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22. 最終準備

1章完結が目前でモチベがめっちゃ高いので今週2話目の更新です。

 最終準備と格好よくは言ったものの、用意するものは2つだけだ。


 まずは服。


 実行は深夜なので、夜闇に紛れるための服が欲しい。


 そんな訳で、店を何軒か訪れて真っ黒な無地の外套(クローク)とバンダナを購入した。


 クロークは言うなれば、体をすっぽりと覆うことができるマントのようなもので、これにプラスしてフードを被ることによって全身黒づくめになることができる。


 バンダナは、顔の目元以外を隠すために購入した。


 試着室の鏡で自身の姿を見てみたところ、不審者以外の何物でもなかったけど……暗殺者的な格好良さもあって男心がくすぐられた。


 街中でこんなの着ていたら職質間違いなしだろうけどね……。


 ともあれ服に関してはこれで片付いた。


 残るもう一つだが、こちらが今回の本題だ。


 宿に戻った俺は、備え付けの化粧台に向って座る。


 これからするのは、邪神討伐の肝心要となる魔法の習得。


 それも、《ファイヤーボール》のような下級の魔法ではなく、『神聖魔法』という超級の魔法だ。


 ここで魔法の習得に関しての話をしたいと思う。


 この世界での魔法の習得方法は主に2つ。


 1つは『魔法書』と呼ばれる、魔法陣とその魔法名が描かれた本を読んで覚える方法。


 そしてもう1つは、『スキル』と同じように『熟練度』の上昇によって自然と覚える方法だ。


 とはいえ熟練度で覚える魔法は数が少ないので、魔法書を使うことの方が遥かに多く、その分種類も多い。


 魔法書は普通の本屋でも取り扱われる程身近なものだが、その価格は割と高く、これも魔法職がお金のかかる要因の一つとなっている。


 まぁ序盤から魔法がバンバン使えてしまうと、昨日のようにダンジョンの難易度がガタ落ちしてしまうからな……。


 程良くバランス調整がされているということだ。


 序盤は武器を装備して物理で殴り、中盤以降お金が貯まってきたら魔法職に切り替えるか、より強力な武器を買って物理面を極めていく───と、そんな展開を制作側は想定していたのだろう。


 実際、リリース初期の頃はそういう流れがセオリーだった。


 だがしかし、ゲーマーというのは古今東西、仕様の穴や抜け道を探そうとする生き物だ。


 何人ものプレイヤーがこの難題に挑戦すること数か月。


 遂に、とあるプレイヤーが魔法書を必要としない魔法の習得方法を編み出したのだ!


 その方法とは───




「よし、ちゃんと描けた(・・・)な。」


 そう、模写である。


 『魔法書』といってもその中身はただの紙とインクであり、こと『トリワル』においては、例えば「ページを見た瞬間に使い方が頭に思い浮かぶ!」というようなファンタジー演出は起こらない。


 考察勢曰く、魔法陣の紋様を完璧に(・・・)覚えることで習得できるようになる、とのことらしいが公式からの答え合わせがないため真偽は定かではない。


 複雑な魔法陣を完璧に覚えるというのは、一見するとかなりの難易度のように思えるが、画面越しの住人であるプレイヤーにとって、これはそう難しいことではない。


 ここで必要になるのが、別売り¥19,800円(税込)の『思考操作ヘッドギア』。


  これを装着した状態で、スマホ等に表示した魔法陣の画像をなぞるようにイメージすると、なんとゲーム内のアバターがそのイメージそっくりに魔法陣の絵を描いてくれるのだ。


 必要な時間は数秒から数分と短い上に、ゲーム内では紙とペンを用意するだけで理論上全ての魔法を覚えられることから、これはトリワル史に残る世紀の大発見の一つとして語り継がれている。


 魔法陣の研究が進み、この技術を応用することで既存の魔法をアレンジしたり複合した魔法、更には全く新しい魔法すらも自在に作り出せるようになったのだが、それはまた別の話。


 とまぁそんな訳で、『トリワル』の突出した自由度の高さと極限まで追及されたリアリティが、魔法書を必要としない魔法の習得を可能にしてしまったということだ。


 この方法がこの世界でも有効なのは、既に《ファイヤーボール》や《ウォーターボール》が証明している。


 まぁ、何も見ずに魔法陣を描けてるってことは、それはつまり完璧に覚えられてるってことだからね。


 俺は椅子から立ち上がり、描き終えたばかりの魔法陣を見ながら右腕を突き出す。


「《ミニ・レイ》」


 唱えた直後、眩い光と共に手の平から直径10センチ程の光線が放出された。


 見た目はただの白い光の筋といった感じで、とても神殺しができる魔法のようには見えない。


「射程は1メートルくらい、と。うん、これなら申し分ないな。」


 それでも俺は、この魔法やTAのチャートを教えてくれた彼のことを誰よりも信頼している。


 それから数秒後に光線は消え、部屋の明るさが元に戻った。


 ステータスを開き、魔法の欄を確認すると【ミニ・レイ】の文字が刻まれていた。


 初回だけは魔法陣を見ながら発動させないといけないが、一度ステータスに載ってしまえば後は何も見ずに魔法名を唱えるだけで発動が可能となる。


「さて、と。これで全ての準備が整ったな。あとはここから仮眠を挟んで深夜に備えるだけだ。」


 ふぅ、と一息吐き、何かやり残したことがないかじっくりと考える。


 不安や緊張が全くないというと嘘になるが、この程度なら慣れたものだ。


「それに、アレさん(・・・・)とプライベートで初めて会った時の方が、これの何十倍も緊張したからなぁ。それと比べればこれくらいどうってことない。」


 この世界で生きる以上、邪神とぶつかることになるのは必然。


 それならばできるだけ早く、かつ確実な方法で倒すのが最善。


「大丈夫、やれることは全てやった。後は時が来るのを待つだけだ。」




新しい魔法を作り出すには、当然ですが魔法陣に関する知識が必要不可欠です。

そして、クロトくんのようにPVPにのめりこんだプレイヤーたちは基本的に全員、新しい魔法をポンポン作り出してます。

なので主人公が例外という訳でなく、一部のトップ層が頭おかしいってことです。なんなら運営側も若干引いてます。

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