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令嬢とは我が儘なものなのです。  作者: よもぎ団子
1章 幼少期 設定改革編ーそれでも世界はシナリオ通りにー
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16 真相は…?

 ルナシーはリーシャの反応を楽しむように前髪に添えてある白花(プルメリア)を撫で、軽くターンして悪戯気に笑う。内緒だぞ、とばかりに声を潜めて()()披露(ネタバレ)をした。




 「初めに挙げた、噂好きの料理長は朝、仕事が一段落した侍女やこれから出社する使用人と色々な話をする。

 ほら、喫茶店や酒場はよく情報屋の(ねぐら)となるだろう? あんな感じで料理長は色々な情報を手に入れているんだ。

 特に面白い話だと蒔けてくれたりデザートを追加してくれたりたりするから皆面白半分に情報(ネタ)を提供するんだ。「これならどうだ!」「うーん、銅貨一枚。」「少なねぇ!」みたいなノリでね。白桃のタルトが出たらその日一日は良いことがあるというジングスもある。

 で、その聞いた情報を惜しげもなく話す。『今日は特大ニュースがあるぞ!』なんて言ってな。



 だからあの料理長の耳に少し大袈裟にして入れておけば、自然と噂は広がっていく。

 その為にカウンター席に移動したんだ。そうすればほっておいても料理長に聞こえるから。






 で、目立たない侍女。あの子は社交性は高いけど影がすごく薄くて、気がついたら一緒にいる、みたいなことが多いんだよ。矛盾しているけど…本当に背景と同化しているんだ。あれはもうわざとなんじゃないかな…。まあ、それはさておき。

 だからいつの間にか()()()()()()()()()()()()()情報をよく流している。

 ほら、使用人、取り分け侍女って噂話も仕事の内、みたいなとこあるだろ?

 曲がりなりにも貴族が多いから国の情勢から最近の流行まで幅広い話を携えて自分の家に送る人は少なくない。むしろその為に働き来ている人もいる。王国としてもそっちの方が都合がいいしね。

 だから自然と噂が飛び交う。影が薄いやつが特ダネを持ってきたら、噂は飛び交う、だがどこから発信されたかわからない。

 発信元を分からなくするのは情報操作の基本だろ?




 次、素直な軍人。そうだな、あれは良くも悪くも素直だ。

 何事にも実直で、見る目を持っている。何より頑固で信念があるからな、周りも振り回されて、悪態つきながらも信用している。

 だからあれが白だと言えば白だと皆思うし、黒だと言えば黒だと思うだろう。

 あれに流せば、情報の信頼度が格段に上がる。

 あれは()()()()()()()に聞かされればそうなのか、と思うし、ユートリア嬢の実力を見れば目を丸くして自分から広めるだろうよ。単純だからな。

 まあ、そこは()()()の代価だな。




 そして軽い門番。イケメン→女たらし→面白そうで女性の好みそうな話を話題とする、みたいな。ラビナ様は今一番の王宮の、取り分け女性の関心を引いているからな。なんでも次代のお妃様の可愛らしい話が堪らないらしいぞ。

 なに、あいつは雰囲気を出すのが凄く得意だ。

 その辺は女子も負けていないが視点が違う分、需要は増えるし、顔の相乗効果で話が二、三倍はよく聞こえる。

 料理長と同じく、客を手続きで待たせている間に広めてくれるしな。

 そこは、とある親友の軍人さんが教えてくれたんじゃないか? あれは何かあるとすぐ門番のところに行く。


 そんな感じで多方面から広めたんだ。

 まあ私がやったことはささやかだが、良い感じに広まっただろう?」






 「へ……でもだったらこんなに大事になるはずないです…だってそのルートを辿る話だって他にいくらでも……」


 「うーん、確かに情報の価値事態が大きかったというのもあるが、大事なのは相手心をどう取り込むかだな。

 料理長は噂好きだからちょっと秘密っぽく、でも熱を上げて話す必要があるし、侍女は夢見がちなとこがあるから描写も交えてロマンチックに話すのが良い。

 軍人は元々戦闘狂だから、そこをくすぐる。

 門番は親友から聞いた話なら良い方向に盛っていくだろう。まあそこら辺はとある騎士様の出番だったわけだが。


 伝える相手が熱狂するくらいがちょうどいい。熱というのは人に伝わるものだからな。

 伝え方次第で良い方にも悪い方にも転がっていく」


 

 わあ………恐ろしい人です………使い方次第ではクーデターだって起こせちゃうのでは………


 


 「ふふ、興味深いだろう?」


 「そ、う………ですね…………上級過ぎる気もしますが…………………」


 「まあ主を持つならこれくらいは朝飯前に出来るようにしないとな。」


 「う………頑張ります……………」



 激励され、ありがとうございますと礼を言い、リーシャはその場を立ち去った。姐さん怖い、と体を震わせながら。











 リーシャがルナシーから離れると、いつの間にか現れた兎のぬいぐるみを持った少女がルナシーのメイド服の裾を掴んでいた。



 「姐さん、『特技』教えちゃって良かったの?」

 「ああ。リーシャは言いふらしたりはしないさ。これの恐ろしさも分かっていたようだしな。それに……」


 そこで一度振り替えって過ぎ去っていくリーシャの背中を認めた。


 「見物料ってやつかな」


 さあ、リーシャ。お前は一体どんな道を歩んでいくんだろうな?

 

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