセットポジションから投げ込むと驚く事に初球からフォークを投げた。



これにはさすがに越田も驚いて空振りをした。



2球目も桜木はフォークを投げたが越田はスイングせずにボール。



3球目は速いストレートが膝元に投げられた。



すると快音と共に打球は高く上がりレフト線ギリギリに飛来している。



塁上の祐輝も二塁へ向かって走っている。



しかし打球はレフト線を切れてファールとなった。



越田は悔しそうに打席に戻ってカウントはツーストライクワンボール。



ここで野球の難しい所だが次に何を投げるのかだ。



カウントでは桜木が有利だからフォークを投げて三振を狙うか、ストレートでボールになっても構わずにギリギリのコースを攻めるか。



投げる球を誤れば桜木は危ない。



キャッチャーとサイン交換をすると桜木は4球目を投げ込んだ。



桜木が選んだのは速いストレートだ。



不思議なまでにツーストライクに追い込むと越田とはストレートで勝負したくなるのか。



桜木のストレートは越田のバットに当たる。



そしてこれもまた見事な快音と共に打球はセンターへ飛来したがややフライ気味だ。



だが祐輝は迷わずに全力で二塁ベースを通過して三塁ベースへ走った。



ルール上、フライをノーバウンドで捕球されるとランナーは元々いた塁上へ戻らなくてはならない。



祐輝は非常に危険なプレーをしている。



万が一に越田の打球がセンターを守る選手に捕球されたらもう戻っては来られないほど全力で走っている。



高く飛来する打球をセンターが追いかけているが打球はギリギリで更に伸びてフェンスに直撃した。



ホームベースを踏んだ祐輝は越田を見て「ナイスバッティング!」と感情を爆発させた。



桜木は悔しそうにピッチャーマウンドの土を蹴っている。



怪童越田は桜木の速いストレートを見事に打ち返してみせた。



だがその後のバッターが内野ゴロと外野フライに終わりベンチへチェンジとなったが、今日は選考会。



祐輝と越田も交代になり別のバッテリーが守備に入った。



ベンチで他の選手を見ているが2人は得意げな表情で選考会1日目の通過は確実だとお互いに確信していた。



イニング毎に様々な球児が交代されてプレーする。



200人から選ばれるのは20人だけだ。



この選考会では少しのミスも命取りになる。



だが今日の祐輝と越田は完璧だった。



選考会初日の結果は数日後に知らされる。



合格すれば2日目の選考会へ参加する事ができる。



初日を終えた2人は共に駅へ向かって歩いている。




「なあ祐輝。 俺達が目指すのはメンバー入りじゃない。」

「え!?」




突然の言葉に驚く祐輝は越田の顔を見ているが、澄んだ目で遠くを見て歩く越田は「目指す先は日本一だ。」と言い放った。



東京選抜のメンバー入りなんて当然でその先行われる全国の選抜選手達との戦いを越田は見据えていた。



祐輝は越田の言葉で自分が今来ている選考会とはそんな場所なのだと改めて自覚した。



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