黄巾の乱の始まり
本当にすみません。更新が物凄く遅れてしまいました。
今回から少し、書き方を変えます。
184年。政の腐敗が益々酷くなり、民衆の不満が高まってきた頃、ある三人の人物が現れた。
長兄は張角、次兄は張宝、三男は張梁という者たちであった。
この者たちはそれぞれ張角は天公将軍、張宝は地公将軍、張梁は人公将軍と名乗り、民衆を扇動し、中華の東北で大規模な反乱を起こしたのだ。
張角を始めとした反乱軍は皆、黄色の頭巾を付けていることから黄巾党と呼ばれた。
それに対し、後漢王朝の大将軍・何進は鎮圧軍を派遣したのであった──
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一方、呂布奉先は、中華の北方である并州の小さな農村の外れにいた。
「九十八……九十九……百……!」
呂布は外れにある森林でひたすら槍と見立てた太い木の棒を振りかぶっていた。丁度百をいったところでバキッという音を立てて棒が折れる。呂布の腕力と振りかぶる際の圧力に耐えきれなくなったのだ。
「……また折れたか……」
呂布は折れた木の棒を投げ捨て、新たな木の棒を探し始める。すぐに太い木の棒を見つけると、それを持ち、再び振りかぶる。
(最強すら超越してやる……!)
呂布は、胸の内に遥かな野望を抱きながら木の棒を振りかぶる。
「百一……百二……百三……」
呂布はひたすら己が振りかぶった数を数える。
その様は正に、強さに執着する虎狼であった。
呂布が百三十二回振りかぶったところで、大勢のものと思われる足音が呂布に聞こえ始めた。
「こ、黄巾賊だァーッ!」
農村の方で農民たちの悲鳴が起こる。呂布は悲鳴を認識し、物凄い速さで農村へと向かう。
農村に着くと、そこでは黄巾党、または黄巾賊による虐殺が起きていた。
「黄巾賊……か。よくも俺が世話になっている村を荒らしてくれたものだ」
呂布は武器を何も持たず、一瞬で黄巾賊の一人に近づき、首をへし折る。
「な、何者!?」
黄巾賊の一人が呂布に問いかける。
「姓は呂、名は布、字は奉先」
呂布は名乗ると、首をへし折った黄巾賊から槍を奪い、構える。
「俺を殺せる者はおるかァ!」
呂布の上半身裸で筋骨隆々とした姿。そして発せられる凄まじい覇気に黄巾賊二百四十人は皆怯む。
「か、かかれー! 一人なら殺すに容易い筈!」
黄巾賊を率いてると思われる若者が指揮を執り、呂布を包囲した陣形を組ませ、突撃させる。
しかし皆、虎狼(呂布)の一振りで吹き飛ぶ。
「どうしたァ! 黄巾賊とはこんな軟弱者の集まりかァ!」
呂布は槍を振るい、次々と賊を突き伏せ、斬り捨ててゆく。
「て、撤退するぞ!」
黄巾賊を指揮していた若者が撤退の指示を下す。
瞬間、若者の首に槍が突き刺さる。
「指揮を執っていたのはお前だな? ならば、死ね」
呂布が言い終わると、若者は絶命し、遺体が落馬した。
黄巾賊二百四十人と呂布奉先一人の戦は、黄巾賊が百七人という多大な犠牲を出し、呂布の勝利に終わった。
呂布は黄巾賊を追撃するでもなく、ただ、撤退する黄巾賊を眺めていた。
「あの黄巾賊を……たった一人で……」
それを目撃していた農民の一人が、そう零す。
やがて、次々と身を隠していた農民たちが姿を現す。
農民たちは一斉に勝利の叫びをあげる。
「呂奉先見事!」
「呂奉先見事!」
口々に農民たちは呂布を讃える。
後の三国志では、このことはこう記されていた。
──飛将、単騎で黄巾賊二百四十人を撤退させる、と。
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