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青春聖戦 24年の思い出  作者: くらまゆうき
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第45話 じゃあ何ができる?

ホームレスの涙が頭から離れない。



確かにやってはいけない事だ。



亡くなった少年の無念を考えるとやりきれない。



たった一度のミスで人生が終わる。



恐ろしい事だ。



そして自分には何ができるのか?




「プロになって金持ちになったらあの人を助けられるのかなあ。 何年後だよそれ・・・」




まだ14歳。



早くても4年後か。



それまで彼はあの公園にいるのか。



本当にプロになれるかもわからない。



祐輝はただ考えていた。





「弱者は見捨てろって事かよ・・・確かに戦国時代なら・・・でもこれでいいのかな日本・・・」





人生はやり直せないものなのか。



祐輝は虚しくもなった。



万が一に自分が怪我でもしたらプロの夢は消える。



真面目に勉強をしていない自分には野球しかない。



親が飛行機のパイロットってだけで自分も親の様になりたいと必死に勉強している同級生もいた。



野球がなくなったら自分は何になりたいのか?





「親父がいれば憧れるもんなのかな・・・」





かつて一樹も父の様な警察官になりたいと言っていた。



パイロットの父に憧れる同級生も羨ましかった。



しかし祐一は何の仕事をしているのかもわからない。



この新宿の一等地にそびえ立つ自社ビルは何なのか?



祐一への憧れは一切なかった。



野球がなくなった自分への恐怖も感じた。




「戦国武将達も父の家督継いで立派に生きたもんなあ・・・織田信長の父は優秀だった。 信長もそれを見ていたのかな・・・」




織田信長の凄さは日本人なら誰だって知っている。



だが歴史に詳しい祐輝はその父織田信秀の凄さも知っていた。



同時に自分は織田信長の様な男にはなれないとも感じていた。



それは道標のなさにあった。





「憧れか・・・野球にはある。 甲子園からプロの舞台で活躍してアメリカにまで行ってプレーする選手はかっこいい。 自分もそうなりたいと思う。 でも社会人で生きていく事への憧れは感じない。 パイロットなんてわからないし警察官にもなりたいとは思えない・・・はあ・・・どうしようか・・・」





パイロットも警察官も通常とは違う特殊な仕事だ。



しかしどの仕事だって苦労はある。



墜落の危険も公務中での死亡の危険も普通に働けばない。



だが上司からのプレッシャーや一つのミスで取引が失敗する危険だってある。



仕事をして生きていくというのはそれだけ困難で苦しい事なのだ。



1億人を超える日本人の全てが共通して人生に不安と悩みを抱えて生きている。



この平和な日本で自殺者が後を絶たないのは何故なのか?



祐輝はそんな疑問を抱えて部屋の天井を見つめていた。



かつて命がけで戦った先人達は間違っていたのか?





「考えると怖くなってくるなあ・・・今はとにかく野球頑張るか。 それしかないよね。 もっと大人になってから考えよう・・・仕事の事はよくわからない。」





これも中学生なら当然なのかもしれない。



先の事はわからない。



成人して大人になるまで6年もある。



今はとにかくエースを目指す。



越田と戦えるエースになる。



それが祐輝の目標だった。





「人生は一度きり。 死んでしまったらその先どうなるかわからない・・・一生懸命生きよう。 先人が守ったこの日本で。」





中学1年生でここまで考えられれば十分か?



正解とは誰も言ってはくれない。



目標を持って真面目に勉強する同級生も正解。



夢を持って努力するのも正解。



何かを必死に考えているなら正解か?





「さてと。 今日は明治維新でも見るか。 どれどれ。 会津戦争で戦った女武者。 名は竹子か。 20歳・・・早いな・・・いってっ!? え!?」





祐輝は誰かに押される感覚に戸惑いながらも歴史を学んでいた。



人には言っていなかったが祐輝は霊感があった。



どんな時に霊感が働くのかは自分でもわからない。



しかし古戦場などに行くと人の気配を物凄く感じる事があった。




「そうだ。 冬休みだしナインズの練習がない時に関ヶ原に生きたいなあ。」




少年は未来への不安とエースへの夢に葛藤する。



しかしそんな少年を支えるのはやはり先人達の生きた証だった。

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