一章の⑧ 選定条件
やはり、普通じゃない学校の入学式は普通ではなかった。
入学者の再選定とクラス編成を行う試練がなんの予告も無く行われるのだった。
校長の挨拶とは長いというイメージがあるが1分足らずで終わってしまった。
しかし、誼人にとって二つ気になる事を言っていた。
「入学が決まっていない」という言葉と「学校内で企業活動が認められている」という言葉だ。
受験のテストでは最初から捨てていたので、やるだけやった後は寝ていたし、パンフレットにもロクに目を通していない。
もしかすると、誼人は情報において危機的状況に置かれているのかもしれないと思い、内心かなり焦っていた。
校長がステージ袖に戻って一呼吸おき、教頭と紹介された人物がまたも唐突にアナウンスする。
「はい。これより、クラス選定を行います。皆さんそのつもりで受験したと思いますし、先の説明でもありましたが、この学校では特殊な教育制度をとっています。その一貫として、特殊なクラス選定があります。では今からその方法を説明します」
静かになるのを待つ前に発言された事より、その内容に会場の生徒達は驚かされた。誼人もその例外ではない。
誼人は、クラス分けの何もないままの入学式だったので、大学のようにクラスなんてものが無いのだと思っていた。
誼人はあっけにとられ、ぽかんとしていた。隣の女子も同じような表情をしていた。
会場の生徒達は、これは一体どういう事だ!? と騒然となっていた。
教頭がその雑踏に注意する事もなく続けた。
「クラス選定方法を説明します。手持ちのパンフレットに1から40の数字それぞれランダムでついています。1から40の番号を一人ずつ揃えて四十名の団体を作ってください」
「集まれた団体はステージ前の受付まで来てください、快適な休憩室に案内します。早く来たクラスからAクラスです、全部でEクラスまで作ります」
「原則として手段は自由です。では、始めてください」
会場は説明が終わる頃には静まり返っていた、教頭の説明には、あきらかにおかしな点が含まれていた。会場は、説明はそれで終わりなのか!? という雰囲気に包まれる。
教頭は雰囲気をくみ取り、言った。
「説明はもう終わりです。健闘を祈ります」
誰かが大声で罵倒のような質問をしたが、教頭は反応する事なく、マイクから離れステージの袖へ歩いて行った。これで式は終わったようだった。この時、入学式開始の挨拶から十分ほどしか経っていなかった。