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24. RTAの終わり

先週に引き続き今週も2話投稿です。

本当は木曜日に投稿したかったんですが、三連休で曜日感覚が一日ズレてました……。

 既に日付が変わった深夜。


 守衛さんのチェックを受けたのち町の外へ出る。


 日中であれば必要ないのだが、今のように遅い時間だと町を出る際にも身分確認が必要になる。


 そのため、門からある程度離れた木陰まで移動して、昨日買っておいた不審者セットを着込む。


 ここから門までの距離は目算でおよそ200メートル。


 加えて、今日は2つある月のどちらもが見えなくなる『深新月』と呼ばれる日。


 門の付近は明るくなっているので、こちら側からなら朧げな人影は視認できるものの、向こう側からはほとんど見えないだろう。


 ザワザワと風が木を揺らし、いくつかの虫の鳴き声が響く───






 どのくらいの時間待っただろうか。


 ある時守衛さんの影が動き、門の向こう───町の中からもう1つ人影が現れた。


 ポケットから懐中時計を取り出し、時間を確認する。


(アレさんに教えてもらった時間通り……間違いない、あれこそが邪神の依り代(・・・)となる人物だ。)


 人影は俺から見て右側、北東の方角へ歩みを進めていく。


 ちょうど、ロックストンダンジョンのある方向だな。


 俺は一定の距離を保ちながら後を尾ける。


 月が出ていなくても、星明かりと夜目が利くこの体のおかげで影はバッチリ見えている。


 前を歩く人物は周囲を警戒する素振りを見せず、あくまでも自然体。


 迷う様子もなく目的地へ淡々と歩く様が妙に不気味に思えるのは、色眼鏡で見ているからだろうか。






 そうして歩き続けること暫く。


 町とダンジョンの中間に差し掛かったあたりで、突如として前を歩いていた影が忽然と姿を消した。


 それを見た俺は一瞬驚いたものの、すぐさまカウントダウンを始める。


 消えたと思われる場所まで駆け寄ってみるが、これといった不審な点はない。


 それならば、と一度離れて色々な角度から観察してみたところ、ある一方向から見た時に限り空間に亀裂が走っていることが確認できた。


「これがアレさんの言っていた『扉』か……。」


彼に教えてもらったことを頭の中で思い出す。




『───後を付いていくと突然()の姿が消える。それを確認したら慌てずにカウントダウンを始めるんだ。男が消えた場所には別の空間と繋がっている扉があるから、そこの真ん前できっかり1分後に魔法を撃つ。そうすれば全部解決、めでたしめでたしって訳さ。どう、簡単でしょ?』




「いやまぁ簡単と言えば簡単なんだけど、まさかぶっつけ本番でやることになるとはね。」


 とはいえ、ここまでは非常に順調だ。


 扉を視認できたし、秒数もきちんとカウントできている。


 アレさんは1%の確率で失敗すると言っていたけど、ここまで準備が整ってしまえば、まず失敗することはないだろう。


「さて、そろそろか。」


 残り10秒……右の手のひらを『扉』の前に突き出し、左手は右腕がブレないように支える。



 残り5秒……亀裂が僅かに広がり、隙間から紫色の光が溢れ出る。



 残り3秒……すぐに魔法を発動させられるように、「《ミニ……」と呟く。



 残り2秒……魔法陣が金色の光を放ちながら足元に浮かび上がり、煌々と輝く。



 残り1秒……ピシッという音を立てて亀裂が一気に広がり、言葉にできないプレッシャーが重くのしかかる。



 残り0秒……虚空から外套で顔を隠した人影が現れる。



 その時、突然吹いた風がフードを捲り上げ、金色の輝きが下から男の顔を照らし出した。






 ─────え?






 時が止まったかのような錯覚。


 刹那の間に思考が巡り、今まで感じたひとつひとつの小さな違和感が全て繋がって一筋の光となり、やがて一つの結論へと辿り着く。


 ─────だから、()を見たことがなかったのか。






「───レイ》!」






 躊躇は一瞬。


 魔法を唱えた瞬間、彼の心臓を眩い光が貫く。


 彼の─────ジャスさんの、驚愕に見開かれた燃え盛るような赫い瞳と目が合う。


 何かを言いかけようとして僅かに動いた口は、しかし何かを発することなく、瞬き一つの間に光の粒子となって消えていってしまった。


 役目を終えた魔法が闇の中へと溶けていき、辺りには再び静寂が訪れる。


 ただ一人残された俺は、行き場のない感情を持て余し暫くの間立ち尽くしていた。


 全く持って予想していなかった展開だけど、それと同時に、これ以上ないくらいにしっくりきた。


 ある種恩師とも言える彼を手にかけてしまったことについて、多少なりとも思うところはあるものの、仕方のないことだった、と自分でも驚くくらい割り切れている。


 どちらかと言うと、俺ってそんなに薄情だったのか、という自責の方が強いくらいだ。


「……はぁ。帰って寝るか。」


 寝て起きればこのモヤモヤは消えるだろうか。


 そんなことを考えながら俺は元来た道を戻り、帰路に就くのだった。











 ─────この時の俺は余裕がなく、とある大事なことが頭から抜け落ちていた。






『───成功したかどうかは憑り付かれた男が無事かどうかで判断してね。この魔法は男の中にいる邪神にしか(・・)効かないから。』






これにて第一章完結です!

ここまで読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます!

2022年の1月1日に投稿を初めて約4年……ようやく第一章完結です!(ゑ?)

こんなに投稿ペースが遅い拙作にお付き合いいただき本当にありがとうございます……。

初版からかなり展開は変わりましたが、なんとかここまで辿り着くことができました。

色々書きたいことはあるんですが、ひとまず置いておいて。

この後は4~5話ほど別視点のお話を挟んだのち、第二章となります。

本編再開はキリ良く正月からの予定しております。

今後も拙作にお付き合いいただけますと幸いです。


・最後に!

ここまで読んでいただいた皆様には是非とも☆で拙作の評価をお願いいたします。

どんな評価でもモチベに繋がりますので、忌憚のない率直な評価をしていただけますと幸いです。


それではまた!

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