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29. 間章:とある男の行く末・3

更新少し遅くなりました! すみません!

 パリンという何かが割れる音が響き、次いで聞こえた女の声。


 反射的に背後を振り返ると、白金(プラチナ)の長髪を靡かせた白い狐面の女が立っていた。


 ───い、いつの間に!?


 驚愕のあまり暫く固まっていると、ふと女の輪郭がブレた……かと思えば彼女から遠ざかっていく銀光が2つ。


 それがナイフだと気付いたのは夜闇の中へ消えていった後だった。


「いきなり刃物を投げつけるなんて穏やかではないですね。とりあえず落ち着きませんか?」


「ハッ! 先に仕掛けてきたくせによく言うよ。せっかくの結界を壊してくれちゃってさ。どうする? 女神サマにでも献上するのかな?」


 ───今の一瞬で理解した。この女は……強い。


 そして……この男もまた、私よりも強い。


 もし今のように出会い頭でナイフを投げられていたとして、果たして私は避けられただろうか。


 実際には予備動作も含まれるが、ナイフの速度だけで言えば反応できるか否か、かなり際どいラインと言わざるを得ない。


 周囲には緊張感が張り詰め、自然と鼓動が早まる。


「ふふっ。」


「……何がおかしいのかな?」


「あぁすみません。随分と分かりきったことを聞いてくるんだなと思って。もし私にその気があったらあなたはとっくに逃げていたはずです。」


「それはどうだろう、キミを口封じするという選択肢もボクにはあるんだぜ?」


「またまたご冗談を。初撃を躱されたにも関わらず反撃がない時点で、あなたの中で私は敵対勢力ではないと決め打っていますよね?」


「……チッ。」


 女の言葉が図星だったのか男が舌打ちをし、暫くの沈黙が訪れる。


 今の一連のやり取りの中で興味深いのは男が舌打ちをしたということ。


 あの得体の知れない男が舌戦で負けているのか……?


 2人の間から逃げるようにして立ち上がり、女の方を観察する。


 身長は160後半から170くらい。


 服装はこの国では珍しい……『着物』と言ったか?


 記憶が正しければ、たしか東方の国の衣装だったはずだ。


 この女は東方の出身なのか?


 ……分からない……あまりにも謎が多すぎる。


 ただ一つわかることがあるとすれば、この中で一番弱いのは私だということ。


 両者は一見すると気を緩めているように見えるが、隙という隙は見当たらないし、何よりも実力の底が見えない。


 正直、兄貴と対面した時ですらここまでの絶望的な差を感じたことはなかった。


 間違いなくAランク以上の実力者だろう。


 元は兄貴の行方を知るためだったのが、こんなことになるなんてな。


 長い沈黙の中で頭の中が徐々に整理され、これまでの展開を振り返ることができる程度には精神的な余裕が生まれ始めた。


 そんな折、見計らったかのように男が口を開いた。


「……はぁ、それで? キミの目的はなんなのさ。もしかして、ボク達の組織に入れてほしいとか?」


 溜息を一つ吐き、男は先程と打って変わって明るく声をかける。


「そう、と言ったら?」


 男の質問に対し悪戯っぽく返す女。


「うーん。喜んで、と言いたいところだけど怪しすぎるからなぁ。」


 わざとらしく考える素振りをする男。


「それでしたら、こんなのはどうですか?」


 そう言って女は男の持っていた審判球に手を伸ばす。




「───私は女神を殺したい程憎んでいる。」


 結果は、青。




「───私の最愛の人は……神のせいで亡くなった。」


 またしても結果は青。


 この人もまた、大事な人を神に奪われたのか……。


『組織にはキミと似たような境遇の人もたくさんいる』


 私は男の言っていた言葉を思い出す。


 ……あれは嘘ではなかったのだな。


 私はそこまで信心深い方ではなかったが、それでも人並みには信仰していた。


 貧しい村などでは時々炊き出しをしているというのを聞いたことがあったし、ただ漠然と善なる存在だと思っていた。


 いや、思わされていた。


 大衆に良い顔を見せている裏ではこんなことをしていたなんて……絶対に許してはおけない。


「ふむふむ、キミもそういうクチ(・・)だったんだね。……分かった、ボク達の組織に歓迎しようじゃないか。」


「ありがとうございます。」


 女の告白を聞き、男は納得したように頷いて慈愛に溢れる声で優しく返すと、女も穏やかに感謝を述べる。




「あ、でもさぁ─────」






「─────キミ、やっぱり女神の手先だよねぇ?」


 先程とは一変し、底冷えするほどの声とプレッシャーが男から発せられる。




「いいえ? 女神との敵対を望むのは私の意思ですよ?」


 男の威圧を受けて尚、女はなんてことないとばかりに平然と答えた。


 結果は───青。


「……そっかそっか、それなら良いんだよ。これからもよろしく───って自己紹介がまだだったね。ボクの名前はブラーだよ。」


 結果を見た男は放っていたプレッシャーを霧散させ、軽い調子で自己紹介を始めた。


「私はクロスだ。」


「私は───ハク。」


「クロスとハクだね。それじゃ、まずはボク達のアジトへ案内するよ。」



これにて1章+間章は終了です! 次回からはいよいよ第2章!

次回更新は1月1日、お正月にまたお会いしましょう。


それではよいお年を!

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