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四章の① 敗者の戦略
敗者グループを作るため京子グループ周辺をふらふらとうろついた二郎は、京子による数字被りのある者に対しての選定じゃんけんが始まるや否や、負け組は誰だと覗き込んだ。
背丈にも肩幅にも恵まれぬ二郎が人をかき分け覗き込むのは多少の苦労があったが、背伸びやジャンプをすればなんとか覗き込めたので、不可能なレベルではなかった。ジャンプの風で髪がなびき、二郎は久々に前髪を通さずに世界を見た。
久々に壁を通さずに世界を見た目は意外にも綺麗な並行二重だった。
そもそも二郎は男らしいか、と言われればそうではないが、外見が悪いかといえばそういうわけでも無く、むしろ一部マニアにカルト的に好かれそうな可愛らしさがあった。
明暗が別れ、敗者が渦中から外れていくタイミングで、二郎は急ぎ勧誘に向かった。
一途の希望から絶望に落とされ、意気消沈、落胆している時の新たな希望の声は、感謝と共にいとも簡単に二郎のグループへの所属を決めさせた。
二郎はアドレス交換をする時間がもったいなかったので、京子とじゃんけんをする者達を囲む人のドーナツから3mほど離れた光差し込む大窓の下にいてくれと指示し、次の敗者の元へ向かう。これをしばらく繰り返した。




