方天画戟
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184年。北東で大規模な反乱を起こした黄巾党に対し、大将軍・何進は鎮圧軍を派遣した。鎮圧軍には名門、袁家の袁紹本初を始めとし、孫堅文台、曹操孟徳といった後の群雄たちの姿もあったのだ──
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并州の都市。そこの市場に、呂布は出没していた。呂布は黒い長髪に、上半身裸の筋骨隆々とした巨漢だ。その呂布を都市の人々は物珍しそうにちらほらと見ていた。
「俺に見合う良き武具は無いものか……」
呂布は通りすがる店を一つ一つ見てゆく。今世でこういった都市に来るのは、初めてなのだ。
しかし、目的はあくまで己に見合う武具を見つけること。ただそれだけだ。
一つ一つ見てゆく内に呂布は、ある一つの戟に目が行った。
──方天画戟。それが戟の銘だった。
「おい、店主!」
「は、はいっ」
呂布は己に見合うかもしれない武具との出会いに、気分の高揚が抑えきれなくなり、興奮した様子で店主を呼ぶ。
店主は呂布にびくびくと怯えながらも、対応する。
「この戟! 幾らだ!」
「よ、四千銭でございます……」
呂布はあまりの安さに一瞬驚くが、すぐに感情を切り替え、懐から銭を出す。
「買ったぞ、この方天画戟とやらを」
呂布は銭を店主の掌に置き、方天画戟を手に取り、そう宣言する。
「早速、試すとするか」
呂布は興奮した様子を抑えきれないまま、都市の郊外に出ると、すぐさま方天画戟を振りかぶり始める。
一振り目。呂布の腕力も相まって凄まじい風圧が起きる。
二振り目。一振り目よりも強い風圧が起きる。
三振り目。一振り目、二振り目を上回る風圧が起きる。
その戟は、呂布の身体能力があってこそ使いこなせる、〝剛戟〟であった。
「凄まじい、否! その言葉すら俺にとっては上回る剛戟だ!」
呂布は益々気分を高揚させ、方天画戟を振り続ける。
この出来事は後の三国志にこう記されていた。
──飛将、方天画戟を有し、凄まじき武を発揮する、と
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