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死んでる場合じゃねぇぞ!

前話までの人とは別の人。のはず。

 十八年前、子どもが生まれたばかりなのに、このまま旦那が死んだらどうやって生活していこうと、カフェで泣いていたあなた。

 二十歳で産み育て始めた矢先の事で、酷く取り乱していたあなた。

 隣の席のおばさんが「旦那の心配より自分の心配かい」と嫌味を言って来た時、すぐに「宗教マルチスピリチュアルは義母で間に合ってます!」と、一声で黙らせたあなた。

 つい「旦那さん、マジで死んでる場合じゃないね」なんて言ってしまった私に、「ほんとそれ! おい旦那! 死んでる場合じゃねぇぞ!」と、なぜか元気になって帰っていったあなた。

 後日「死んでる場合じゃねぇぞ! って怒鳴ったら意識が戻った!」と、嬉しそうに報告をくれたあなた。

 

 義母が闘病の末亡くなった時、同じくらい大きな声で「おい! 死んでる場合じゃねぇぞ!」と叫び、泣き崩れたあなた。

 

 いつの間にか連絡もとらなくなりましたが、律儀に年賀状はくださっていたあなた。

 年賀状の中で家族が一人二人と増え、大きくなっていくあなたの子ども達と貫禄が出てきたあなたを眺めるのが、ここ数年のお正月の楽しみでした。

 

 先日、十八年前のあの日、カフェであなたに抱かれていた子が年賀状を手にうちを訪ねて来ました。

 今度は私が大声で言う番です。

 「おい! 死んでる場合じゃねぇぞ!」

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