幼稚園の給食
娘の幼稚園は小学校のすぐ近所にあった為、お昼は給食を小学校からわけて貰っておりました。
本当に目と鼻の先でしたので、割烹着を着たおばさまが、大きな大きな荷車をひいて持ってきてくれるのです。
今では衛生面がと言う声も上がる事でしょうが、時代が時代でございます。
集団予防接種が当たり前で、風邪の対策に学校にお茶を持参し休み時間の度にそれでうがいをする。
そんな時代の話でございます。
ですが不思議な事に、給食のおかずはそうして運ばれて来るのに、ごはんだけは家から持ってきてくださいとの事でございました。
子どもたちがそのおかずを残さず食べる食べないはさておき、きちんと栄養を考えたおかずがいただけるだけ、私たち主婦としてはこんなにもありがたい事はございません。
ご飯を詰めるくらい、造作もないことでございます。
幼稚園には朝みんなが持ち寄ったごはんを保温しておく保温器がございました。
ですが、アルミの小さなお弁当をその中に入れてしまいますと、なぜかお昼には開かなくなってしまうらしいのです。
ですので、毎日お昼の度に、先生がひとつひとつ開けてやり手渡してしてくださっていたようです。
給食はパンとご飯が交互に出て、たまに麺類といった割合だったようで、パンと麺類の日はごはんは不要でございました。
間違えて持っていってしまった日には、朝詰めたごはんがそのままに、食べきれなかったパンが追加で戻ってまいりました。
たった三年間だけの幼稚園でしたが、その三年でしっかりと娘は成長し、お弁当箱は少し大きく、パンを持ち帰る回数も減ってきました。
しかし私は相変わらずで、月に一度は無駄にごはんを持たせてしまっておりました。
どういうわけか、毎回娘を見送った直後に気付くのです。
無いよりはまし。残ったら猫にくれてやりましょ。
その程度の考えでしてので、おそらく成長出来なかったのでしょう。
一日保温されたお弁当箱はやはり蓋が開きにくく、そしてなぜかほんのり牛乳の香りがしたものです。