三章の⑧ 多数の思惑
入学試験のルールは以下のとおり
① 約300人の生徒には1部づつパンフレットが配布されている
② そのパンフレットには1~40の番号がランダムに1つ書かれている
③ 1~40の番号を1人づつ揃え、40人のクラスを作り、係員に伝える
④ クラスはAからEクラスまである
⑤ 原則として手段は自由
主人公:誼人は、望と協力関係を結び、『特待生は、分散するように同じ番号を与えられている。その番号は1と2』そして、『丁度280枚あるはずだったパンフレットは当日欠席した者達のせいで、欠番が出ている』という仮説に辿り着いた。
「ちょっとでも進展したら連絡してね!こっちからも情報送るから!」
と、携帯電話の番号を聞き出し、次の協力者候補に移る。これを20名近くの協力者候補全員に行おうとした。
協力者候補は誰もがいとも簡単に協力者となっていった。
心は最大でも同性二人組にしか声をかけなかった。
少人数で主体的に38名の他人を集めるのは、かなり難しい。
となると、大きなグループに滑り込めばいいやと考えるのが普通である。心はそのために自身のグループをほとんど集まっていると嘯き、実際には存在しない虚構の大グループを自身の背後に演出した。
さらに彼女は、5人以上の団体に自分が割って入っても、完全にアウェイになる事を予想していたし、男女混合グループならもっと最悪だと思っていた。
大体の男性は彼女にデレデレになるので、そのグループ内の女性を敵に回すのである。それらの理由から少人数にしか声をかけなかった。
心の孤独感、不安感を利用したこの作戦は、何にもつまずく事無く進行していった。
「自分は最大で4人しか集めなくて良い」というのはモチベーションを上げる効果もあった。人間は実現可能だと思える目標でなければやる気は出ないのだ。
協力者候補の2/3から候補の文字が消えた頃、後方から大声がした。何やら不穏な動きがあるなとは思っていたが、こんな事態になるとは彼女も予想していなかった。
自分の協力者候補の何人かを含む大所帯が後方に形成されつつあった。
先ほどから妙な動きをとっていた長身の女が心の最も恐れていたシンプルかつ豪快な作戦にうってでていたのだった。
彼女も候補者を横取りされまいと、長身の女を取り囲む群衆にまぎれていく。




