三章の⑥ 多数の思惑
入学試験のルールは以下のとおり
① 約300人の生徒には1部づつパンフレットが配布されている
② そのパンフレットには1~40の番号がランダムに1つ書かれている
③ 1~40の番号を1人づつ揃え、40人のクラスを作り、係員に伝える
④ クラスはAからEクラスまである
⑤ 原則として手段は自由
主人公:誼人は、望と協力関係を結び、『特待生は、分散するように同じ番号を与えられている。その番号は1と2』そして、『丁度280枚あるはずだったパンフレットは当日欠席した者達のせいで、欠番が出ている』という仮説に辿り着いた。
中には、「俺にも初対面で話しかけてきたのだから、他の人にもそうなのではないか」と思う者が出てくる可能性がある。
心は「知り合いに似ていたから話しかけた」だの「同じ中学の人だよね」だのと適当な事を言い、これも何かの縁だから協力しようと言って番号を聞き出す事で、その可能性を最小限にしていた。
なにせこの場は入学式、これ以上話しかけられる事が嬉しい状況もないだろう。
彼女は知り合いが多いとほのめかし、実際に色々な人と会話する事で周囲に無言の説得をしていたのだ。
「わたしはこんなにも知り合いが多い」と。
さらにこの下準備にはもう一つ意味があった。それは番号とその保有者の把握と記憶。
自身が1番なので1~5組以外の小グループにそれぞれ最低でも一人の協力者を見つける必要があった。
心は人の顔、名前、そして他にも情報があればその情報を2,3個完全に記憶しておく事ができた。
いや、彼女の人生はそれができるようにならねばならなかった。
彼女以外がやれば一々メモをとるなどの胡散臭さ、会話がはずまないなどの違和感ばかりが目立ち、ゆくゆくは破綻する可能性が高い。
心は自身の出生に初めて感謝していた。
行動開始から15分が経った頃、下準備が終わった心は作戦をフェイズ2に移動する。
下準備の中で聞きまわった番号が全て、8分割の小グループに当てはまったのである。
二人ほど無視を決め込まれたのは、心にとっては想定の範囲外だった。
外見が最重要の初対面では今まで男にも女にも無視なんてされた事など無かったからだった。




