三章の② 多数の思惑
入学試験のルールは以下のとおり
① 約300人の生徒には1部づつパンフレットが配布されている
② そのパンフレットには1~40の番号がランダムに1つ書かれている
③ 1~40の番号を1人づつ揃え、40人のクラスを作り、係員に伝える
④ クラスはAからEクラスまである
⑤ 原則として手段は自由
主人公:誼人は、望と協力関係を結び、『特待生は、分散するように同じ番号を与えられている。その番号は1と2』そして、『丁度280枚あるはずだったパンフレットは当日欠席した者達のせいで、欠番が出ている』という仮説に辿り着いた。
人間はこんなにコンパクトになるのかと思うほどに、くの字に身体を折りたたんだ男が、全身全霊をかけて呼吸をするだけの生物となって転がっていた。出産に望む妊婦でさえここまで呼吸に必死ではないだろう。
――――――後 に、この時周囲にいた男子生徒(15)はこう語る。
「あれは一瞬の事でした。はい、こう男が襟首をつかみ拳を振り上げたんです」
「えぇ、アッ!!危ない!!と思って周りも止めに入ろうとしたんですよ、まァ今思えばそんな必要なかったんですがねェ」
「話を戻しましょう、そしたら拳が女性に到着する前に、男がいきなり情けない声を上げて床に転がったんですよ」
「え?転がったってこのはこう、フツーに、はい。フッ飛ぶというよりは崩れ落ちる感じですね。転がった男の様子を見て初めて、あぁ、この男はどーやら反撃をされたんだ。とは認識できたんです。」と。
「武道家の襟をつかむ事がどれほど危険な事か、それが理解らないからこうなるんだぞ。」
京子は音を聞く余裕があるのかどうか不明な男に言葉を投げかけた。
強烈に人目を引いていたが、周囲の人も引いていた。
ただ、京子がその倒れた男の介抱を始めた時、硬直した空気はすぐに解凍された。
介抱された事でいよいよ心が折れた男は、うなだれてその場を去った。
この一件以来、選定はスムーズに運んだ。従来通り、重複した場合はすべてじゃんけんで決めた、無論不服を口にする者はいなかった。
一方で、この選定を前髪で隠れた不健康そうな目でちらちらと見ていた男がすでに行動を起こしていた。




