死闘
久しぶりの戦闘シーン。書けるかどうか不安でした。
「いざ、参るッ──!」
張遼が啖呵を切ったと同時に、張遼と呂布の二人は、刹那に槍をぶつけ合う。
早速、つばぜり合いとなり、圧倒的な筋力を有する呂布が張遼を押し込んでいく。
(筋力、という点では、勝てぬかッ……!)
つばぜり合いでは勝ち目が無い、と判断した張遼は、呂布が完全に自分を押し込む寸前に、後退し、呂布の隙を作ろうとする。
張遼の予想通り、つばぜり合いで凄まじい腕力を用いていた呂布は、唐突に張遼が後退したことにより、勢い余って三歩前進してしまう。
張遼はその隙を逃さず、鋭い刺突を呂布の土手腹に繰り出す。
呂布は刺突をまともに受けるも、一切後退しなかった。寧ろ、その一撃は、呂布の戦意を高揚させた。
「フ、フハハ、フハハハハッ!!」
呂布は己の腹部を見て、あまりの喜びに耐えきれず、狂喜する。
それに張遼は驚き、身の毛がよだち、己の背に冷や汗が流れる感覚を感じ取る。
「良いぞッ! これこそが、戦いというものだァ!」
呂布は己が一撃を貰い、痛みを感じたことを歓喜し、改めて、是はただの“殺戮”ではなく、“戦い”だと認識した。
“戦い”だと認識した呂布は、出していた覇気を五倍にし、張遼をまたもや驚かせる。
そして──呂布は獣の如き敏捷で、一瞬で張遼との距離を詰め、先ほどよりも遥かに重い一振りを叩きつける。
しかし、これで倒される張遼ではない。
張遼は、敢えて槍の柄で受け止め、衝撃を逃がした後、呂布を横へするりと流す。まさにそれは、絶技であった。
「……ッ! 面白いッ……!」
呂布は神速の域に入った槍撃を幾度も繰り出し、流石にこれは耐えきれない張遼をジリジリと追い詰めていく。
(この槍撃の速さ、そして一撃一撃の重さ。此奴は、正しく“超人”だ……!)
そう。呂布の肉体、敏捷、技は張遼の考えの通り、もはや人の域ではない。正しく、呂布は“超人”となっているのだ。
(だが──これで負ける、オレではない!)
刹那、張遼は呂布の槍撃から距離をとり、槍を投擲した。
槍は呂布の腹部に直撃するも、呂布には一切効いた様子がなく、寧ろ益々(ますます)、呂布を興奮させたようだ。
(これで槍を取りに────ッ!?)
なんと、張遼の身体は、風に吹かれた灰のように、宙を舞っていた。
そう。目にも止まらぬ速さの、呂布の一撃が腹部に直撃し、あまりの力に吹き飛ばされているのだ。
すぐにあまりの激痛を感じ、張遼は宙に舞っている中、意識を手放し、張遼の身体は力なくどさりと地に落ちる。
その結果に、観戦していた兵士たちの雰囲気は、どよめきに包まれた。
このことは、後の三国志にて、こう記されていた。
──飛将、張文遠と決闘を行い、勝利を掴み取る。
(実は案外、書くのが簡単だったなんて、言えない……)