三章の③ 多数の思惑
入学試験のルールは以下のとおり
① 約300人の生徒には1部づつパンフレットが配布されている
② そのパンフレットには1~40の番号がランダムに1つ書かれている
③ 1~40の番号を1人づつ揃え、40人のクラスを作り、係員に伝える
④ クラスはAからEクラスまである
⑤ 原則として手段は自由
主人公:誼人は、望と協力関係を結び、『特待生は、分散するように同じ番号を与えられている。その番号は1と2』そして、『丁度280枚あるはずだったパンフレットは当日欠席した者達のせいで、欠番が出ている』という仮説に辿り着いた。
このなんとも不健康そうな細身の男は二条二郎という名で、京子のグループでの選定じゃんけんで負けた者。
つまり、あぶれ者に声をかけ、自身のグループに引き入れていた。言わば、敗者のグループである。
この方法だとトラブルの原因となりやすい数字の重複を回避し、第二のグループを作る事ができると考えていた。
虐げられたり、負けたりした時の屈辱感を誰よりも濃く知るこの男が意気消沈したあぶれ者を仲間に引き入れるのはそう難しい事ではなかった。
京子のグループが完成し、快適な休憩室とやらに消えたならば、最も大きなグループは敗者のグループ、つまり自分のグループになると考えていた。
その時、本来であれば負けていた者達が勝ちゆく者に変化する。その昇華に何よりのカタルシスを感じる事ができると考えていた彼のモチベーションは異常ともいえるほど高かった。
それは彼の過去に起因する。
悲惨な経験から勝者への熱望が誰よりも強いこの男は、燃え上がる赤い炎よりもずっと温度の高い、静かな青白い炎を心に灯し、着々と勝利に近づいていた。
さらにまったく別の場所では水面下でこの時点での最大グループができていた。
誼人は、席数を確認しようと会場を見渡した時に立ち歩いている人達を、目的もなく右往左往している連中と評価した。
その評価はおおむね正しい。
しかし、一人だけ例外的な人物がいた。その時点での最大グループの仕掛け人である。




